公演の見どころ

March 29, 2020

ダンス・タイムズは毎月、近日上演予定の公演をピックアップし、オススメ公演としてご紹介していますが、4月のおすすめ公演の掲載はお休みすることにいたしました。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で、ご紹介した舞台がキャンセルになる可能性があるためです。公演が中止になることは、関係者にとっても我々舞踊ファンにとっても、大変辛いことです。状況が改善し、公演が再開されることを願って止みません。

outofnice at 14:21

March 12, 2020

ダンス・タイムズ編集部が選んだ20203月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、こちらは312日時点の情報を基にしており、既に今回のコロナウイルスの影響で中止、延期となった公演もございますが、記録のためにも掲載をさせていただきました。今後の変更も十分に予想されますので、ご了承いただきたく存じます。

 

◆大駱駝艦舞踏公演『まだら』《中止》

2020年3月2〜8日/大駱駝艦・壺中天

◇麿以外の艦員(団員)がスタジオで自作を発表する壺中天公演に、所属20年のベテラン松田篤史が初めて挑戦する。彼がこれまでの舞踏人生で練り上げてきた彫刻のような肉体と重厚感ある動き、そして映画出演やデザインなど他の分野で培ってきたセンスを活かし、唯一無二の世界を作り上げてくれるだろう。(折田 彩)

 

◆勅使川原三郎振付『三つ折りの夜』《延期》

2020年3月6〜8日/東京芸術劇場プレイハウス

◇勅使川原三郎・佐東利穂子が、ヴァイオリンの庄司紗矢香との競演で、マルラメの詩の舞台化に取り組む。「三つ折りのソネ(ソネット)」という詩から想を得て「日没の夜」「深夜」「有明の月」という三つの夜を踊るのだ。ヴァイオリン、マルラメとの出会いから勅使川原はどんな新しい局面を創り出すのだろうか。(山野博大)

 

 

◆スターダンサーズ・バレエ団《Dance Speaks》アンコール公演《※中止》

2020年3月13〜15日/東京芸術劇場・プレイハウス

◇昨年3月に上演され大きな話題となった《Dance Speaks》公演が、丁度1年後となる今年3月、同じ演目のダブルビルで再演される。注目は何といってもクルト・ヨース振付『緑のテーブル』。池田武志演じる「死」の圧倒的な存在感、佐藤万里絵、フルフォード佳林ら戦争に翻弄される女達の悲哀が胸に迫った。この舞踊史に残る傑作を見られる機会を絶対に見逃さないでほしい。昨年の公演ではソリスト、コールド共に完成度に難が残った『ウェスタン・シンフォニー』も練り上げられていることと期待したい。(折田)

 

 

◆Kバレエ カンパニー《トリプル・ビル2020《※中止》

2020年3月2022日/オーチャードホール

◇ローラン・プティ振付『若者と死』、熊川哲也振付『シンプル・シンフォニー』、そして渡辺レイ振付『春の祭典』というラインアップの本公演。特に、熊川の当たり役のひとつである『若者〜』が14年ぶりに再演されることは、カンパニーの新時代の幕開けを感じさせるニュースである。堀内平、山本雅也という進境著しいふたりのダンサーと、本作で舞台復帰を果たす浅川紫織、矢内千夏が繰り広げるドラマは見逃せない。(宮本珠希)

 

◆東京バレエ団:ピエール・ラコット振付『ラ・シルフィード』

202032122日/東京文化会館

◇芸術監督の斎藤友佳理が当たり役とした作品で、指導者としても経験豊かな本作。東京バレエ団としては、意外にも約4年ぶりの再演となる。“ラ・シル”と言えばブルノンヴィル版が馴染み深いが、東京バレエ団が上演するのはパリ・オペラ座と同じラコット版。同名のバレエで振付や演出が異なるというのはよくあるが、ブルノンヴィル版とラコット版では曲も長さも技法も異なる。となると全く別の作品と言ってもいいだろう。前回の公演でロマンティック・バレエのスタイルを見事に体現した沖香菜子と、叙情性豊かな川島麻実子のダブル・キャスト。どちらを見るかおおいに悩むところ。(隅田有)

