September 20, 2020

コンドルズ 東京公演スペシャル2020『ビューティフル・ドリーマー』


コンドルズが新作『ビューティフル・ドリーマー』を上演した。ライン・キューブ渋谷(渋谷公会堂)の大舞台でAプロ“シャングリラスペシャル”と、Bプロ“アルカディアスペシャル”の2公演をやったのだ。各プロの上演時間を約1時間としたのは、コロナ感染対策のためだったと思う。私は1人おきに指定された客席でBプロを見せてもらった。コンドルズの公演はいつも開幕前に、舞台前面に下ろしたスクリーンにテレビ番組のようなタイトル、スタッフ、キャスト、そしてコマーシャルを流す。スクリーンの白幕が落ちると全員の踊り。黒い学生服姿のメンバーを白い衣裳の近藤良平が颯爽とリード。

1996年創立のコンドルズは、全国各地の劇場で踊り続け、2005年3月、近藤良平振付・主演の『ジュピター』で、ついに渋谷公会堂の大舞台をわがものにしたのだった。20周年のNHKホールをはじめ、海外の舞台など多くの公演を積み重ねて、コンドルズが新装のライン・キューブ渋谷(渋谷公会堂)に戻ってきたのは、コロナ感染騒動真っただ中の2020年。15年ぶりだった。

いつものように、コント、人形劇などを交えたバラエティー風の舞台を、時に観客を取り込んだりして手際よく進める。その間にダンスが入ってくるのだが、全体の技術水準が、創立当時とは格段に上がっているので、踊りそのものを見たいという観客の要求にも十分に応えられる。それをリードする近藤良平はさらに別格の存在。彼は、1995年頃から野和田恵里花、山崎広太、笠井叡、木佐貫邦子、伊藤キム、川野眞子、平山素子、井手茂太、黒田育世といった個性豊かな舞踊家たちと舞台を共にして自分自身を磨いてきた。しかし彼は、強い体幹を生かしたシャープな動きで自分の踊りを貫き、他の舞踊家の影響をあまり受けていない。終り近くに、学生服姿の近藤の長めのソロが用意されていた。52歳になる彼の踊りは、今回もコンドルズの中心にあってひときわ輝いた。近藤良平の演出・振付・主演、石淵聡、オクダサトシ、勝山康晴、香取直登、鎌倉道彦、黒須育海、古賀剛、小林顕作、ジトク、スズキ拓朗、田中たつろう、橋爪利博、藤田善宏、安田有吾、山本光二郎の出演、勝山康晴の制作で、コロナ感染予防で厳重警戒下の渋谷の大舞台に戻ってきたコンドルズに、多くのファンが熱い声援を送り続け、カーテンコールを繰り返した。

[山野博大 2020/9/5 ライン・キューブ渋谷(渋谷公会堂)]

jpsplendor at 15:17舞台評 | 短評
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