December 29, 2015
【ダンス・タイムズがお勧めする 2016年1月公演】
ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆様が劇場へ行ってご確認ください。また、12月28日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。
◆ミハイロフスキー劇場バレエ《新春特別バレエ》《白鳥の湖》《ローレンシア》《ジゼル》《海賊》
東京公演1月2日-10日(東京国際フォーラム ホールA、東京文化会館、Bunkamuraオーチャード)、神奈川公演1月11日(神奈川県民ホール)
◇長年「レニングラード国立バレエ」として親しまれ、2015年から「ミハイロフスキー劇場バレエ」の名前で来日するようになった。一番の見所は、主役からコール・ド・バレエまで、個性豊かなダンサー達によるドラマチックなステージだ。多少好みは別れるが、濃厚な演技で観客を圧倒する舞台は新春初バレエにお勧め。演目は『新春特別バレエ』『白鳥の湖』『ジゼル』『海賊』、そして日本であまり知られていない『ローレンシア』。10月に国立劇場に出演し信長役の怪演が記憶に新しいルジマトフは、コンラッドで『海賊』に出演する。(隅田有)
◆《クロスグリップ》
2016年1月7-9日(象の鼻テラス)
◇ローザスの結成メンバーであり、現在は各国の演出家、振付家らとのコラボレーションを続ける池田扶美代が、日本の若いコンテンポラリーダンサーと始めたプロジェクト「クロスグリップ」。畦地亜耶加、川合ロン、木原浩太という若い筋肉と感性の持ち主が、池田という特権的な存在感と幅広い経験を持つベテランに出会い、思考と試行を重ねてきたもので、今回が三度目のトライアウトである。パーカッショニストの加藤訓子を共演者に迎え、象の鼻テラスでの本格的な公演となるようだ。加藤は、マリンバから石、オブジェまでを自在に楽器に変えて、自らも踊るように演奏する人。さらなる化学変化(池田はそれを、「たくさんの要素が繋がりあって、思いがけない事が起こる」複雑系に譬えている)を楽しみにしたい。(稲田奈緒美)
◆新国立劇場バレエ団《ニューイヤー・バレエ》
2016年1月9-10日(新国立劇場オペラパレス)
◇日本のバレエ界でも12月の《くるみ割り人形》は定着してきたが、新年を新国立劇場のガラ公演で祝うことも、是非定着させたいもの。名実ともに日本を代表するバレエ団となった新国立劇場バレエ団が、卓越したソリストたちの妙技と美しく洗練されたコール・ド・バレエの魅力をたっぷり披露するために選んだのは、古典から現代の創作まで6作品。バランシン〈セレナーデ〉、パ・ド・ドゥ集として〈パリの炎〉〈海賊〉〈タランテラ〉、団員の貝川鐡夫振付による〈フォリア〉、そして《ライモンダ》第三幕。2016年の門出を絢爛豪華に飾るに違いない。(稲田)
◆チャコット・カルチャー・フェスティバル2016《くるみ割り人形》
2016年1月10日(あましんアルカイックホール)
◇長年、バレエを中心とした舞台動画撮影・編集行ってきた株式会社ワビックがCG映像を手がける本公演は、一切のセットを排し、プロジェクションマッピングのみで構成されるという。強靭なテクニックと豊かな表現力を兼ね備え、またその卓越したファッションセンスからも幅広い注目を集めている飯島望未など、演出・振付・指導を手がける宗田静子門下の個性豊かなダンサー陣も必見だ。(宮本珠希)
◆《Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール 〜Music & Ballet Concert〜》
2016年1月10、11日(東京Bunkamuraオーチャード)、1月13日(愛知県芸術劇場)、1/14(大阪フェスティバルホール)
◇お馴染みのオペラ座エトワール三名が、ピアノのジョルジュ・ヴィラドムス、ヴァイオリンの三浦文彰と共演する。世界初演や日本初演の演目が並ぶプログラムが面白そうだ。『瀕死の白鳥』以外は全て現在の振付家の作品である。中村恩恵、パトリック・ド・バナ、イリ・ブベニチェクはダンサーとしても活躍中だが、今回は振付家として名を連ねる。ドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオの為に振付けられたジョルジオ・マンチーニの『トリスタンとイゾルデ』や、エルヴェ・モローの自作自演も上演されるようだ。公演名に倣い、月を連想させるタイトルが多い。月の明るい 夜は星(エトワール)観察には不向きだって?お前さんそんな野暮なこと言っちゃあいけないよ。(隅田)
