July 31, 2026

鳥取・高知・石川共同制作 改訂・新演出 バレエ『赤毛のアン』制作発表会

山本康介振付『赤毛のアン』が、2026年8月から12月にかけて、鳥取・高知・石川の三県共同制作による改訂・新演出版として上演される。7月中旬に開催された制作発表会から、トークセッションの様子をレポートする。

登壇者:
井田勝大(音楽監督・指揮)
山本康介(振付・演出)
小林美奈(主演)
葛西竜之介(作曲)


音楽から立ち上がるバレエ

『赤毛のアン』は三幕構成の全幕作品で、2024年10月に世界初演された。指揮・音楽監督の井田勝大の地元、鳥取県文化振興財団が制作した本作は、作曲家・葛西竜之介によるオリジナルのオーケストラ楽曲を用いている。舞踊作品では振付サイドが音楽家に新制作の構想を語り『それに合う音楽はどういうものか』と持ちかけることが多いが、『赤毛のアン』は「音楽家サイドから『こんなバレエを作ってはどうか』と発信し、そこから新しい芸術作品を作りあげる」(井田)という、発想の転換から生まれた作品だ。楽曲には登場人物やエピソードに合わせ、約25のモチーフがあり、なかでもアンのテーマは、少女の成長に伴って形を変えていく。初演ではアニメ版の楽曲が含まれていたが、それらを葛西の書き下ろしに差し替えることで、今回は全曲オリジナル曲で上演。主人公の多面性を表した楽曲が、さらに色鮮やかに立ち上がるだろう。


バレエで表現されるアン・シャーリー

アンはとてもおしゃべりな女の子だ。ひっきりなしに喋るヒロインを、言葉のないバレエでどのように描くのだろうか。山本は、おしゃべりな一面を反映し、細かいステップが多くなっていると認める。しかし「ステップ=言葉という単純な対応にはしていない」(山本)。「おしゃべり」の描写が示しているのは、アンの豊かな感受性に伴う喜怒哀楽と捉えると、バレエとの親和性はぐっと高まる。井田は企画の際に「感情表現の豊かさというのは、バレエで十分に表現できる」と感じたそうだ。山本は「落ち込んでいる気持ち、楽しい気持ちなど、アンが何を感じているか」を優先して振り付けたと明かし、主人公の豊かな表情を反映するものとして、自然と腕の動きが多くなっていると語った。


主演は小林美奈

初演時に「赤毛のアンをやるならこの人しかいない」と井田からオファーされた小林。今回も三公演全てでタイトルロールを踊る。小林は「再演があれば、ぜひまたこのチームで作品に携わりたい」と願っていたという。感情が現れやすく素直なアンは、自身にも繋がるところがあるそうだ。三県を巡るチームの絆はこれまで以上に強く「観る人それぞれの『今』の気持ちに応じて、作品を感じ取ってくれれば」と小林は述べた。


地域から広がるバレエ、世界と繋がるバレエ

オペラやバレエの上演は首都圏に集中する傾向にあるが、『赤毛のアン』は地方の劇場から発信する画期的なプロダクションだ。各地のバレエ教室から集まった子どもたちが参加するリハーサルでは、クラシックバレエの基礎はもとより、子どもたちの個性や、まだ自分でも気づいていないバレエの楽しさ、演じることの楽しさを広げるような指導が行われているという。鳥取が発信し、石川・高知へと地域が広がる本作。地域の劇場が総合芸術を発信する、先導的な存在になることに期待したい。


山本は最後に、紛争が続く世界情勢に触れ、本作のキーワードは"結束した愛"であると述べた。「植民地から独立して間もないカナダ・プリンスエドワード島で、人々が自分たちの国をつくっていった物語であり、両親を亡くし、たらい回しにされた孤独な少女が、実の家族以上の存在に出会うストーリー」(山本)。そんな強く優しい人々たちが織りなす心温まるバレエが、今年後半三つの県で上演される。


【公演情報】

鳥取公演 08/30(日)とりぎん文化会館 梨花ホール
高知公演 11/15(日)新来島高知重工ホール オレンジホール
石川公演 12/20(日)石川県立音楽堂 コンサートホール

バレエ「赤毛のアン」公式インスタグラム
https://www.instagram.com/anne.ballet_official/



outofnice at 13:00公演情報 
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