September 03, 2024
東京シティ・バレエ団『コッペリア』
石井清子振付の『コッペリア』(全三幕)は、1988年に有馬五郎演出、石井清子振付で初演され、1996年からは石井の演出・振付となり、これまでに全国で約350回上演されている。巧みで変化に富んだ振付と、見たままを楽しめる軽快な演出の名作で、本作を100回以上踊ったという芸術監督の安達悦子を始め、多くのダンサーたちも作品を磨き上げてきたのだろう。まさに東京シティ・バレエ団の代表作の一つだ。土日2公演で、スワニルダに庄田絢香と清水愛恵、フランツに浅田良和とキム・セジョン、コッペリウスに春野雅彦と青田しげるが出演した。
石井の振付は、クロワゼのポーズで背中を美しく使ったり、アンデダンからのアンデオールのピルエットで、正面を次々に変更したりと、面白みに事欠かない。奥行きが浅く横に長い一般的な日本の舞台にも、よく合っている。コッペリウスはスーツ姿の紳士で、キャラクターの造形にはプティ版の影響が感じられる。登場は二幕までだが、その二幕のラストは、コッペリアを抱きかかえて絶望するコッペリウスと、同じポーズで愛を再確認し、喜びに溢れるスワニルダとフランツの二組が並び、コッペリウスの哀愁が強調された。三幕は新しい鐘が釣られた広場で、祝祭と結婚式。カーテンコールでは、赤いリボンをつけたコッペリア姿の石井清子が舞台に登場し大喝采を浴びた。
筆者が見た二日目は、清水とキムが主演。清水は長い腕を大きく使い、両腕を上げる仕草に、底抜けの明るさを感じさせる。過去にもバランシンの『アレグロ・ブリランテ』やウヴェ・ショルツの『オクテット』など、音とステップが厳密に結びついた作品で、清水の音取りの正確さに注目してきたが、本作でもアレグロを軽やかに踊りこなしていた。キムも大らかさや人情味の感じられる演技で、舞台を盛り上げる。主演二人を筆頭に、出演者が石井のスタイルを熟知していることが、舞台を大きな成功に導いていた。
(隅田 有 2024/07/28 ティアラこうとう大ホール 14:00)