September 20, 2010

第97回小林紀子バレエ・シアター公演

 小林紀子バレエ・シアターの第97回公演は、マクミランの『コンチェルト』、ニネッタ・ド・ヴァロワの『チェックメイト』に古典の『パキータ』を組合わせたトリプル・ビルだった。

古典の全幕上演と較べると、軽めのプログラムという印象だが、傾向の違う3本を並べる方がよけいな手間がかかっている。
マクミランの晩年の名作『コンチェルト』は、デボラ・マクミランの美術を使っての再演だった。第1楽章を真野琴絵、八幡顕光、第2楽章を島添亮子、デヴィッド・ホールバーグ、第3楽章を高橋怜子が踊った。バックには、萱嶋みゆき、荒木真理、中尾充宏らを入れて万全の構え。やはり島添が良い。彼女の動きの繊細さには独特のものがある。7月のスターダンサーズ・バレエ団チャリティ・ガラでこの作品のパ・ド・ドゥだけを小林ひかるとボネッリが力強く踊り、骨太に作られた振付の良さを見せたが、島添の舞台には、それとまったく違う日本的とでも言うべき細やかな美しさがあふれていた。デボラ・マクミランの水彩画風の美術にも配慮して、舞台全体をやわらか目に仕上げたのは、ステージングを担当したジュディー・リンコンのねらいだったかもしれない。『コンチェルト』をデボラの美術で上演しているのは、世界でこのバレエ団だけだ。
日本では、小林紀子バレエ・シアターだけが上演してきたニネッタ・ド・ヴァロワの『チェックメイト』は4年ぶりの再演。今回は黒の女王に大和雅美、赤の騎士に冨川祐樹、赤の女王に萱嶋みゆきとキャストを一新しての上演となった。黒の女王の大和は、憎々しげなアクションにやや欠けるところがあるものの、まずまずの出来。他のダンサーたちも無難にド・ヴァロワの手堅い構成を踊りこなし、古いイギリスのバレエのゆったりとしたストーリーの展開をよみがえらせた。
小林紀子演出の『パキータ』は。ピーター・ファーマーの黄金の幕が幾重にも重なって垂れている舞台美術が豪華な印象だった。島添、ホールバーグを中心に、ソリスト陣の大森結城、大和雅美、高橋怜子、萱嶋みゆきら小林紀子バレエ・シアターの新旧精鋭が顔をそろえた。やはりパ・ド・ドゥのふたりが圧倒的な存在感を示し、ファーマーの舞台美術にしっくりと溶け込んだ。ポール・ストバート指揮の東京ニューフィルハーモニック管弦楽団の演奏。『コンチェルト』のピアノは中野孝紀が弾いた。(山野博大 2010/08/28 18:30 ゆうぽうとホール)


emiko0703 at 20:54舞台評 
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