July 20, 2026
英国ロイヤル・バレエ団『リーズの結婚』
アクリ・堀本バレエアカデミー出身で、英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリストのアクリ瑠嘉が、フレデリック・アシュトン振付『リーズの結婚』に主演した。会場は川口総合文化センター・リリアで、出身地埼玉県での公演ということもあってか、アクリの活躍を祝う観客が拍手と歓声を惜しみなく送る温かいステージとなった。
アクリはスティーヴン・マックレーの代役としての登場だったが、コヴェントガーデンで5月に上演された同公演でも、マックレーの代役を務めている。父マシモ・アクリ譲りの芝居の上手さと天性の陽気さはコーラス役にぴったりだ。息の長いシークエンスを一気に踊り切ったり、ひと呼吸おいて心地よいノリを加えたりといった、ムーヴメントの解釈が明確で、2本のワインボトルを持って踊るピクニックの場面では、振付の面白みをたっぷりと引き出していた。また難易度の高いリフトや、ラストまで気が抜けないグラン・ピルエットの見せ場など、技術的なしどころも手堅くこなしていた。リーズ役のアナ・ローズ・オサリヴァンは、周囲の賑やかなキャラクターに押され気味で、2幕のコーラスとの結婚生活を夢想するマイムや、階段をお尻で降りるといったコミカルな場面は、アシュトンの演出力に頼るところが大きかった。技術面では安定感があり、足のアーチが美しく、ポアントで立った際はもとより、踊り始めの一歩などの小さな仕草が引き立つ。リボンを持ったままアティテュードで回る場面も、危なげなくこなしていた。
主演二人と並んで舞台を盛り上げたのが、シモーヌ役のジェームズ・ヘイとアラン役のリアム・ボスウェルである。特にヘイの非言語による表現力は圧巻で、つまずいた後に、舞台の一点を指さしながら客席を向くといったコミカルな仕草など、シモーヌが言いたいことが手に取るように伝わる。リーズの結婚を渋々認めると、一転してリーズとコーラスの味方となり、立腹したトーマスから体を張って二人を守る場面では、情に厚いシモーヌの一面に感動を覚えた。コヴェントガーデンでは昨年10月から今年6月までの間に本作を21回上演しているが、それより前の公演からは約8年、間が空いたという。多くの若手ダンサーにとっては初めて取り組むプロダクションだっただろう。しかし笛やシモーヌが放り投げるブーツはミスなくキャッチされ、リボン・ダンスも盛り上がり、上演のブランクを感じさせない息の合ったステージだった。
(隅田有 2026年7月4日 13:00 川口総合文化センター・リリア)