March 07, 2023

東京シティ・バレエ団《トリプル・ビル2023》

東京シティ・バレエ団が《トリプル・ビル2023》を上演。バランシン、フォーサイス、イリ・ブベニチェク振付の3作品が並んだ。バレエ団はかねてより、クラシック・バレエの技術を要求するコンテンポラリー作品に積極的に取り組んできたが、これまでに培った技量が生かされた、東京シティ・バレエ団らしいステージだった。


バランシンの『Allegro Brillante』はバレエ団初演で、男女のプリンシパル(清水愛恵・浅田良和)を軸に、合計5組のダンサーが出演。タイトルにもある通りスピーディで、音と振りが厳密に結びついた作品だ。清水はアレグロのステップをこなしながらも、腕と上半身のポジションをしっかりと決め、押し出しの良い踊りを見せた。浅田を中心に男性ダンサーが5人で踊る場面では、振りもフォーメーションもきっちりと決まっていた。浅田はステップの最初や終わりに、動きを強調するようなちょっとしたクセを挿入し、それがバランシンらしさに結びつくかはともかくとして、作品の盛り上がりに貢献していた。

『Artifact供戮脇本初演。中心となる2組の男女はダブルキャストで、5日は松本佳織と杉浦恭太、三好梨生と吉岡真輝人が出演した(4日は大久保沙耶とキム・セジョン、石井日奈子と濱本泰然)。スピード感を保ったままオフバランスで力を溜めて、次の瞬間に狙ったポーズに入るメリハリのある動きは、これまでバレエ団が上演してきた様々なコンテンポラリー作品ともひと味違う。松本を始めとしたダンサーたちが、力強く緊張感のある踊りを披露した。フォーサイスの作品は今日のバレエ・カンパニーのレパートリーには欠かせない。今後も上演が続くことに期待している。

『L'heure bleue』は2016年に東京シティ・バレエ団が日本初演して以来7年ぶりの再演で、振付を手がけたイリ・ブベニチェクが来日し指導にあたった。ブベニチェクがかつてパリに滞在した時に目にしたもの、とりわけルーブル美術館の絵画からインスピレーションを受けた作品で、絵の中の人物が動きだすという、粋な設定のダンスである。セットはミニマルだが額縁やバラの花などの道具を巧みに使い、クスリと笑いを誘う場面もある。女性(岡 博美)と4人の男性(沖田貴士、林高弘、吉留諒、岡田晃明)による踊りと芝居の掛け合いが面白い。特に岡の豊かな音楽性と、力みのない華やかな踊り、そして少しとぼけたコケティッシュな雰囲気は、本作の成功に欠かせないものであった。出演は他に植田穂乃香、折原由奈、平田沙織、石塚あずさ、そしてカラヴァッジオの絵画から飛び出してきたような福田建太もユーモラスだった。

(隅田有 2023/03/05 ティアラこうとう 14:00)


outofnice at 11:59舞台評 
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