September 12, 2011

舞踊評論家・福田一平氏の逝去を悼む

2011年9月3日、舞踊評論の最長老のひとり福田一平氏が亡くなった。1926年11月25日の三重生れなので、享年84となる。
 彼は早稲田大学で児童舞踊のサークルをやっていたが、1950年に中退し、檜健次の門下となる。1950〜60年代には、関矢幸雄 黒岩延浩、石川須妹子らと共に、檜スタイルによる日本的な現代舞踊の創作に力を注いだ。1961年の福田一平・幸子創作舞踊公演(産経ホール)で発表した『マリアの首』など、現代舞踊の作品多数。
 1965年あたりから、石井みどり、江崎司、五条雅巳、藤蔭静枝、青山圭男、折田克子らと日本各地の民族舞踊の収集・舞台化を行い、日本民族舞踊団を結成して海外公演にも出かけることも多かった。後に日本民俗芸能協会を結成し、これを終生の仕事とした。
 1970年代後半から舞踊評論に転じ、実作者としての経験を生かして、綿密で実証的、かつ穏健な評論を書き続けた。文化庁関係の委員を歴任し、服部智恵子賞、橘秋子賞、東京新聞舞踊芸術賞、松山バレエ団賞等の選考、各種コンクールの審査にも関わった。また日本舞踊の作者として、歌舞伎の舞踊場面の振付者としても、多くの仕事をこなしている。
 筆者とは年齢差が9歳ある。多くの会議の場で席を共にし、劇場で同席することも多かった。「日本舞踊の台本を一本書くと、??円になるんだよ」と自慢しつつ、おごってくれたこともたびたびあった。話しはじめると、止まらなくなる悪?癖があり、会議などでは司会者泣かせだったし、長電話も有名だった。
 8月の公演にも元気な姿を見せており、最後まで劇場一筋の人生を思い通りに貫いた、幸せな人だった。冥福を祈る。(山野博大)



emiko0703 at 19:17レポート 
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