February 22, 2011

【番外編・セミナー情報 :英国でコンテンポラリーダンスが生まれ、育つ場−「ザ・プレイス」の仕組みと現状を語る】

現在、劇場法の施行、日本版アーツカウンシルの設立などを目前に控え、日本の芸術文化への助成、文化政策が大きく変わろうとしている。文化庁がアーツカウンシルの参考にしようとしているのは、英国のスタイルではないかと思われるが、その仕組みやダンス機関での運用等について、日本ではあまり馴染が無いだろう。このたび、非常にタイミング良く、ロンドンのコンテンポラリーダンス複合施設「ザ・プレイス」の最高責任者ケネス・サープ氏が初来日し、東京と神戸でセミナーが開催されることになった。日本のダンス関係者が情報を得て、質問や意見交換などができる絶好の機会である。以下に「ザ・プレイス」とセミナーの概要を記すので、参加いただければ幸いだ。



英国でコンテンポラリーダンスが生まれ、育つ場−「ザ・プレイス」の仕組みと現状を語る


*東京セミナー

227日(日)14001600 @青山こどもの城、研修室906

モデレーター  稲田奈緒美(舞踊評論家)

*神戸セミナー

31日(火)19002100 @アスタくにづか4番街(4階)NPO DANCE BOX

モデレータ   佐東範一(NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)代表)、大谷燠(NPO法人DANCE BOX代表)


主催: 国際交流基金

 
【ザ・プレイスとセミナーの概要】

ロンドンにある「ザ・プレイス」は、コンテンポラリーダンスの学校、専門劇場、レジデント・アーティスト、地域の人々や子どものための教育プログラムなどからなる、ダンスの複合的な施設である。

ダンサーや振付家を目指す人々が学び、踊るための学校であるロンドン・コンテンポラリーダンス・スクールからは、これまで多くの才能が世界へ羽ばたき、また、学士、修士の学位を取得して制作や教育の場で活躍している人もいる。ロビン・ハワード・ダンス劇場では、世界的に高名なカンパニーの公演から、若いダンスアーティストが最初の一歩として作品を発表する『Resolution!』、選ばれたダンスアーティストが委嘱を受けて創作し、最終決戦へと臨む『The Place Prize』などが毎年催されている。昨年、初来日して話題を呼んだホフェッシュ・シェクターは、ここでのレジデント・アーティストの経験を活かして飛躍した一人である。若いダンスアーティストが仕事を探したり、技術を向上させるためのサービスが整い、一方で、広く地域の人々に開かれた夜間や週末のダンス・クラス、子どものためのクラスなども開講されている。いわば、世界から、地域からダンスを愛する人々が集り、踊り、創造し、発信し、コミュニケートする場が「ザ・プレイス」である。

 

ケネス・サープ氏は、2007年に「ザ・プレイス」の最高責任者に就任し、現在、旺盛に指揮をとっている。それ以前にはプロフェッショナルなダンサーとして踊り、作品を振り付け、また、教師として多くのダンス・スクールや大学、ロイヤル・バレエ・スクールなどで教え、さらに、多くのダンス・プロジェクトに関わり、「Dance UK」や「ロイヤル・オペラ・ハウス」などの委員を務めてきた。英国のダンス界を幅広く経験、運営し、指導的な役割を担ってきたといえるだろう。

 

今回の来日を機に、英国のコンテンポラリーダンスに多大な貢献をしている「ザ・プレイス」の仕組みと、発展のための様々な機関との協力体制、資金の獲得などについて、語っていただく。さらに、昨年から英国では財政再建が急激に進められ、文化・芸術予算も大幅に削減された。厳しい財政状況の中で、ダンスが芸術としてのみならず、教育や福祉、地域活性化にも力を発揮しながら、評価され、発展を続ける現状についても語っていただく。

ダンスに関心のある方、英国でダンスを学んだり、発表したい方、英国の文化政策に関心のある方など、多くの方に参加していただきたい。(稲田奈緒美 2011/02/22



inatan77 at 19:54公演の見どころ 
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