March 30, 2010
平田桃子が、見事なオーロラ・デビューを果たした。小柄な身体ではあるが、完璧な技術による端正なパの一つひとつが、伸びやかに音楽と調和して、気品に満ちたオーロラを創りあげた。バーミンガムの観客は盛大な拍手で、この新しいスターの誕生を祝い、その場に立ち会った喜びを語り合いながら帰っていった。(稲田奈緒美 2010/03/06 19:30 Birmingham Hippodrome)
4人のダンサーと一人のチェリストによるダンス。極めて身体能力の高い男性ダンサー4人がソロで、デュオで、ユニゾンで、あるシーンではコンタクト・インプロ風に、あるシーンでは喧嘩と戯れが入り混じったように、ぶつかり合い、反発しながら踊る。その場の空気を醸成しながら、ダンサーの身体に働きかけるチェロの音も、また踊る。ダンス濃度の高い作品。(稲田奈緒美 2010/03/02 20:00 The Place)
ロンドンのダンス劇場サドラーズ・ウェルズの教育部門コネクトによる、2週間に渡るフェスティバルが、カンパニー・オブ・エルダーズの公演で幕を開けた。名前の通り、61歳から87歳までの男女によって結成された、同劇場レジデントのカンパニー。ドキュメンタリー映像を挟んでダンサーたちの人生と今を写しだしながら、「never too late to start dancing」であることを楽しく、生き生きと観客に伝えた。(稲田奈緒美 2010/03/02 14:00 Sadler’s Wells, Lilian Baylis)
March 29, 2010
ボリス・エイフマン版『アンナ・カレーニナ』は、流れるような踊りで次々と場面を繋ぎ、観客を作品世界へと引き込む。舞台装置はシンプルながら洗練されており、スピーディに場面転換する。ズミエヴェッツは、ほとばしる情熱を抑えきれないアンナを、長い肢体でダイナミックに踊った。饒舌な身体でキレの良い踊りを見せ、カレーニンの苦悩を指先にまで滲ませたヴォロブーエフがひときわ印象的。パ・ド・ドゥは激しいリフトや回転の連続。火花の散るような2人の愛憎を見事に表現していた。(中澤典子 2010/03/26 19:00 新国立劇場中劇場)