April 23, 2010

(山野博大調べ)
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(ダンス・タイムズ 山野博大)

100516/SUN
15:00 ○チャイコフスキー記念東京バレエ団「オネーギン」/東京文化会館
振=クランコ
タチヤーナ=田中結子 オネーギン=後藤晴雄 オリガ=佐伯知香 レンスキー=長瀬直義 グレーミン=森川茉央
15:00 ○大駱駝艦壷中天公演「オママゴト」/壷中天
振鋳・鋳態=田村一行 鋳態=村松卓矢、向雲太郎、松田篤史、塩谷智司、鉾久奈緒美、藤本梓、岡本彩、西森由美子 他 監修=麿赤兒
15:00 ○大橋可也&ダンサーズ新作公演「春の祭典」/シアタートラム
振・出=大橋可也 出=垣内友香里、皆木正純、前田尚子、多田汐里、とまるながこ、山田歩、唐鎌将仁、平川恵里彩、エフテル・プリュン、HIKO
17:00 ○BALLET×DANCE COMPARISON 2nd performance 13:00も/川崎市アートセンターアルテリオ小劇場
「オディールの涙」振=日原永美子 他
出=佐々木和葉、厚木彩、三木雄馬、敖強、安藤雅孝、上原なつき 他
18:15 ○横滑ナナ野外舞踏2010「くうぅのつき」/大倉山公園雑木林の丘
15:00 ○COLONCH【COLONCH vol.2】/神楽坂die pratze
出=阿久津孝枝、堺真理恵、玉上めぐみ、中田智子、中津留絢香、西田沙耶香、長谷川風立子、東島未知、藤澤優香
17:00 ○シアター21フェスvol.80/セッションハウス
16:00 ○有馬龍子バレエ団60周年記念特別公演/京都会館2
「屏風」振=有馬龍子、安達哲治 「ロゼット」振=堀内充 「カルメン」他
出=ヤンヤン・タン、矢上恵子、佐々木大、陳秀介、秋定信哉、福岡雄大 他
/  ○松岡伶子バレエ団附属研究所発表会/中京大学文化市民会館オーロラホール
100517/MON
19:00 ○BALLET COMPANY PASHA:PASHA PROJECT 2010 FIRST COLLECTION/セシオン杉並
「わらべ歌」振=石井竜一 「Norte」振=松崎えり 「Gitana Ardore」振=新村純一 「Parahorizon」振=松本大樹 他
出=石井あゆ、石井竜一、松崎えり、新村純一、八木美帆、吉田真由美 他
100518/TUE
19:00 ○ラ ダンス コントラステ第14回アトリエ公演/吉祥寺シアター
「ミミ」演・振=佐藤宏 出=竹内春美、武石光嗣  
「ヴィオレッタ」演・振=中原麻里 出=伊藤さよ子、白髭真二、依田久美子、近藤舞、朝弘佳央理、公門美佳、加藤槙、白石明世
18:30 ○BALLET COMPANY PASHA:PASHA PROJECT 2010 FIRST COLLECTION/セシオン杉並 
「わらべ歌」振=石井竜一 「Norte」振=松崎えり
「Gitana Ardore」振=新村純一 「Parahorizon」振=松本大樹 他
出=石井あゆ、石井竜一、松崎えり、新村純一、八木美帆、吉田真由美 他
18:30 ○マラーホフの贈り物2010:Aプロ/東京文化会館
出=ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー 他
100519/WED
19:00 ○ラ ダンス コントラステ第14回アトリエ公演/吉祥寺シアター
「ミミ」演・振=佐藤宏 出=竹内春美、武石光嗣 
「ヴィオレッタ」演・振=中原麻里 出=伊藤さよ子、白髭真二、依田久美子、近藤舞、朝弘佳央理、公門美佳、加藤槙、白石明世