 

 

2020都民芸術フェスティバル現代舞踊公演:宮本舞振付『ZONE-境地-』、中村しんじ振付『さーかす』、馬場ひかり振付『COSMIC RHAPSODY-宇宙狂詩曲-※中止

202032627日/東京芸術劇場プレイハウス

◇宮本舞、中村しんじ、馬場ひかりという、働き盛りの現代舞踊家3人の作品が並ぶ。日本の現代舞踊は、石井獏が端緒を切った頃から、欧米のモダンダンスとは別の道をたどってきた。日本ならではの良さ、おもしろさを、この3作品から探ってみてほしい。(山野)



piyopiyotamaki at 16:09

October 10, 2015

 今rmr22211日、12日に国立劇場小劇場で、バレエと日本舞踊のコラボレーションによる公演が行われる。既に、「ダンス・タイムズがお勧めする10月公演」でも「ニンに叶った世界レベルの配役」による注目公演であることが阿部さとみによって紹介されているが、直前のリハーサルを取材することができたので、さらに詳細をご紹介する。

 今回の企画は、ロシアを代表するバレエダンサーであり、現在はミハイロフスキー劇場バレエの芸術顧問を務めるファルフ・ルジマトフと、日本舞踊家の藤間蘭黄との交流から生まれた。ルジマトフが《阿修羅》(振付:岩田守弘)を踊るのを見た蘭黄が、織田信長の舞踊化を思いついたのである。ルジマトフの信長、蘭黄の斎藤道三と明智光秀、そして、ロシアで活躍するバレエダンサー岩田守弘(ブリヤート国立歌劇場バレエ団芸術監督)が豊臣秀吉を踊ることになり、蘭黄が台本を書いた後、昨年から具体的に公演に向けて動き始めた。音楽(邦楽)は梅谷巴・中川敏裕、照明は足立恒に依頼し、バレエ部分は岩田が振り付け、日本舞踊および全体の構成・演出は蘭黄が担うことになった。今年7月、サンクトペテルブルグでの三人の振付作業をへて、公演を目前に控えて東京に集まり、リハーサルを始めたのだ。

 8日の午後、リハーサルにお邪魔すると、念入りにバレエ・レッスンを行ったルジマトフと岩田、そして蘭黄が踊り始め、その周りで、色鮮やかな着物姿の女性演奏家が琴、太鼓、大鼓、小鼓、笛、鉦を奏でている。筆者がルジマトフを見るのは何年ぶりだろうか。しかも、間近で体の動きをじっくり見ることができる、この幸せよ。既にバレエダンサーとしては大ベテランだが(因みに、日本舞踊では40代、50代などまだまだ中堅だ)、まっすぐに伸びた脚、柔軟だがぶれないトルソ、そして、鷲のつばさのように伸びやかに、優雅に広がり、しなやかに艶っぽく語りかける腕は今もまったく変わらない。つくづく「バレエに選ばれた男」なのだと、その無理、無駄のない雄弁な動きを見て感じ入る。スッと立っただけで、我々が抱く信長のイメージを体現している。バレエの身体が持つ高貴さと優雅さ、傲慢さと硬質さが、信長の存在そのものを現しているのだ。

 そこに追い従うように絡んでくる岩田守弘は、まさに秀吉の器用さや気配rmr146り、目配り、巧緻な様を表す。岩田の振付は、バレエを基礎にしながらも和楽器を使った邦楽の演奏にすんなり馴染み、それぞれの個性を際立たせながら物語を進めていく。この二人に対峙するのが、藤間蘭黄の斎藤道三・明智光秀である。バレエについてもよく知る蘭黄は、日本舞踊の動きでありながら、バレエの空間に広がっていく動きにしっかりと絡み、互いの特徴を減ずることなく役どころを主張し合う。そして蘭黄の演出は、日本の劇場構造を知り尽くしたもので、花道やすっぽんを巧みに使って舞台空間を縦横に広げ、イマジネーションを膨らませる。彼らのコラボレーションは、しばしば目にする形だけの異文化コラボレーションとは全くことなる、互いをリスペクトし十分に知ったうえで活かしあうものだ。

