May 02, 2024

東京バレエ団『白鳥の湖』

2016年にバレエ団として初演したブルメイステル版『白鳥の湖』が2年ぶりに再演された。

オデット/オディールの沖香菜子は、2018年7月の再演で主演して以来、2019年4月、2022年2月と連続で主演を務め、王子の宮川新大とは2018年と2019年の舞台で共演している。プロローグの幸せそうなお姫様から一転、白鳥に姿を変えられてからは、華奢な腕を激しく羽ばたかせ強く悲しみを訴える。腕から背中、そして脚までが弓なりになるポーズは美しさと痛々しさが併存し、2幕の登場直後のアラベスクは、音楽が足りなくなるほど長い見事なバランスで、沖のオデットに特徴的な「凄み」が強調された。対する宮川はオデットと出会う前から白鳥の魅力に取り憑かれている。スラリとした姿勢のメランコリックな王子様だが、宮川本来の朗らかさを生かすには、古典の王子様の型をもう少し破ってもよいかもしれない。宮川のクリーンなテクニックと気さくな魅力が最も現れていたのは3幕で、ヴァリエーションでは恋する青年の喜びがストレートに表現されていた。

脇を固めるダンサーもテクニシャン揃いであった。まず道化の池本祥真が舞台狭しと飛び回って観客を魅了し、三幕では池本の登場に合わせて拍手が湧き起こった。主演の登場時に拍手を送る習慣はあるが、この拍手は純粋に「待ってました!」という観客の期待の表れだろう。ロットバルトの柄本は長身を生かした大きな身振りに実悪の趣があり、オディール経由で王子から取り上げた白鳥の羽を手にした際は、見得を切るような動きで勝ち誇った様子を表していた。3幕のナポリのソリストを務めた秋山瑛は、プリエを使った"溜め"と"ゆらぎ"のある踊りで、スペインの伝田陽美と共に王子を悪魔の罠に導いていた。主な出演者は他に、一幕のパ・ド・カトルに秋山、足立真里亜、樋口祐輝、加古貴也、アダージオに金子仁美が出演した。

(隅田 有 2024/04/28 東京文化会館 15:00)



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