18:30 ○マラーホフの贈り物2010:Aプロ/東京文化会館
出=ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、
マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー 他
100520/THU
19:00 ○勅使川原三郎新作公演「オブセッション」/シアターコクーン
振・美・照・衣・出=勅使川原三郎 出=佐東利穂子
100521/FRI
19:00 ○勅使川原三郎新作公演「オブセッション」/シアターコクーン
振・美・照・衣・出=勅使川原三郎 出=佐東利穂子
18:30 ○マラーホフの贈り物2010:Bプロ/東京文化会館
出=ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー 他  
19:00 ○ダンス・パフォーマンス的公演/桜美林大学・プルヌスホール
「ウォールフラワーズ。」演・振=白神ももこ
100522/SAT
17:00 ○牧阿佐美バレヱ団「眠れる森の美女」/ゆうぽうと
振=ウエストモーランド オーロラ姫=伊藤友季子 王子=京當侑一籠 リラの精=田中祐子 カラボス=保坂アントン慶
15:00 ○勅使川原三郎新作公演「オブセッション」/シアターコクーン
振・美・照・衣・出=勅使川原三郎 出=佐東利穂子
18:30 ○バレエ シャンブルウエスト第61回定期公演/いちょうホール「シンデレラ」
シンデレラ=新井優美 王子=正木亮羽
15:00 ○マラーホフの贈り物2010/東京文化会館
出=ウラジーミル・マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、マリア・アイシュヴァルト、マライン・ラドメイカー 他
16:00 ○第4回東京国際ダンスワークショップ:ショーイング/森下スタジオ
指導=岩淵多喜子、太田ゆかり
18:00 ○マグナム★マダム「夏メロ」/セッションハウス
出=天方真帆、楠美奈生、小森里子、清水良子、ノリエ・ハマナカ、花田雅美、藤原まさこ、米沢倫子、山口夏絵 他
19:00 ○大倉摩矢子舞踏公演「明るさの淵」/テルプシコール
14:00 ○ダンス・パフォーマンス的公演/桜美林大学・プルヌスホール
「ウォールフラワーズ。」演・振=白神ももこ
100523/SUN
15:00 ○牧阿佐美バレヱ団「眠れる森の美女」/ゆうぽうと
振=ウエストモーランド
オーロラ姫=青山季可 王子=逸見智彦 リラの精=吉岡まな美 カラボス=森田健太郎
15:00 ○勅使川原三郎新作公演「オブセッション」/シアターコクーン
振・美・照・衣・出=勅使川原三郎 出=佐東利穂子
15:00 ○チャイコフスキー記念東京バレエ団「オネーギン」/神奈川県民大ホール
タチヤーナ=斎藤友佳理 オネーギン=木村和夫 オリガ=高村順子 レンスキー=井上良太 グレーミン=平野玲
16:00 ○バレエ シャンブルウエスト第61回定期公演/いちょうホール
「シンデレラ」シンデレラ=川口ゆり子 王子=吉本泰久
18:00 ○マグナム★マダム「夏メロ」/セッションハウス 15:00も
出=天方真帆、楠美奈生、小森里子、清水良子、ノリエ・ハマナカ、花田雅美、藤原まさこ、米沢倫子、山口夏絵 他
18:00 ○大倉摩矢子舞踏公演「明るさの淵」/テルプシコール
100524/MON
100525/TUE 18:30 ○第30回記念モダンダンス5月の祭典/シアター1010
