March 17, 2020

日本バレエ協会関東支部神奈川ブロック《創立40周年記念第35回公演》『眠れる森の美女』


日本バレエ協会神奈川ブロックは、創立40周年の記念に『眠れる森の美女』を8年ぶりに上演した。振付は前回と同じく夏山周久が担当した。彼の『眠れる…』は、ストーリーを手早く見せて、ダンス・シーンにウエイトを置き、はなやかな舞台を作る。プロローグのリラの精(京峰舞)を中心にした妖精たちの踊り、第1幕のオーロラ姫(浅井蘭奈)と花婿候補の王子たちの踊り、第2幕のデジーレ王子(奥村康祐)とリラの精が率いる森の妖精たちとの踊り、第3幕の『青い鳥』などのディベルティスマンとグラン・パ・ド・ドゥ中心の踊りと、芯をしっかりと定めた舞台進行だ。しかしそれらをつなぐ神奈川ブロック所属の若いダンサーたちが踊るところにも力を注ぎ、全体を滞りなく進めた。

『眠れる森の美女』というバレエの最高峰を、協会所属のダンサーたちにしっかりと経験させた、教育的な成果を評価する。夏山を援けたバレエ・ミストレスの川喜多宣子、沼田多恵の働きを忘れてはいけない。

この公演のオーケストラ指揮は、冨田実里が務めた。彼女は、2013年の神奈川ブロック公演で初めてバレエを指揮したのだった。その後、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団で客演指揮者の経験を積んで帰国し、新国立劇場バレエ団常任指揮者に就任した。序曲を意外に早いテンポで振ったが、これは2018年の新国立劇場バレエ団の『眠れる…』公演と同じだった。まだざわついている客席に衝撃を与え、観客をバレエの世界へ一気に引き込んで夏山版『眠れる…』の一翼を担った。

(山野博大 2020/1/19 神奈川県民ホール)

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