April 20, 2010
京都を拠点として活動している山下残が、8年ぶりに横浜に滞在して新作を制作し、4日間・全5回の公演を行った。会場はSTスポット横浜。50席ほどの小さな劇場が存分に活かされた、緻密な作品であった。
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April 19, 2010
今まであまり見たことのない、ダンスのような演劇のような、踊っているような遊んでいるような、非常にバラエティに富んだ、6つの楽しいダンス作品が上演された。最初の「桃色のメロディ」(振付:高橋砂織、出演:前田由起枝)は、ちょっと甘酸っぱい桃色の思い出や、日常の思いが繊細な動きの中に込められたダンス。次く「touching face」(テキスト:牛若幸治、演出・振付・出演:牛若幸治、伴戸千雅子)は、牛若君が見た3日間の夢を表現したもの。牛乳のお化け(?)のような伴戸が、牛若君にまとわりついたり、案内したりと奇妙な関係がユーモラスに語られ、踊られる。「とあるオトコ2人、イメージの競争のもとに」(振付:星加昌紀、出演:信田基、星加昌紀)は、動き回る男(星加)と床に座った男(信田)の対照的な動きから始まり、様々に踊っていく。印象的だったのは、2人が床に寝そべって腕のみを動かして踊るシーン。譬えるならば、ポスト・モダンダンスのトリシャ・ブラウンによる有名な「アキュムレーション(集積)」と同じような設定なのだが、ブラウンは無機的な動きを集積していく実験を行うのに対して、この2人はシンプルな動きの背景に彼らの思いやイメージを託している。穏やかに交流し、相手の気配や思いを受け止めながら動く様は、豊かで美しかった。「どこへ行こうか」(振付:山田珠美、出演:風間毅、とまるながこ、野田雅巳、山田珠美)は、台詞あり歌ありで、タイトル通りに「どこへ行こうか」とからだで探す楽しい構成。「約束の花」(振付:合田緑×砂連尾理、出演:青木友実、白井宏美)は、女性二人が近寄ったり、離れたり、語り合うように踊る。そして最後の「ここだけの話」(振付:砂連尾理、出演:安藤共博、佐々木大喜)は、スーツ姿の青年2人が朴訥とした雰囲気で、まるでボケと突っ込みのように細かな仕草でやり取りをする、遊び心に満ちた作品。
この「はらっぱのダンス」と題された公演は、明治安田生命とエイブル・アート・ジャパンが共同で、2004年から実施してきたプロジェクトの集大成として企画された、「エイブルアート・オンステージ コラボ・シアター・フェスティバル2010」の最終日に行われたもの。今までの活動で創られた作品から選ばれた小品によって構成されており、その他の日には、演劇、ダンス、音楽が上演された。このプロジェクトは、障がいのある人とアーティストが出会い、舞台作品を創るためのものだが、目的は障がい者、健常者などが「インクルーシブ」であることだけでなく、その先にある、今までにない出会いによって生まれる創造性であろう。それは、既存のダンスや舞台作品の価値観や基準によって評価される、面白さや美しさでは決してなく、むしろそれらを乗り越える、新たな可能性を提示するものである。その道は容易ではないが、これらの小品はそこへ向かって踏み出している。このような活動が継続され、より多くの人の目に触れることによって磨かれ、鍛えられて、さらに力強く、美しい作品に進化していくことが望まれる。(稲田奈緒美 2010/3/26 19:00 アサヒ・アートスクエア)
April 18, 2010
(山野博大 2010/04/04 16:30 板橋区立文化会館大ホール)
(山野博大 2010/04/03 15:00 練馬文化センター大ホール)
京都の春の風物詩、都をどり。「置歌」で、あでやかな衣装をまとった芸舞妓24名が花道に登場するや、まさに春爛漫。続く「松尾大社初詣」で春を寿ぎ、「和宮祇園社参」で悲しい物語り、「鴨川燈籠流」で夏の景色を描き、「猩々」では能をあしらって力強く舞う。「秋色伏見御香宮」で秋を彩り、「一力亭雪宵」では人の綾を重ね、最後の「平安神宮桜満開」で総踊りとなり、四季をめぐって再び春に戻ってくるという八景の構成。京舞井上流の、抑制のきいた明確な踊りを味わい、ベテランの地方連中の艶っぽい唄と三味線に聞き惚れた。(稲田奈緒美 2010/04/16 京都・祇園甲部歌舞練場)