「白い月」育麻咲美 「やさしさの選択」中原なおみ 「Wolk」渡部倫子 「Time」木下三知代 「木漏れ日」杉江良子 「三拍子のカナリア」森谷紀久子 「Inspire」秀和代 「白い楽園」日比野京子 「暗闇を舞う蓮華」育かほる 「Gloria」荒木陽一 「RIVER」井上恵美子 「声」池田瑞臣 「祈り」内田裕子 「Dear hill」高瀬多佳子 「今様乱舞」真船さち子 「Body」より 武元賀寿子
100526/WED
18:30 ○第30回記念モダンダンス5月の祭典/シアター1010
「Rose」伊東由里 「ひだまり」長谷部由美 「ウォール街」谷乃梨絵 「凍てつく風趣」小澤秀江 「回廊の彩」奥村信子 「鳥の目」稲葉厚子 「誘い」佐取純子 「Deep Blue」窪倉チエ子 「望郷佐渡おけさ」山本寿美子 「Celebration」杉原ともじ 「五月の岩清水」若松美黄 「by and by」佐藤昌枝 「THE REEL」小林祥子 「風の彩譜」本間祥公 「おどり畑」平多実千子
18:30 ○熊川哲也 K-BALLET COMPANY「眠れる森の美女」/神奈川県民ホール
演・再振=熊川哲也 美・衣=ピーター・ファーマー
オーロラ姫=東野泰子 フロリムント王子=熊川哲也
18:00 ○青山ダンシングスクエア公演2010/めぐろパーシモンホール 
《十二の森のギー》振=小川亜矢子、木佐貫邦子、二見一幸、加賀谷香、近藤良平、今間千佳子、柳本雅寛、箱田あかね、赤尾仁紀、金田あゆ子 他
100527/THU
18:30 ○第30回記念モダンダンス5月の祭典/シアター1010
「peep hole」西原礼奈 「眠りの森」星野聡子 「迷夢」藤田三恵子 「sight」米沢麻佑子 「leash」中條富美子 「夢…のはなし」庄司恵美子 「niwa niwa ラムの空き瓶」天野和市 「ゆ・れ・る」小柳出加代子 「魂のリズム」池田瑞臣・和田寿子 「白い風の向こう」アキコ・カンダ 「生命の交叉点」矢野通子 「サマータイム」明尾真弓・関桂子  「ダイビング」正田千鶴
18:00 ○青山ダンシングスクエア公演2010/めぐろパーシモンホール
《十二の森のギー》振=小川亜矢子、木佐貫邦子、二見一幸、加賀谷香、近藤良平、今間千佳子、柳本雅寛、箱田あかね、赤尾仁紀、金田あゆ子 他
100528/FRI
18:30 ○熊川哲也 K-BALLET COMPANY「眠れる森の美女」/東京文化会館
演・再振=熊川哲也 美・衣=ピーター・ファーマー
フロリムント王子=熊川哲也 オーロラ姫=東野泰子
18:30 ○第30回記念モダンダンス5月の祭典/シアター1010
「ともしび」鬼塚マミコ 「madder」鳴上順 「ABALANCE I」山元美代子 「酔月」手島かつこ 「ボレロ」鈴木七重 「やさしい手」ラコーナ 「HAWAI'I 2010」レイアロハ和多田 「その花は」折田克子 「Alegria」田中菜穂子 「Esperanza en mi Corazon」葛西良子 「Petenera」鍵田真由美・佐藤浩希 「RITMO Y COMPAS」小松原庸子
19:30 ○小林嵯峨+NOSURI舞踏公演「ォくるみ」/テルプシコール
構・演・出=小林嵯峨 出=博美、夕湖、榎木ふく 他
19:30 ○ささらほうさら舞踏試演会ハバカリセンバン「でものはれもの」/清澄白河・イベントスペース&ブックカフェそら庵
出=松本萌、安田理英、大越歩
100529/SAT
18:00 ○新国立劇場コンテンポラリーダンス:ダンステアトロンNo.18/新国立劇場中 《DANCE to the Future》「Wolfgang for Webb」演・振=ドミニク・ウォルシュ
出=ドメニコ・ルチアーノ、酒井はな、小野絢子、さいとう美帆、楠元郁子、西山裕子、湯川麻美子、冨川祐樹、福田圭吾、古川和則、山本隆之、八幡顕光 
