July 20, 2024
日本バレエ協会神奈川ブロック《BALLET ART KANAGAWA 2024SUMMER BALLET CONCERT VOL. 18》
日本バレエ協会神奈川ブロックが、2019年以来5年ぶりにサマー・バレエ・コンサートを開催した。演目は、演出・振付:樋口ゆり『ホルベルク組曲』、演出・振付:横井 茂/振付:新井雅子『オズの魔法使い』、演出・振付:松下 真「『海賊』抜粋」の3本だった。
『ホルベルク組曲』はチュニックを身につけた10名の女性ダンサーと、男女のプリンシパルが登場するアブストラクト・バレエで、身長の高いダンサーを前方に、低いダンサーを後方に配して遠近感を強調するなど、フォーメーションに工夫があり見応えがあった。『オズの魔法使い』はポアントを履いた女性ダンサーが演じることで、ブリキマンがコロンビーヌの役回りであることが暗示され、カカシとライオンとともに、バレエにおなじみのカーニバルの3人組のフレームワークが提示されていた。『海賊』は休憩なしの約1時間半で、全幕を駆け足で見せる。踊りの見所、キャラクテールの見せ場、物語と、全方向に目配せした内容となっていたが、これらの中で最も観客に見せたい部分にフォーカスする構成でも成立したのではないかと思う。ところで赤い靴を履いた少女たちは、横浜へのオマージュだろうか?
年齢もバレエ歴も異なる若手ダンサーが出演し、成長の度合いに合わせて、トゥ・シューズとバレエ・シューズのダンサーが同じパートを踊る場面が度々見られた。脚の成長を妨げるような負担を避けて、ダンサーの将来を気遣うスタンスが明確で素晴らしかった。
(隅田有 2024/06/30 神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール 13:00)