February 01, 2020
【ダンス・タイムズがお勧めする 2020年2月公演】
ダンス・タイムズ編集部が選んだ2020年2月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、1月20日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。
◆二見一幸《Dance Gathering Performance vol. 8》
2月1、2日(こくみん共済coopホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ)
◇二見一幸が、田保知里、井神さゆりらを使って『Love Songs』という作品を創る。かつてのスターダンサーの今に注目してみたい。(山野博大)
◆国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2020 (TPAM in Yokohama 2020)
2月8-16日
◇TPAM(ティーパム)とは、四半世紀前から続く舞台芸術プラットフォームである「国際舞台芸術ミーティングin 横浜」のこと。演劇、ダンスなど舞台芸術に関わる、国内外のプロフェッショナルなアーティスト、スタッフなどが集まり、情報を交換したり、ディスカッションをしたり、パフォーマンスを上演するイベントによって構成される。例えばダンサーにとっては、ここでの出会いが新たな作品を生んだり、公演の機会に繋がったり、また共に課題を話し合って動き始める機会になっている。近年はアジアとの連携を強化しており、2019年には海外41か国・地域から約400名、国内から約480名のプロフェッショナルが参加したという。イベントの中には一般に公開されているものもあり、また、フリンジ公演として多数の作品が横浜近辺で上演される。多様な人々による多様な表現を自由に見られるチャンスだ。特に今回は、舞台芸術の根幹に戻って身体表現を重視しており、ダンス、パフォーマンス公演が数多くプログラムされている。世界の、アジアの、日本の舞台芸術の潮流を見て、知って、考えて、語り合う貴重でスリリングな機会だ。(稲田奈緒美)
◆2020都民芸術フェスティバル:日本バレエ協会公演『海賊』全幕
2月8、9日(東京文化会館 大ホール)
◇メド―ラ/コンラッド/アリの役に、酒井はな/橋本直樹/高橋真之、加治屋百合子/奥村康祐/荒井英之、上野水香/中家正博/江本拓という豪華トリプル・キャストをそろえての上演だ。振付のヴィクトール・ヤレメンコはキエフ・シェフシェンコ記念オペラ劇場バレエ団の所属。若手のステージング・ディレクターだ。プロローグに原作者の詩人バイロンを登場させ、そこから嵐の海を往く海賊船へと場面を広げて行くらしい。どのように日本人スターダンサーを使いこなすか、実力をとくと拝見しよう。(山野)
◆『ねじまき鳥クロニクル』
2月11日〜3月1日(東京芸術劇場 プレイハウス)
◇インバル・ピントとアブシャロム・ポラックの二人は、これまでホリプロ主催のミュージカル『100万回生きたねこ』と百鬼オペラ『羅生門』の演出・振付・美術を担当し、彼らの唯一無二の世界観を日本の商業演劇の世界でも見せつけてくれた。そのインバル・ピント×ホリプロの第三作は、日本とイスラエルのアーティスト達の意欲的な共同制作だ。インバルは演出・振付・美術として創作の要を担うが、イスラエルのアミール・クリガー、マームとジプシーの藤田貴大が脚本と共同演出としてインバルを支え、大友良英は作曲と共に生演奏も務める。キャストも豪華で、「演じる・歌う・踊る」(公式クレジットより)メインキャストとして大貫勇輔、「特に踊る」ダンサーとして川合ロンや西山友貴が見られるのもダンス好きには嬉しい。コンテンポラリーダンスファンもぜひ足を運んでほしい。(折田 彩)
◆東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』全幕
2月15、16日(ティアラこうとう 大ホール)
◇昨年3月のトリプル・ビルで『眠れる森の美女』の見どころを抜粋した『オーロラの結婚』を上演した東京シティ・バレエ団が、ついに新制作で全幕を披露する。振付・構成は芸術監督の安達悦子で、振付指導はラリッサ・レジュニナ。キーロフ(現マリインスキー)バレエ団でキャリアをスタートしたレジュニナは、1991年の来日公演でオーロラを披露している。安達はマリインスキー版の本作に思い入れがあるそうで、二人のコラボレーションに期待が高まる。オーロラ役は中森理恵と斎藤ジュン。中森が久々にティアラの舞台に戻ってくるのも楽しみだ。(隅田 有)
◆第63回日本舞踊協会公演
2月22、23日(国立劇場 大劇場)
◇毎年恒例の古典を中心とした公演。日本舞踊は近代に入って歌舞伎から分かれ、新しい舞踊表現を模索して今日に至っている。当該公演では、江戸時代に作られた歌舞伎舞踊、近現代の創作、そして令和の新作といった日本舞踊の様々な演目が現代を代表する舞踊家によって上演される。昼夜二部制、二日間、四公演。バランス良く充実した演目立てで、どの部もお勧めのラインアップである。(斎藤真帆)
◆新国立劇場バレエ団 『マノン』
2月22、23、26、29、3月1日(新国立劇場 オペラパレス)
◇昨年10月の『ロメオとジュリエット』が記憶に新しい新国立劇場バレエ団が、同じケネス・マクミラン振付でもガラリと雰囲気が異なる『マノン』を上演する。一途な少女ジュリエットを好演した小野絢子、米澤唯がそれぞれ、ファム・ファタルをどう踊るのか。そして、退廃的な時代の雰囲気をバレエ団全体でどう創り上げるのか。楽しみである。(吉田 香)
◆パリ・オペラ座バレエ団 『ジゼル』『オネーギン』
2月27日-3月1日(ジゼル)、3月5-8日(オネーギン)(東京文化会館)
◇二年前の来日公演時、日本の舞台で初めてエトワール任命がアナウンスされた。その時にエトワールに昇進したユーゴ・マルシャン、そしてベテランのマチュー・ガニオがダブルキャストで『オネーギン』のタイトルロールを披露する。もう一つの演目は、パリ・オペラ座の来日公演で上演されるのは約10年ぶりとなる『ジゼル』。ジゼルがクールランド公の隠し子とも解釈できるような、意味深な演出の一幕は見応えがある。ジゼルとアルブレヒトは3キャストだが、ミルタは全公演でオニール八菜の出演が予定されている(隅田)
◆ケイタケイ《音×花×舞》『未完の庭 vol.1 グロリオサ』
2月28、29日(シアターχ)
◇ケイタケイが、作曲・ピアノの松本俊明、華道の大久保有加と力を合わせて『未完の庭』という作品を創る。彼女の踊りの素朴な質感がどのように音楽、華道と混じり合うのか、楽しみだ。(山野)
◆オーチャード・バレエ・ガラ 世界名門バレエ学校の饗宴2020
2月29日、3月1日(Bunkamura オーチャードホール)
◇世界の名門バレエ学校が集結する同公演。今回は、ベルリン国立バレエ学校、ロイヤル・バレエ・スクール、サンフランシスコ・バレエ・スクール、ハンブルク・バレエ学校、ワガノワバレエ・アカデミー、チューリッヒ・ダンス・アカデミーから選ばれし生徒が、それぞれ作品を披露する。プログラムも、各校の「歴史」や「今」を感じられる特色あふれるラインアップだ。未来への可能性を秘めたダンサーたちの競演は見逃せない!(宮本珠希)