February 17, 2012
追悼 渡辺宏美さん
渡辺宏美さんが昨年(2011年)の11月28日に亡くなっていた。本人の強い意志により、公表がこんなに遅くなったのだそうだ。それにしても71歳の他界は早すぎる。
渡辺さんは、渡辺朱美、渡辺孝に師事していた関係で、芸名に渡辺の名前がついていたのだ。本名が野澤啓子だということを訃報で知った。
1966年にアンナ・ソコロフが来日してアメリカ文化センターで教えた時に、彼女はその講習に参加した。当時、アメリカのトップクラスの舞踊家に教えてもらえるチャンスはほとんどなかったので、志賀美也子などの現代舞踊のスターたちがこのワークショップには参加した。私も見学させてもらったひとりだった。またバレエ教授法の第一人者である余芳美から教えるための技術を習うなど、彼女は積極的に舞踊のさまざまな知識を吸収した。
師匠の渡辺孝が舞踊団を結成して1971年2月に第1回の公演を行った時には、渡辺孝、渡辺育美、渡辺克美、渡辺朱美、渡辺元らと『殺生場』『聖者が街にやってきた』を踊った。
彼女は渡辺宏美綜合芸術学院を主宰し後進の指導にあたり、伊藤淳子らと立川洋舞連盟を結成して地域の舞踊文化の発展に尽力した。
1998年12月、渡辺モダンダンス・カンパニーのジョイント公演に参加した時に、代表作となる『神々への祭礼』を発表した。
いつも笑顔を絶やさずやわらかな物腰で我々には接してくれた。渡辺さんは優しい人という印象を持っていたが、指導者として厳しい一面を示すこともあったと聞いている。惜しい人に先立たれたという想いがつきない。ご冥福を祈る。
渡辺さんが育てた舞踊家のひとりであり、指導の場でもっとも頼りにしていた村田恵さんが実行委員長となり「渡辺宏美先生お別れの会」を、3月18日の11時半から東大和市民会館ハミングホール大ホール(電話 042-590-4411)で行う。にぎやかに集って、皆で渡辺宏美さんとの別れを惜しみたいと思う。
(山野博大)
(山野博大)
emiko0703 at 22:34