「THE LAST ERA OF CENDERELLA」振=能美健志 出=貝川鐡夫、本島美和、大湊由美、川口藍、成田遥、細田千晶、中田実里、山田蘭
「Snow Lotus〜雪蓮華」振=井口裕之 出=澤田展生、前田新奈、厚木三杏、遠藤睦子、西川貴子、大和雅美、井倉真未、今村美由起、若生愛、間近朋美
14:00 ○熊川哲也 K-BALLET COMPANY「眠れる森の美女」/東京文化会館
演・再振=熊川哲也 美・衣=ピーター・ファーマー
フロリムント王子=熊川哲也 オーロラ姫=荒井祐子
18:30 ○第30回記念モダンダンス5月の祭典/シアター1010
「迦楼羅」伊藤利江 「夏ぎぬ薄ぎぬ衣がえ」羽田節子 「プロローグ」あわためぐる 「Swing, Brother, Swing…」上田仁美 「音霊」服部由香里 「Apasionado」ナルシソ・メディナ、渡部美紀 「風舞−風の寓話−」吉岡陽子 「コンチェルト」大津千恵 「舟歌」佐藤典子 「LA BODA DE LUIS ALONSO」武田泉 「LA CANA」岡田昌巳 「アストゥリアス」平富恵  「シギリージャ・イ・マルティネーテ」石井智子 「躍動」蘭このみ  「ALEGRIAS」小島章司
19:30 ○シアター21フェス:Step Up vol.31/セッションハウス      16:00も
出=いだくろ(井田亜彩美・黒田なつ子)、後藤麻泉子、旅立ちの銀河(木原浩・T・塩野入・S・一代 他)ハポネンズ(五十嵐結也、鈴木智也、伊藤麻衣子、中村理、橋本礼)山口裕子・三浦香織・坂田有妃子
19:30 ○ささらほうさら舞踏試演会ハバカリセンバン「でものはれもの」/清澄白河・イベントスペース&ブックカフェそら庵
出=松本萌、安田理英、大越歩
100530/SUN
15:00 ○新国立劇場コンテンポラリーダンス:ダンステアトロンNo.18/新国立劇場中《DANCE to the Future》
「Wolfgang for Webb」演・振=ドミニク・ウォルシュ
出=ドメニコ・ルチアーノ、丸尾孝子、小野絢子、さいとう美帆、楠元郁子、西山裕子、湯川麻美子、冨川祐樹、福田圭吾、古川和則、山本隆之、八幡顕光
「THE LAST ERA OF CENDERELLA」振=能美健志 出=貝川鐡夫、本島美和、大湊由美、川口藍、成田遥、細田千晶、中田実里、山田蘭
「Snow Lotus〜雪蓮華」振=井口裕之 出=澤田展生、前田新奈、厚木三杏、遠藤睦子、西川貴子、大和雅美、井倉真未、今村美由起、若生愛、間近朋美 
14:00 ○熊川哲也 K-BALLET COMPANY「眠れる森の美女」/東京文化会館
演・再振=熊川哲也 美・衣=ピーター・ファーマー
フロリムント王子=清水健太 オーロラ姫=松岡梨絵
15:00 ○読売日響&スターダンサーズ・バレエ団/大田区民ホール・アプリコ大ホール
「くるみ割り人形」ハイライト 「交響曲第5番」他
指=広上淳一 奏=読売日本交響楽団
18:00 ○ささらほうさら舞踏試演会ハバカリセンバン「でものはれもの」/清澄白河・イベントスペース&ブックカフェそら庵
出=松本萌、安田理英、大越歩
14:00 ○KANAZAWA STEP UP CONCERT DANCE-STAIRS/金沢・歌劇座(旧観光会館)
出=S.C.D.C.in金沢の受賞者
100531/MON
18:30 ○熊川哲也 K-BALLET COMPANY「眠れる森の美女」/東京文化会館
演・再振=熊川哲也 美・衣=ピーター・ファーマー
フロリムント王子=熊川哲也 オーロラ姫=荒井祐子


