September 06, 2022

BunkamuraとK-BALLET COMPANYにより発足された「Bunkamura K-BALLET Opto」は、ネザーランド・ダンス・シアターをはじめ各国で活躍した渡辺レイ舞踊監督(K-BALLET COMPANY舞踊監督と兼任)の下、世界屈指の振付家によるオリジナル作品や異なるジャンルとのコラボレーションを生み出してゆく新プロジェクトである。これまで古典作品を中心に上演を重ねてきた同カンパニーの新たなる挑戦に、期待は高まるばかりだ。

 

petitpetitpetit_チラシオモテ



今回の「プティ・コレクション」と銘打たれた旗揚げ公演では、メディ・ワレルスキー振付『Petite Ceremonie(プティ・セレモニー)“小さな儀式”』森 優貴振付『Petite Maison(プティ・メゾン)“小さな家”』渡辺レイ振付『Petit Barroco(プティ・バロッコ)“小さな真珠(ゆがんだ真珠)”』の3作品が上演される。プリンシパル5名を筆頭に、主軸を担うダンサーが総出演という、通常の全幕公演ではなかなか実現することのない豪華なキャスティングも大きな見どころである。

◎DSC04668
           (C) K-BALLET COMPANY


先日、公開リハーサルが行われ、『Petite Ceremonie』『Petit Barroco』の2作品が披露された。『Petite Ceremonie』は、2011年の初演以来、ワレルスキー自身が芸術監督を務めるバレエ・ブリティッシュ・コロンビアやジョージア国立バレエ団等でも上演されているが、アジア圏では本公演が初演となる。一人また一人とダンサーが舞台に現れ、同一のムーヴメントを繰り返しながら次第に緊密さを増してゆく冒頭から、総勢15名による無音の中でのユニゾン、畳みかけるように展開される乱舞など、みるみる増幅されてゆく高揚感が空間を満たしてゆく様は圧巻であった。


◎DSC04731
           (C) K-BALLET COMPANY

続く世界初演作『
Petit Barroco』は、「バロックとジェンダー」がテーマである。バロックという語は、「歪んだ真珠」を意味する「Barroco(バロッコ)」からきているとされており、ルネサンスからバロックへと”様式”、つまり美の価値基準が変容してゆく渦中での“抵抗力”や“反発力”に魅力を感じた渡辺が、そこに「女性の解放された自己表現」を重ね合わせたという。洗練された佇まいが際立つ飯島望未を中心に、ハイヒールでの動きとそれを脱ぎ捨ててからのシークエンスとの対比、ポーズやフォーメーションの非対称性の妙など、細部に至るまで非常にコンセプチュアルな構成にぐっと引き込まれた。また、ワコールの人気ブランドである「Salute」の衣裳協力も実現。”強い女性”がイメージのランジェリーを纏った彼女たちの身体から放出される「極限の力、究極的なエネルギー」を堪能したい。

さらには、ドイツのレーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニーで芸術監督として手腕を振るってきた森による『Petite Maison』も世界初演となる。日眄ず擇鬚呂犬瓠男性ソリスト陣も出演し、濃密なドラマが繰り広げられるであろう。


クラシックとコンテンポラリーの両輪で、ますますその真価を発揮するKバレエの今後に注目するとともに、迫る開幕を心して待ち望みたい。(宮本珠希)

 

≪公演情報≫
K-BALLET Opto 「プティ・コレクション」

日程:930日(金)1230分開演、1730分開演

   101日(土)1230分開演、1730分開演

会場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉

オンラインチケット:My Bunkamura    https://mybun.jp/k-opto

チケットセンター:03-3477-9999(オペレーター対応10001700
チケットカウンター:Bunkamura1F(10:00〜18:00)
東急シアターオーブチケットカウンター:渋谷ヒカリエ2F(11:00〜18:00)




piyopiyotamaki at 21:51レポート

August 27, 2022

「THE DANCE TIMES選出:ダンサー月間ベストテン」再開にあたって

「THE DANCE TIMES選出:ダンサー月間ベストテン」は2012年8月に始まり、2020年2月まで毎月発表していましたが、コロナ禍による舞踊公演の中止、激減により中断を余儀なくされました。徐々に舞踊公演が再開される中、本活動の中心を担ってきた山野博大先生が逝去されるなど、ダンス・タイムズ編集部を取り巻く環境も変化しました。しかし、ダンスを愛する編集部の思いは変わらず、この度、2022年7月公演分より再開することにしました。

そのため開始当初の目的や選考方法を振り返り、現状に合わせた変更を行うと同時に、変わらぬ思いを再確認しました。目的は、多様なジャンルで活躍するダンサーに光を当てることで応援し、活動を記録し、日本におけるダンスの活性化を願うものであり、それは今も変わりません。そのため選考ルールは、(1)順位をつけず、公演日順に発表する、(2)日本を拠点に活動するダンサーを対象とし、特に個人にこだわらずに選出する、(3)海外から帰国して踊る日本出身のダンサーは対象とする、でした。今回このルールを継続しますが、「ベストテン」という数にはこだわりません。また、日本のダンス状況、芸術創造の場や方法は日々変化しています。変化を冷静に見極め、柔軟に対応していく所存です。