◆谷桃子バレエ団《眠れる森の美女》
2016年1月15−17日(東京文化会館)
◇谷桃子バレエ団が『眠れる森の美女』の全幕に初めて取り組む。1949年の団創立以来、このバレエだけはやっていなかった。2014年に芸術監督に就任した斎藤拓が中心となり、バレエ団の総力をあげて『眠れる森の美女』の全幕上演という、団創立者の谷桃子がやり残した大仕事に取り組む。エルダー・アリエフが振付け、それをイリーナ・コルパコワが監修する。その出来栄えに注目しよう。(山野博大)
◆ジョナサン・M・ホール/川口隆夫《TOUCH OF THE OTHER―他者の手―》
2016年1月15-17日(スパイラルホール)
◇川口隆夫がメディア・スタディーズの研究者であるジョナサン・M・ホールと2年をかけて取り組んだ国際共同プロジェクトが、2014年の埼玉、2015年のロサンゼルスでのプレゼンテーションを経て、今回東京で上演を迎える。二人は、1960年代にアメリカで発表された、公衆トイレでの男性間の性行為、いわゆる「野外ハッテン」についての論文をモチーフに据え、同時代に起きたゲイ・リベレーション(同性愛者解放運動)の裏で確かに存在したはずの「逸脱した」ゲイ・カルチャーにスポットを当てた。2014年の埼玉でのプレゼンテーション・パフォーマンスは、論文に掲載されている性行為の事例を舞台に上げた観客に再現させるなど、自己と他者の欲望、自己と他者の関係性、演者と観客の距離を問い直すセンシュアルかつセンシティブな内容のものであった。常に芸術と社会との関係を問い続けたダムタイプの創設メンバー、故・古橋悌二のDNAは、川口に確かに受け継がれている。(折田彩)
◆GERO《くちからでる》
2016年1月15-17日(KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ)
◇ダンス界の雄、伊藤キムが帰ってくる。2005年の《未来の記》を最後に振付家としての活動を休止し、2011年に自身のカンパ二―「輝く未来」を解散後はダンサーとしての活動も制限してきた伊藤が、この度新たなカンパニーを立ち上げて創作活動を再開することとなった。ここ数年川村毅、松井周らの演劇作品へ出演してきたことも関係しているのか、伊藤の現在の興味は踊ることそのものではなく、踊る、演技するといった表現に至る手前の体そのもの、声そのものにあるらしい。伊藤と個性豊かなメンバー達が生み出す新たな表現の世界を堪能したい。(折田)
◆インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンス・カンパニー《DUST−ダスト》
2016年1月28-31日(彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)
◇イスラエルを代表するダンスカンパニーが来日する。ダンスの実力はもとより、美術、衣装、音楽、どれをとっても、ポップで可愛らしく、ユーモアやペーソスに溢れたシアトリカルな舞台はあらゆるアートファンを魅了してやまない。カラフルなのが特徴だが、今回はモノトーンの舞台となるらしい。また、アニメーションを使ったり、クラシック音楽を多用したり、彼らの新たな一面が見られるそうだ。彼らが演出した舞台の主演を務めたり、文化庁文化交流使として彼らのカンパニーに在籍していた森山未來も出演する。(吉田 香)
◆東京シティ・バレエ団《Double Bill―ダブル・ビル―》
2016年1月30-31日(新国立劇場中劇場)
◇ここ数年、海外の振付家による日本未発表の作品を精力的にレパートリーに組み入れてきた東京シティ・バレエ団。今回は、ダンサーであり、振付家として世界中から引っ張りだこのイリ・ブベニチェクによる『L'Heure Bleue(ルール・ブルー)』。美術、衣装、照明のデザインや振付助手は双子の兄弟であるオットー・ブベニチェクが務める。東京シティ・バレエ団スペシャルバージョンというから、ダンサーとの対話でどのような作品に仕上がるのか楽しみだ。同時に上演されるのはベートーヴェンのスピーディーな曲を徹底的に視覚化したウヴェ・ショルツ振付『ベートーヴェン 交響曲第7番』。同バレエ団による日本初演が2013年。当時大きな反響を呼んだのが記憶に新しいが、三回目となる今回は、このダンサー泣かせの激しい振りをどこまで余裕をもって踊れるようになったかが見所だ。(吉田)