emiko0703 at 18:18公演情報

April 20, 2010

 京都を拠点として活動している山下残が、8年ぶりに横浜に滞在して新作を制作し、4日間・全5回の公演を行った。会場はSTスポット横浜。50席ほどの小さな劇場が存分に活かされた、緻密な作品であった。
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skippercat_second at 03:49舞台評

April 19, 2010

今まであまり見たことのない、ダンスのような演劇のような、踊っているような遊んでいるような、非常にバラエティに富んだ、6つの楽しいダンス作品が上演された。最初の「桃色のメロディ」(振付:高橋砂織、出演:前田由起枝)は、ちょっと甘酸っぱい桃色の思い出や、日常の思いが繊細な動きの中に込められたダンス。次く「touching face」(テキスト:牛若幸治、演出・振付・出演:牛若幸治、伴戸千雅子)は、牛若君が見た3日間の夢を表現したもの。牛乳のお化け(?)のような伴戸が、牛若君にまとわりついたり、案内したりと奇妙な関係がユーモラスに語られ、踊られる。「とあるオトコ2人、イメージの競争のもとに」(振付:星加昌紀、出演:信田基、星加昌紀)は、動き回る男(星加)と床に座った男(信田)の対照的な動きから始まり、様々に踊っていく。印象的だったのは、2人が床に寝そべって腕のみを動かして踊るシーン。譬えるならば、ポスト・モダンダンスのトリシャ・ブラウンによる有名な「アキュムレーション(集積)」と同じような設定なのだが、ブラウンは無機的な動きを集積していく実験を行うのに対して、この2人はシンプルな動きの背景に彼らの思いやイメージを託している。穏やかに交流し、相手の気配や思いを受け止めながら動く様は、豊かで美しかった。「どこへ行こうか」(振付:山田珠美、出演:風間毅、とまるながこ、野田雅巳、山田珠美)は、台詞あり歌ありで、タイトル通りに「どこへ行こうか」とからだで探す楽しい構成。「約束の花」(振付:合田緑×砂連尾理、出演:青木友実、白井宏美)は、女性二人が近寄ったり、離れたり、語り合うように踊る。そして最後の「ここだけの話」(振付:砂連尾理、出演:安藤共博、佐々木大喜)は、スーツ姿の青年2人が朴訥とした雰囲気で、まるでボケと突っ込みのように細かな仕草でやり取りをする、遊び心に満ちた作品。

 この「はらっぱのダンス」と題された公演は、明治安田生命とエイブル・アート・ジャパンが共同で、2004年から実施してきたプロジェクトの集大成として企画された、「エイブルアート・オンステージ コラボ・シアター・フェスティバル2010」の最終日に行われたもの。今までの活動で創られた作品から選ばれた小品によって構成されており、その他の日には、演劇、ダンス、音楽が上演された。このプロジェクトは、障がいのある人とアーティストが出会い、舞台作品を創るためのものだが、目的は障がい者、健常者などが「インクルーシブ」であることだけでなく、その先にある、今までにない出会いによって生まれる創造性であろう。それは、既存のダンスや舞台作品の価値観や基準によって評価される、面白さや美しさでは決してなく、むしろそれらを乗り越える、新たな可能性を提示するものである。その道は容易ではないが、これらの小品はそこへ向かって踏み出している。このような活動が継続され、より多くの人の目に触れることによって磨かれ、鍛えられて、さらに力強く、美しい作品に進化していくことが望まれる。(稲田奈緒美 2010/3/26 19:00 アサヒ・アートスクエア)



inatan77 at 20:33舞台評

April 18, 2010

 かつて貝谷バレエ団のトップを踊っていた栃沢寿美が主宰する《寿美バレエスタジオ》の第15回発表会で、彼女は土田三郎を相手にバレエ『平家物語』からデュエット・シーンの『海底浄土』を踊った。これは鹿児島に本拠を置く白鳥バレエ団(白鳥見なみ主宰)が、2000年(平成2)の芸術祭に参加した時の大作の一場面だった。
  白鳥見なみは、小牧正英のもとでバレエを習い、出身地の鹿児島で公演、教育、普及の活動を精力的に続けてきた。1969年に『ヤマトタケル』、1973年に『耶馬台』を発表しており、その歴史ものの経験をもとに2000年に『平家物語』を発表し、それを2009年に鹿児島で再演している。
長大な平家物語の中で、このデュエットは平清盛とその娘、徳子建礼門院との出会いのシーンなのだ。壇ノ浦の戦いで平氏の敗色が濃厚になった時、徳子は安徳天皇や一門の女官たちとともに海中に身をなげる。舞台中央の壇上に立つ清盛の招きで、床に広がるスモークの海の中から徳子が姿を現すところが、そのシーンなのだ。この頃すでに清盛は亡く、これはあの世、つまり『海底浄土』での親子の対面ということになる。しかし徳子は源氏の兵船に助け上げられる。清盛は海底での出会いの場で、徳子に平氏一門や安徳天皇への祈りの日々を送ってくれることを頼んだのだという解釈も成り立つかもしれない。土田の演じた平清盛は、坊主頭の猛々しい出で立ちで、堂々たる風格。徳子を抱き上げるシーンは、いかにも歴史絵巻の一場面にふさわしい幻想的な眺めとなった。彼は白鳥バレエ団においても清盛役をつとめている。
  いつまでも現役でいたい栃沢は、これまでにも自分のダンサーとしての質を生かせる作品を選んでは、舞台に立ち続けてきた。白鳥見なみの『平家物語』の徳子建礼門院は、そんな彼女にじつにぴったりの役柄だった。このように、いつまでも踊ることにこだわり続けるバレエ人の存在は、日本では珍しいことではない。彼女たちの舞台への執念は、すでに日本バレエへのエネルギーの供給源のひとつとなっていると言ってもよいかもしれない。
  若さの輝きこそが最高の値打と考えられているバレエの世界だが、そこに自分のすべてを捧げつくして晩年を迎えた人たちが、さらに踊り続けることを無下に否定し去ってよいものだろうか。日本で昔から行われているさまざまな芸能には、年齢相応の良さを認める間口の広さがあり、観客の側にもそれを受け入れる寛容さがある。その日本芸能の良き慣習をバレエにも適用して、新しい舞踊の世界を広げることは可能なのではあるまいか。
  彼女たちはオデット、ジゼル、オーロラ、キトリなどのグランド・バレエの主役を踊ろうとしているわけではない。自分に見合った題材を選んで、肉体を超越した精神的な世界を創り上げ、そこで命の炎を燃やそうとしているだけなのだ。そこに人間の真実を見出すバレエの愉しみ方もあってよい。
(山野博大 2010/04/04 16:30 板橋区立文化会館大ホール)


