May 10, 2010
中学生はトゥシューズに慣れ、高度な技術にも挑戦する年齢に当たるため、決戦参加者にはピルエット、イタリアン・フェッテ、ピケ、シェネなどの回転技術を楽々とこなす者が少なくない。続きを読む
May 05, 2010
イスラエルを代表するダンスカンパニーのバットシェバ舞踊団が、2年ぶりに来日した。バットシェバの作品といえば、ダンサーのダイナミックな動きと何らかの“仕掛け”である。例えば『アナフェイズ』(1993年初演)では、黒のパンツスーツを着た20人程のダンサーが半円形に並べられたイスに順に乗ったり、倒れたりして、迫力あるウェーブをみせたかと思えば、衣装を脱いで中央にうず高く積み上げる。2005年初演の『テロファーザ』では、ダンサーをスクリーンに写し、そこから観客に話しかけ、観客も一緒に踊るよう促した。しかし、今回の『MAX マックス』は、そうした演出や装置、そして凝った衣装も一切排したミニマルな作品であった。
ダンサーが身にまとうのはタンクトップと短パンだけ。時折、赤と緑など数色の照明が同時にダンサーの体に投影されるのが面白い。使われる音楽は、呪術的に聞こえる力強い男性ボーカルのほかは、ファイヤーダンスのバックで演奏されるような規則的に延々と続くドラムの音や不思議な言葉を使って数をカウントする声ぐらいで、無音の場面も多い。音楽を担当したのは、作品のタイトルにもなっているマキシム(通称マックス)・ワラット。カウントに使われていた言葉はワラッティという世界で1500人程度しか話す人がいない特別な言語だという。
四肢の関節をフレックスさせ、舞台を踏みつけるなど力強く動いては、倒れる。芸術監督であり、振付を担当するオハッド・ナハリンがよく使うイディオムだ。音楽に引きずられずに、ものすごい集中力で自分の世界を作り上げるソロもいいが、見どころは群舞にあった。10人のダンサー全員がワイルドに、それぞれ異なる動きをするのだが、たとえ無音の場面であっても、アンサンブルが美しく、ピタリと決まる。ダンサーの強さとしなやかさを併せ持つ動きは、ナハリンが編み出した「緊張」と「脱力」に主眼を置いた“GAGA”というメソッドを習得している成果なのだろう。彼らの迫力に圧倒されつつその美しさに陶酔しながら、心地よい時間が過ぎていく。
ナハリンは舞台から余分なものを一切取り払って、ダンサーの身体、技術、そして振付そのものをみせることに集中し、それが成功した。観客はダンサーの筋肉の動きにまで見入り、彼らが倒れたり、体を叩いたりする音にまで聞き入った。バットシェバは見事に新境地を開拓した。 (吉田香 2010/04/17 15:00 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)