 その背景は何か。もちろん長年の交流があり、互いの芸術に対する知識と理解があるが、秘密は彼らの優れた音楽性にあるのではないだろうか。洋楽に慣らされてしまった普通の日本人は、洋楽のように明瞭なリズムやメロディをもたず、融通無碍に伸び縮みする邦楽では踊りにくい。ところが、蘭黄はもちろんだが、岩田もルジマトフも邦楽に入り込み、カウントに縛られることなく自在に踊っているのだ。「比叡山焼き討ち」のシーンを始めたときのこと、動き始めのポーズを取りながら琴の音を聞いていたルジマトフが急に、「no energy! no energy!」と苛立つように言い出して、胸をかきむしりながら歩き始めた。rmr385そして、「心臓がつかみ出されるような音をくれ!」と注文を付けたのだ。比叡山焼き討ちを決意し、秀吉に命じる信長の内面をつかみ、役になりきった自分を動かす力を持つ音楽を欲していたのだろう。

 一方で、音の密度を高め、音量を増していくことで盛り上げていく洋楽とは異なり、「間」によってドラマを盛り上げ、「息を詰める」ことで緊迫感をましていく邦楽の表現方法にも、バレエの二人は自然に溶け込んでいる。いかに音を盛り込むかではなく、いかに間を作るか、いかに息づき、そこで生じる内面のドラマを動きへと転換するかを、三人は舞踊様式は異なるものの、見事に共有しているのである。

 彼らの踊りをさらに美しく、スタイリッシュに見せるのが、デザイン界で注目を浴びているFACETASMの衣装であり、足立恒の照明である。さまざまな楽しみ方、見方ができる今回の贅沢な公演。是非、劇場で実際の舞台を見て、音楽を聞き、彼らの呼吸と間を共に経験してほしい。(2015/10/09 稲田奈緒美) 以上の写真は「ダンススクエア」のご厚意により掲載します。



inatan77 at 03:49

January 10, 2014

東京シティ・バレエ団で、舞踊家・振付家・演出家として活躍し、一昨年亡くなった石田種生氏による≪白鳥の湖≫について公開研究会が開催されます。
 
石田氏は、日本人がバレエを踊ること、その身体がバレエという西洋の様式で何をどのように踊ることが出来るのかを、厳しく問い続けた人で、日本を題材にしたオリジナル作品や西洋古典の改作、再振付などを行ってきました。
私にとっては、それをモダンダンスで行い、暗黒舞踏という新しい舞踊ジャンルを作った土方巽と、バレエという様式内に留まって試行錯誤を繰り返した石田種生が、ところどころで重なって見えます。
偶然ですが、同郷でいろいろご縁があり、遺品の資料を託されて研究することになりました。
 
以下のように開催しますので、ご興味のある方は東京シティ・バレエ団のHPで詳細をご確認のうえお申し込みください。
 
稲田奈緒美
 
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公開研究会
『石田種生が振り付けた50年に及ぶ《白鳥の湖》上演史  〜日本人とバレエ、バレエ台本の言葉と身体との相克を通じて』

 
1月13日(月・祝) 
江東区・総合区民センター 第2会議室 
無料・定員25名 

【第一部】11:00-13:00  
1)本研究の説明、及び、石田種生振付《白鳥の湖》上演史、特徴等の解説(稲田奈緒美) 
2)《ダンサー、演出家、ミストレスの視点から語る、石田種生の振付の特色》 
ゲストスピーカー:金井利久、吉沢真知子、山口智子、長谷川祐子、加藤浩子 

