September 12, 2011
Modern Dance Concert vol.11:沢珠江舞踊研究所発表会
沢珠江は、静岡県出身。地元で舞踊の道に進み、東京に出て来て芙二三枝子の門下となった。1970年代中ごろから小澤恂子に師事した。
毎年光が丘のIMAホールで舞踊研究所の発表会を続けてきたが、3.11の震災で劇場が損害を受けたために、4月に予定していた発表会を延期し、練馬文化センター小ホールでの開催となった。
彼女の創る踊りの品の良い美しさには、独特のものがある。その門下からは佐藤百恵、森田美雪、宮本苑佳、市川譲らが育ち、師匠譲りの端正で行き届いた舞台を作る。今回上演された『響』は、2009年の《ザ・ネリマ現代舞踊展Vol.23》の出品作だったもの。小湊昭尚の尺八と沢自身のシンギングボール(茶碗のふちを指で触れて音を出す)演奏で踊られた。音波の微妙な変化をダンサーの動きに置き換えたような、ひっそりとした踊りの世界は、沢珠江ならではのものだ。
彼女は、自身のそのような繊細な資質だけでダンサーを育てることをせずに、正反対の持ち味の池田素子を指導者に迎えている。そして池田が振付け、森田美雪が踊った『108 desires』を上演したが、この作品は今年の埼玉全国舞踊コンクールのモダン成人の部で第2位の2、埼玉県教育長賞を受賞した。これは沢の、ダンスを教える場におけるバランス感覚の確かさを証明する成果だった。(山野博大 2011/09/02 18:00 練馬文化センター小ホール)