emiko0703 at 22:58舞台評
松崎すみ子が主宰するバレエ団ピッコロ附属研究所の第49回発表会で、松崎えりの創作2作品を見た。発表会は、そこに所属する子供たちが主役だが、その間に創作のチャンスを求める若手振付者の思いがけない力作が紛れ込んでいることがあり、油断がならない。
松崎えりはすでに、2008年にアサヒ・アートスクエアで、中村恩恵、松本大樹、森本由布子、大嶋正樹、小尻健太、首藤泉、スズキケンタローという豪華なダンス陣を動かした大作『TRIP』を発表しているし、2009年の西島千博がプロデュースした《バレエ・リュッス100年記念ガラ》では、『ナルシス』を青木尚哉を相手に自作自演し、空間を大きく使ったダイナミックな動きの処理で見るべき成果をあげている。この日彼女は、研究所のトップのひとりと目される山口裕美と小出顕太郎によるデュエットの『road』、若い女性ダンサー10人を使った群舞の『butterfly』の2本を見せてくれた。
『road』は舞台の奥に白く光る道が横に長くのびているという幕開け。その両端から小出と山口が登場する。中央で出会う瞬間に道は方形の広場に変わる。さらにその場の状況をさまざまに変えて、ダンスの展開に対応する(照明=松崎康道、岡沢克巳)。二人は、たんたんと流れるピアノ曲(曲名は不明)で踊る。しかし段階的に両者の組み方の調子を変えて、男と女の関係の進展を描いている。動きの質を場面に応じて微妙に使い分け、そこにドラマを出現させたのだ。
一方『butterfly』は、さらりとした動きの展開がさわやかな一本だった。若いダンサーたちをコンテンポラリーの動きに慣れさせるという、発表会ならではの目的意識がどこかに見えたような気がしないでもない。しかし、仮にこれをバレエ団のソリスト・クラスの人たちが踊っていたら、そういった印象は持たなかったかもしれない。この作品はバレエ団の公演でもう一回見て、確かめてみたい。
松崎えりは、次の時代を担う振付者として期待されるひとりだ。できるだけ多く作品を発表し、経験を重ねて大成してほしい。しかし今の日本のバレエの状況は、振付者を育てるという点からはかなり厳しいと言わざるを得ない。作品の発表にはそれなりの出費を覚悟しなければならない。仮にそこで良い作品が生まれたとしても、それを買おうというバレエ団はないのだから、まことに割の合わない仕事ということになる。たとえ発表会というマイナーな場であったとしても、作品を出せる機会を与えられた人はラッキーなのだ。見る側としては、できるだけそういう得難い機会に巡り合えるように心がけ、次の時代の日本バレエの進化を夢想するのである。
(山野博大 2010/04/03 15:00 練馬文化センター大ホール)


emiko0703 at 22:56舞台評
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