選出は、従来通りにダンス・タイムズ編集部の合議によって行いますが、対象はジャンルや地域に偏りが生じることを、ご理解頂ければ幸いです。再開にあたり痛感するのは、山野先生がいかに多様なジャンルの舞踊公演、舞台公演を、全国各地に脚を延ばしてご覧になっていたか、ということです。残念ながら現在の編集部では、山野先生のように幅広いジャンルをカバーし、各地へ出かけて公演を拝見することは叶いません。微力ではありますが、今後も舞踊評論という目と言葉を通じてダンスを記録し、応援し続けたいと願っています。

2022年8月 ダンス・タイムズ編集部 稲田奈緒美
続きを読む

outofnice at 14:37公演情報

May 07, 2022

東京バレエ団がジョン・クランコ版『ロミオとジュリエット』をバレエ団として初演した。トリプルキャストで初日が沖 香菜子と柄本弾、二日目が足立真里亜と秋元康臣、最終日が秋山 瑛と池本祥真がそれぞれ主演した。5月1日の様子を報告する。
続きを読む

outofnice at 16:25舞台評

February 28, 2022

25日に山野博大先生の一周忌にあわせて掲載した追悼特集は、おかげさまで公開から3週間で1000件以上のページビューを重ねています。多くの皆様に、山野先生の舞踊評論家としてのポリシーや人柄を知っていただけたことを心から嬉しく思います。追悼特集では、我々メンバーが書いた追悼文をまとめましたが、この機会に山野先生自身の文章にも触れていただきたく、補記を設けることとしました。

山野先生がThe Dance Times(ダンス・タイムズ)に寄せた文章は、批評だけでも243本を数え、その他、亡くなられた舞踊関係者への追悼文、審査員を務めた舞踊賞やコンクールの受賞者評、お勧め公演紹介、趣味で楽しまれていた句会の報告等、多岐にわたっています。今回、追悼特集を行うにあたり、先生の批評文243本に頻出する単語を1000語抽出し、ワードクラウドを作成しました。こうして視覚的に先生の文章に触れ、形容詞が少なく、名詞と動詞がほとんどを占めること、感覚的な表現が少ないことに改めて驚かされました。批評は第一に、公演に関する事実を客観的に記載すべきであるという、山野先生の舞踊評論家としてのモットーを感じていただけるのではないかと思います。

243本の批評をここで列挙することは控えますが、メンバーがそれぞれの追悼文で触れたトピックスに関連している文章をご紹介します。舞踊評論家、山野博大が今を生きる我々と後世の方のために遺したたくさんの言葉たちを、どうぞご覧ください。(折田 彩)


頻出語クエリ_1000

続きを読む

ayaorita at 13:10

February 05, 2022

The Dance Times(ダンス・タイムズ)の代表として私共をまとめてくださっていた山野博大先生が2021年2月5日に84歳で永眠され、早くも1年が経ちました。山野先生は1950年代から60年以上にわたって舞踊評論家として活動され、国内で開催されるあらゆるジャンルの舞踊公演やコンクール、発表会やおさらい会にまで足を運び、新聞や舞台専門誌等に数多くの批評を寄稿されました。先達の功績の継承にも熱心に取り組まれていて、山野先生が編著者としてまとめられた『踊る人にきく 日本の洋舞を築いた人たち』(三元社、2014年)は、日本の舞踊史を知る上で欠かせない一冊となっています。

執筆活動に加え、文化庁文化審議会文化政策部会や文化庁芸術祭、芸術文化振興基金等の委員、舞踊賞やコンクールの審査員を歴任され、舞踊の枠をこえ、日本の舞台芸術界全体の発展、国の文化政策の推進にも力を尽くしてこられました。昨年山野先生の訃報に際し、振付家、ダンサー、批評家、制作者、研究者など舞踊に関わる様々な立場の方が寄せた文章を拝見し、先生が日本の舞台芸術界に対して果たされてきた役割の大きさと多彩さに改めて驚かされました。

私共ダンス・タイムズのメンバーにとって偉大な師を失った喪失感は大きく、コロナ禍で集まって先生を偲ぶこともできないなか、一人一人がその悲しみを昇華して追悼文を紡げるようになるまでに長く時間がかかりました。一周忌にあたり、ここに追悼文を掲載いたします。先生の様々な面を広く知っていただきたく、各人がそれぞれ異なるテーマを設定しております。舞踊評論家としての矜持、舞踊史や舞踊批評を次世代へ継承することへの思い、愛した作品や劇場、そして先生の人生を豊かにしたお酒や趣味。ご覧いただき、それぞれの目から見た、師匠としての山野博大先生の姿、遺していただいた教え、そして人柄に思いを馳せていただければ幸いです。(折田 彩) 


★山野先生のみ2
続きを読む

ayaorita at 00:42
記事検索