June 25, 2024

東京バレエ団『ロミオとジュリエット』

東京バレエ団が2022年に初演したジョン・クランコ版『ロミオとジュリエット』を再演した。プティパに代表される古典の演目と異なり、踊りと芝居が同時進行で進む本作は、要所要所で「崩す」技術も求められる。登場人物が個性と実力を発揮しつつも、方向性を違えることなく、前回に続き完成度の高い舞台に仕上がっていた。

初演と同様にファーストキャストは沖香菜子と柄本弾が勤めた。沖の可憐さと芯の強さ、そして柄本の優しくロマンティックな雰囲気は、そのまま役のイメージに当てはまる。登場するだけでロミオ役とジュリエット役としての説得力があり、二人の存在感が全幕の軸となっていた。キャラクテールで特筆すべきはティボルトを演じた安村圭太で、剣を振り回しながら登場した瞬間から敵役のオーラを発揮していたが、各シーンにおける"憎々しさ"の配分はしっかりと計算されており、演技にメリハリが効いていた。上から見くだすように顎を上げたり、斬りかかる直前ストゥニュに入って斜めの角度を見せたりと、ティボルトという役を表すためのポーズの引き出しが多い。2幕終盤のロミオとティボルトの決闘シーンが、本公演の緊張感のピークであった。

髪を金髪に染めて登場したマキューシオの宮川新大や、ベンヴォーリオの樋口祐輝は、芝居もさることながら、片手の側転やバク転も軽々とやってのける身体能力の高さを、うまく作品に取り込んでいた。ヴェローナの年老いた大公(中嶋智哉)は、フォルテッシモの音を使って両家を叱責する演技よりも、直後の弦楽のピアニッシッシモで眉間をおさえる仕草に重きをおくことで、両家の争いを憂いている様子を強く印象付けた。パリスの生方隆之介、ジプシーの伝田陽美、三雲友里加、加藤くるみも、役をしっかりと捉えていて見応えがあった。

(隅田 有 2024/05/24 18:30 東京文化会館大ホール)


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