May 07, 2022

東京バレエ団がジョン・クランコ版『ロミオとジュリエット』をバレエ団として初演した。トリプルキャストで初日が沖 香菜子と柄本弾、二日目が足立真里亜と秋元康臣、最終日が秋山 瑛と池本祥真がそれぞれ主演した。5月1日の様子を報告する。
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outofnice at 16:25舞台評

February 28, 2022

25日に山野博大先生の一周忌にあわせて掲載した追悼特集は、おかげさまで公開から3週間で1000件以上のページビューを重ねています。多くの皆様に、山野先生の舞踊評論家としてのポリシーや人柄を知っていただけたことを心から嬉しく思います。追悼特集では、我々メンバーが書いた追悼文をまとめましたが、この機会に山野先生自身の文章にも触れていただきたく、補記を設けることとしました。

山野先生がThe Dance Times(ダンス・タイムズ)に寄せた文章は、批評だけでも243本を数え、その他、亡くなられた舞踊関係者への追悼文、審査員を務めた舞踊賞やコンクールの受賞者評、お勧め公演紹介、趣味で楽しまれていた句会の報告等、多岐にわたっています。今回、追悼特集を行うにあたり、先生の批評文243本に頻出する単語を1000語抽出し、ワードクラウドを作成しました。こうして視覚的に先生の文章に触れ、形容詞が少なく、名詞と動詞がほとんどを占めること、感覚的な表現が少ないことに改めて驚かされました。批評は第一に、公演に関する事実を客観的に記載すべきであるという、山野先生の舞踊評論家としてのモットーを感じていただけるのではないかと思います。

243本の批評をここで列挙することは控えますが、メンバーがそれぞれの追悼文で触れたトピックスに関連している文章をご紹介します。舞踊評論家、山野博大が今を生きる我々と後世の方のために遺したたくさんの言葉たちを、どうぞご覧ください。(折田 彩)


頻出語クエリ_1000

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ayaorita at 13:10

February 05, 2022

The Dance Times(ダンス・タイムズ)の代表として私共をまとめてくださっていた山野博大先生が2021年2月5日に84歳で永眠され、早くも1年が経ちました。山野先生は1950年代から60年以上にわたって舞踊評論家として活動され、国内で開催されるあらゆるジャンルの舞踊公演やコンクール、発表会やおさらい会にまで足を運び、新聞や舞台専門誌等に数多くの批評を寄稿されました。先達の功績の継承にも熱心に取り組まれていて、山野先生が編著者としてまとめられた『踊る人にきく 日本の洋舞を築いた人たち』(三元社、2014年)は、日本の舞踊史を知る上で欠かせない一冊となっています。

執筆活動に加え、文化庁文化審議会文化政策部会や文化庁芸術祭、芸術文化振興基金等の委員、舞踊賞やコンクールの審査員を歴任され、舞踊の枠をこえ、日本の舞台芸術界全体の発展、国の文化政策の推進にも力を尽くしてこられました。昨年山野先生の訃報に際し、振付家、ダンサー、批評家、制作者、研究者など舞踊に関わる様々な立場の方が寄せた文章を拝見し、先生が日本の舞台芸術界に対して果たされてきた役割の大きさと多彩さに改めて驚かされました。

私共ダンス・タイムズのメンバーにとって偉大な師を失った喪失感は大きく、コロナ禍で集まって先生を偲ぶこともできないなか、一人一人がその悲しみを昇華して追悼文を紡げるようになるまでに長く時間がかかりました。一周忌にあたり、ここに追悼文を掲載いたします。先生の様々な面を広く知っていただきたく、各人がそれぞれ異なるテーマを設定しております。舞踊評論家としての矜持、舞踊史や舞踊批評を次世代へ継承することへの思い、愛した作品や劇場、そして先生の人生を豊かにしたお酒や趣味。ご覧いただき、それぞれの目から見た、師匠としての山野博大先生の姿、遺していただいた教え、そして人柄に思いを馳せていただければ幸いです。(折田 彩) 


