September 22, 2019

金井桃枝舞踊研究所第21回発表会


小沢恂子の門下である金井桃枝は、今も自身の踊りを極め、同時に弟子の育成にも熱心に取り組む。あちこちの舞踊コンクールの現代舞踊部門で良い成績をあげる優秀なダンサーが何人も育っている。その金井桃枝舞踊研究所の第21回発表会をオリンパスホール八王子 大ホールで見た。

幕が開くと、こんもりと生えた木立の小道具がむくむくと動き出す『Wonder Forest』でスタート。子供たちが元気に踊る舞台が続く。小澤早嬉の『驛舎』、須崎汐理の『脆弱を裂く』は、どちらもさすがにコンクールで上位を占めただけのことはある隙のない仕上りだ。

ゲスト振付者の池田素子の『What are you wondering? 何を考えているの?』は、金井系統の動きとは質感を異にする群舞作品だった。配下のダンサーたちにこのような経験を与え、舞踊の世界の広さを体験させようという金井の配慮が見える舞台だ。

韓国舞踊が圧巻だった。太鼓を横にいくつも並べ、それを叩きながら踊る『三面太鼓』のセンターを富士奈津子が踊り、若さのパワーと存在感を示した。次の『スゴンチュム〜布の舞〜』に金井桃枝がさりげなく登場して、圧倒的な格の違いを見せつけた。金井は韓国舞踊を得意分野とした小沢恂子の後継として、その財産をしっかりと受け継ぎ、発展させている。

金井桃枝舞踊研究所では、クラシック・バレエも教えている。バレエ担当教師の姚国興が振付・指導した『Forward』が上演された。姚が弾くピアノに合わせて須崎汐理ら7人がバレエの基本に取り組む。さらにもう一人のバレエ担当、菊地美樹の指導による『くるみ割り人形』の抜粋7曲を子供たちが神妙に踊った。バレエの基本を知ることで、自分たちの現代舞踊の質を高めようという意図がうかがえる舞台だった。

『風を待つ』を金井と後継者の富士奈津子が踊り、この領域が研究所の中心であることを示し、最後を『桃の卵版・おやゆび姫』でにぎやかに締めくくった。

(山野博大 2019/8/15 オリンパスホール八王子)

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