March 06, 2020

谷桃子バレエ団 《70周年記念新春公演2020》


谷桃子バレエ団が、伊藤範子振付の新作『Fiorito』と高部尚子のステージングによる『リゼット』再演で、創立70周年を祝った。『Fiorito』はカリンニコフの交響曲第2番によるシンフォニック・バレエだった。ヴェルデ=山口緋奈子・吉田邑那、ロッソ=馳麻弥・安村圭太、ビアンコ=永橋あゆみ・今井智也、ネーロ=佐藤麻利香・三木雄馬の4組のプリンシパルがそれぞれにバックを従えて、伊藤の創る高度なステップを競った。大井昌子のはなやかな衣裳を着たダンサーたちを巧みにコントロールした振付は、祝祭感を舞台いっぱいに繰り広げるものだった。現在の谷桃子バレエ団の実力を観客に披露する舞台となった。

『リゼット』(原題は『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』)は、1962年にスラミフ・メッセレルの指導により初演された。それまで谷桃子は『ジゼル』『白鳥の湖』のような“悲劇”を得意とするバレリーナと見られていた。しかしフランスの田舎で繰り広げられる日常感あふれる『リゼット』を踊ったことで“喜劇”もりっぱに踊れることを世に示したのだった。2009年の谷桃子バレエ団創立60周年に『リゼット』を再演した時は、タイトルロールを高部尚子が踊った。彼女は、谷桃子の役作りをそのまま引き継ぎ、こんどは70周年を迎える谷桃子バレエ団の次の世代に『リゼット』を伝えた。

リゼットの竹内菜那子、コーラの檜山和久、マルセリーヌの岩上純、ミッショーの赤城圭、ニケーズの中村慶潤が、ていねいな演技で的確にストーリーを語り、若いコール・ド・バレエがダンス・シーンをはなやかに彩った。アレクセイ・バクランの指揮、洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団の演奏。

(山野博大 2020/1/18 東京文化会館 大ホール)



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