【第二部】14:00−16:00  
1)《オデットと歴代のジークフリート王子たちが語る、石田種生の演出の変遷》 
ゲストスピーカー:安達悦子、本多実男、中島伸欣、黄凱 

(ゲストスピーカーはやむを得ず変更になる場合がございます) 
司会(質問者):稲田奈緒美 
本研究(「日本オリジナルバレエの創造を目指した石田種生と創作アイデンティティの研究」 研究代表者・稲田奈緒美)は、科研費(25370118)の助成を受けたものです。


inatan77 at 06:05

October 01, 2011

そもそも、劇場って何だろう?―― 思わずはっとするこの問いの答えを、パフォーミングアートを通して探る『劇場の発見』シリーズが、東京・荒川区で誕生する。記念すべき第1回目のテーマは「ダンスの作業から」。コンテンポラリーダンスを始め、パーカッション、常磐津節、哲学、はては漫画……と様々なジャンルを巻き込んで、観客とともに「劇場」と「ダンス」を探しにいく、刺激的なイベントになりそうだ。公演からワークショップ、トークセッションと、103日から始まる盛りだくさんの1週間について、制作の大神舞子氏(株式会社シービーシーメソッド)に話を伺った。



 

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emiko0703 at 11:22

June 18, 2011

6月6日、宇野萬氏の案内で山口情報芸術センターで開催中の安藤洋子の『REACTING SPACE FOR DIVISUAL BEHAVIOR』と平川典俊の『BEYOND THE SUNBEAM THROUGH TREES』を見せてもらった。

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emiko0703 at 13:11

April 10, 2011

ローラン・プティが1991年に振付けたバレエ『DANCING CHAPLIN』が、ルイジ・ボニーノ、草刈民代の主演、周防正行の監督で映画化され、この4月16日から一般公開される。続きを読む

emiko0703 at 07:55

March 26, 2011

日本のコンテンポラリーダンスの牽引者の一人、二見一幸。彼の主宰する「ダンスカンパニーカレイドスコープ」が活動開始15周年を記念し、公演を行う。自身も、振付家を志してから30年という節目の年を迎えた二見に、これまでの歩み、今回の公演の見どころを聞いた。

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emiko0703 at 16:37

March 06, 2011

昨年末に大駱駝艦・壺中天による若手舞踏家の公演を紹介したが、今回は、麿赤兒の「振鋳・演出・鋳態」による『灰の人』が、317日(木)〜21日(月)、世田谷パブリックシアターにて上演される。出演(鋳態)は、村松卓矢、向雲太郎、松田篤史、塩谷智司、奥山ばらば他、総勢16名。大駱駝艦 天賦典式としては2年ぶりとなる公演について、麿赤兒が語っている動画が、以下のサイトにあるので、ご興味の向きは、どうぞご覧あれ。

http://www.kk-video.co.jp/schedule/2011/0317_Hai-no-hito/index.html

 

大駱駝艦の猥雑にして厳かな、スペクタクルな舞台に期待できる。(稲田奈緒美)



inatan77 at 20:04

March 01, 2011

全国各地で公演を続けながら、コンテンポラリーダンスのダンサー、振付家、観客の発掘と育成に大きく貢献してきた、《踊りに行くぜ!!》が、10年間の旅を終えて、今年度から新たな旅を始めた。これまでの東京、関西中心のアーティストの作品上演から、公募で選ばれた比較的若手のアーティストによる作品や、アーティストが地域の人とともに創作した作品を上演するという試みを、松山、鳥取、八戸、福岡、伊丹、東京で行うのである。3月には、伊丹と東京で公演が控えているが、その情報と見どころについて、主催するジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)から情報が送られてきたので掲載する。新しいコンテンポラリーダンスの波が、また、ここから生まれることだろう。
(転載情報は省略)


inatan77 at 01:56
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