★山野先生のみ2
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ayaorita at 00:42

November 07, 2021

金森穣振付の『かぐや姫』は全3幕のグランド・バレエになると発表されているが、全幕完成に先立ち第一幕が世界初演された。物語としては、おてんば娘のかぐや姫が、村の孤児と恋に落ちるも、都に連れて行かれるというところまで。秋山瑛と柄本弾、足立真里亜と秋元康臣のダブルキャストで、筆者は秋山・柄本の組で観た。難しいパも軽々とやってのける、少年のような秋山には当たり役。古典の枠組みにはまりきらない秋山の魅力が、本作では余すところなく発揮されていた。世話物のうまい柄本も陽気な演技で大らかな雰囲気があり、かぐや姫の初恋の相手としての説得力があった。全編ドビュッシーの音楽が使われ、わけても『月の光』を使ったパ・ド・ドゥは、リフトが多い変化に富んだ振付で、詩情に溢れていた。金森作品らしさといえば、環境問題に対する視点があり、ダークサイドの象徴のような不気味な黒子も登場する。また、かぐや姫があっという間に成長する様子を、影絵のような映像で見せるのも面白かった。同時に、きらびやかな衣装を纏った24人の緑の精の背景に、リアルな竹やぶの映像が使われたり、演出が十分キャラクターを捉えているにも関わらず、ことさらに役柄を説明するような衣装やセットが選ばれていたりと、見せたいものや伝えたいものを明確にするためには、少し引き算が必要ではないかと感じる部分もあるにはあった。とまれ第一幕だけで批評するのはフェアではない。全幕の完成が楽しみである。

同時上演はベジャールの『中国の不思議な役人』とキリアンの『ドリーム・タイム』。カンパニーの指導陣の一人である木村和夫は、かつて不気味な役人を当たり役としていた。今回はキャストが若返り、大塚卓が初役で中国の役人を務めた。途中で帽子を取ると、若さの象徴のような大塚のサラサラの髪が現れる。髪は工夫次第でいかようにもできるだけに、役人を踊るダンサーの若さを意図的に見せようとしたのだろうか。見応えのある舞台ではあったが、出演者と役の間に多少距離が感じられる部分もあった。『ドリーム・タイム』は沖香菜子、三雲友里加、金子仁美、宮川新大、岡崎隼也の5名が、序盤から終盤のパ・ド・ドロワまで、ムーヴメントを途切れさせることなく、一筆書きのように描きあげた。極めて完成度の高い舞台だった。

(隅田 有 2021/11/06 東京文化会館大ホール 14:00)


outofnice at 20:39舞台評

November 02, 2021

過去最悪の第5波をようやく脱したタイミングで、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)が4年ぶりの来日を果たした。もとは2020年に予定されていた舞台だが、パンデミックの影響を受け、2度の延期を経て実現した公演だった。

ツアー前半では、ジル・ロマン振付『人はいつでも夢想する』、ベジャール振付『ブレルとバルバラ』および『ボレロ』の3作が上演された。芸術監督のロマンは2017年の前回の来日公演に引き続き、振付家としての実力を示した。ジョン・ゾーンの曲を使い、映像も用いた『人はいつでも夢想する』は、どこか能を思わせる構成で、ワキのような位置づけの青年(ヴィト・パンシーニ)のもとに、シテのようなミステリアスな女性(ジャスミン・カマロタ)がやって来て、インスピレーションが万華鏡のように展開していく。振付に対して音楽の主張が若干強い部分もあるにはあったが、出演者の個性が生きる振付で、BBLのダンサーの持ち味が観客に良く伝わる作品だった。中性的でしなやかな脚を持つリロイ・モクハトレや、無駄を削ぎ落とした踊りで振付の核心を付く大貫真幹は、とりわけ素晴らしかった。続いて全編としては日本初演の『ブレルとバルバラ』と、来日公演の定番『ボレロ』が上演された。『ボレロ』のメロディはエリザベット・ロスで観た。強さ、恐ろしさ、エロティシズムの全てが、2017年のパフォーマンスを上回っていた。

ツアー後半に上演された『バレエ・フォー・ライフ』はクイーンとモーツァルトの名曲を使った作品で、初演は1996年。1991年と1992年に、ともに45歳で亡くなったフレディ・マーキュリーとジョルジュ・ドンに捧げら得た作品として知られているが、踊りとしてはジル・ロマン(当時)のパートが軸となっている。フレディ役のダンサーはカツラを被ったり派手な衣装を纏ったりして、舞台に現れては消えてゆくが、中央に置いた椅子に座り睨みをきかせているのはジルである(ここではあえてファーストネームで呼ぼう)。2021年10月現在ジル・ロマンはBBLの芸術監督で、本人の役では出ていない。「ショー・マスト・ゴー・オン」が流れるカーテンコールでは、ベジャールの代わりを務めている。代わりにガブリエル・アレナス・ルイズが、かつてのジルの激しさを彷彿とさせる踊りで、しっかりと存在感を示していた。

本公演は文化庁の『子供文化芸術活動支援事業』の一環として、18歳以下の子供たちが無料で招待されていた。舞台芸術の入門編としては、両プログラムともやや尖った内容だったのではないだろうか。公演終了後は劇場入り口で子供を迎える親御さんたちを多く見かけたが、舞台を見た子供の感想をご家族の方々はどのように受け止めたのだろうか。終演後に誰かと感想を共有するところまでが舞台芸術の醍醐味だと、いち舞台ファンとしての見解も示しておきたい。

(隅田有 2021/10/10, 2021/10/17 東京文化会館大ホール 14:00)


outofnice at 23:27舞台評
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