March 31, 2017
【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年4月公演】
ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、3月20日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。
【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年4月公演】
◆ダンス専科2017
2017年4月1日(セッションハウス)
◇セッションハウス主催のこの公演は、野和田恵里花、松本大樹、伊藤直子、JOU、平原慎太郎、坂東扇菊、笠井瑞丈、上村なおか、太田ゆかりら、気になる人たちの作品を見せてきたダンス・シリーズ。今回は、太田ゆかり、笠井瑞丈、平原慎太郎、坂東扇菊の4作品が並ぶ。彼らの最近の動向をまとめて見ておきたいという人向きの便利な公演だ。(山野博大)
◆歌舞伎座《四月大歌舞伎》夜の部より『三代猿之助四十八撰の内 奴道成寺』
2017年4月2〜26日(歌舞伎座)
◇『奴道成寺』は『京鹿子娘道成寺』のパロディで、男性の狂言師が主人公。『京鹿子娘道成寺』の歌詞をほとんどそのままに、彩り豊かに展開する。三代目猿之助が得意としたこの作品を、当代の猿之助が継承。見どころは、おかめ(遊女)大尽(客)、ひょっとこ(太鼓持)の三つの面を使い分けて、廓の恋模様を見せる場面で、猿之助の鮮やかな踊り分けに期待が高まる(阿部さとみ)
◆『SINGIN’IN THE RAIN 〜雨に唄えば〜』
2017年4月3〜30日(東急シアターオーブ)
◇アダム・クーパーとウェストエンドの実力派達が繰り広げる極上のエンターテインメント作品、『SINGIN’IN THE RAIN』が帰ってくる!原作の映画の世界観を丁寧に再現したジョナサン・チャーチの演出と、立体的かつスピード感溢れるアンドリュー・ライトの振付、そしてアダム・クーパーの軽やかなステップを堪能してほしい。きっと晴れやかな心で劇場を後にするはずだ。(折田 彩)
◆NHKバレエの響宴 2017
2017年4月8日(NHKホール)
◇国内バレエ団が勢揃いし、それぞれの特色を存分に堪能できるラインアップが魅力の豪華な公演。2014年以降は毎年新作も上演されており、今回は、ドイツ・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督の森優貴による『死の島-Die Toteninsel(仮)』を貞松・浜田バレエ団が初演する。他にも、井上バレエ団による『ナポリ』、牧 阿佐美バレエ団の『眠れる森の美女』、新国立劇場バレエ団による『テーマとバリエーション』と、ロマンティック・バレエから現代作品に至るまでの歴史を紐解くかのような演目構成に期待もいっそう高まる。(宮本珠希)
◆イゴール&モレーノ『イディオット・シンクラシー』
◇4月19−20日(渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール)
イゴール&モレーノが『イディオット・シンクラシー』という公演を行うらしい。チラシ、ウェブから入手できる情報はごくわずかで、筆者も未見。でもなんだか気になる。スペイン、バスク出身の元俳優・歌手のイゴールと、北イタリア出身の元社交ダンサーのモレーノが、なにやら人を食った、でもいつの間にか楽しくなって飛び跳ねたくなるような、不思議な作品を披露してくれるようだ。ロンドンのコンテンポラリーダンス界は、このように世界中から集まったユニークな才能が出会い、新たな作品が生まれる場所。ここ数年で頭角を現した彼らの日本初公演を見てみたい(稲田奈緒美)
◆国立劇場舞踊・邦楽公演《明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会》
2017年4月22日(国立劇場・小劇場)
◇毎年恒例の「明日をになう」新進による公演の舞踊は『藤娘』と『保名』。ともに古くからあった舞踊を、昭和と大正に六代目尾上菊五郎が、時代の好みを取り入れ近代に蘇らせた。『藤娘』は藤蔭静寿が女性ならではの美しい身体のラインをもって娘の恋心を綴り、『保名』は昨年、日本舞踊協会新春舞踊大会で最優秀層を受賞した花柳寿美藏が、青年の恋の喪失を描く。フレッシュな二人があこがれの演目に挑み、絵のような舞踊を見せてくれることだろう(阿部)
◆フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』《北欧バレエ・ガラ》
2017年4月22〜25 日(Bunkamuraオーチャードホール)
◇フィンランド国立バレエ団が、世界中で話題のムーミンシリーズの最新作を携えて初来日を果たす。公演は二部構成で、第一部は『たのしいムーミン一家〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』、第二部はバレエ団のレパートリーから厳選した《北欧バレエ・ガラ》が上演される。『たのしいムーミン一家』を振り付けた芸術監督のケネス・グレーヴはデンマーク人で、同国出身の童話作家、アンデルセンの『人魚姫』や『雪の女王』等、童話のバレエ化を多く手掛けている。彼の手によりムーミンの世界が生き生きと舞台上に表れることに期待したい。(折田)
◆勅使川原三郎/KARAS『トリスタンとイゾルデ』
2017年4月26〜30日(東京・両国シアターΧ)
◇昨年6月は荻窪のカラス・アパラタスから次々と上質な作品が生まれた。そのうち『白痴』は昨年12月にシアターχで再演され、今回は待望の『トリスタンとイゾルデ』である。初演の好評を表すように、イタリアでの上演も決定したという。あの小さなスペースから生まれたスケールの大きい愛の物語が、どのようにパワーアップして蘇るのだろうか。(吉田 香)
◆谷桃子バレエ団『師の命日に贈る〜過去・現在・未来
4月26日(洗足学園大学・前田ホール)
◇戦後の日本バレエ界を代表するバレリーナだった谷桃子が94歳で亡くなったのは、2015年4月26日のことだった。その命日に、弟子たちが彼女の《過去・現在・未来》を舞台の上に蘇らせようという公演だ。谷桃子が創った『ロマンティック組曲』が再現される。この作品は2014年の《谷桃子バレエ団・創作バレエ・8古典と創作》で、谷桃子自身の目によって確かめられ、再演されたもの。1970年代に創作された舞台を味わいつつ、大バレリーナ谷桃子の在りし日の姿を偲びたい。(山野)
◆東京バレエ団 子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(上野の森バレエホリディ)
4月29,30日(東京文化会館)
◇技あり笑いありの『ドン・キ』を子供向けにアレンジした、休憩込みの約90分の作品で、対象は4歳以上。27日から開催される『上野の森バレエホリディ』の一環で、こちらは裏方の仕事が体験できたり、初心者向けのバレエレッスンがあったりと、舞台の魅力が色々な角度から味わえる。GW序盤のお出かけにもってこいの、大人も子供も楽しめる一本だ。(隅田有)