公演情報

December 01, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、1120日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年12月公演】


◆ベートーヴェン交響曲第5番『運命』全楽章を踊る

2017年12月1〜3日(森下スタジオ)

◇いまやコンテンポラリーダンス界を背負って立つ存在となった森下真樹によるソロ公演。テーマは、ベートーヴェンのあの『運命』だ。振り付けるのは、楽章ごとに、笠井叡、森山未來、そして、Perfumeや恋ダンス、五輪関連等々、幅広く振付と演出を手掛けるMIKIKO、写真家で探検家の石川直樹というなんとも面白い顔ぶれだ。森下の身体を通して、それぞれがどのような“運命”を描くのだろうか。(吉田 香)


◆岩渕貞太ソロ・ダンス2017『missing link』

2017年12月1日〜5日(こまばアゴラ劇場)

◇2000年代初頭、コンテンポラリーダンサーとして踊り始めて間もない岩渕貞太は、ニブロールや山田うんらの作品に登場して軽やかなイメージを残した。ところがその後、故室伏鴻のカンパニーメンバーとして活動を始めると、一転して深く硬質な身体で佇み、あるいは怪しげな刃物のように踊る身体へと変わっていく。近年では振り付けることも通して、ダンスと身体に向き合う姿が独特の吸引力を発している。その彼が生物進化の失われた環である「missing link」という、ある不在をソロとして現前させる作品に挑む。今の彼がどのような姿で立ち現れるのか、しっかり見届けたい(稲田奈緒美)


◆井上バレエ団12月公演ピーター・ファーマー美術による『くるみ割り人形』

2017年12月9、10日(文京シビックホール・大ホール)

◇12月は各地で『くるみ割り人形』が上演され、様々な演出がファンを楽しませる。井上バレエ団は子供のクララが全幕を通して出演し、王子様は一幕で雪の精、二幕で金平糖の精をパートナーにパ・ド・ドゥを披露する。源小織と宮嵜万央里がダブルキャストで金平糖の精を踊り、浅田良和と江本拓が、昨年に引き続き王子役でゲスト出演。さらにねずみの王様の大倉現生も見逃せない。着ぐるみ姿は一見コミカルだが、年々役に深みが増して、格好よさはもはや他の追従を許さない。大倉のねずみの王様は、クララを脅かすというよりも、ダークサイドに誘うのが特色だ。真っ白の衣装のくるみ割り人形と舞台中央に並び立つと、善と悪の対決が強調されて盛り上がる。こっそりねずみ軍を応援してしまうのは筆者だけではないはず?!(隅田有)


◆伝統と創造シリーズvol.9『老松』

2017年12月10〜12日(セルリアンタワー能楽堂)

◇セルリアンタワー能楽堂主宰の《伝統と創造シリーズ》の9回目に、コンテンポラリー・ダンスの黒田育世が登場して、常連の酒井はな、津村禮次郎と共に世阿弥の夢幻能『老松』に挑戦する。バレリーナの酒井も度を履き能舞台で舞うそうだ。どんなことになるのか、見ておきたい。(山野博大)


◆映画『新世紀、パリ・オペラ座』

2017年12月9日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

パリ・オペラ座のドキュメンタリー映画はこれまでにも製作され、舞台裏のバレエダンサーの姿などを垣間見せてくれた。しかしこの映画では、舞台裏のダンサーやオペラ歌手よりむしろ、オペラ座という組織が巨大な生き物のように描かれている。日頃のレッスン風景や作品リハーサルだけでなく、就任間もない総裁ステファン・リスナーら運営側から舞台の技術スタッフ、掃除係までが悩みながら、衝突しながら、それでも幕を開けて観客からの喝采を得るために一丸となって進んでいく様子は、ときに滑稽であり、スリリングだ。バレエファンにとってのクライマックスは、バレエ団芸術監督がバンジャマン・ミルピエからオレリー・デュポンへと変わるところだろうか。映画監督ジャン=ステファヌ・ブロンが2015年から約1年半をかけて撮影した、パリ・オペラ座という素敵な生き物を堪能してほしい(稲田奈緒美)


◆新国立劇場開場20周年記念 新国立劇場バレエ団『シンデレラ』

2017年12月16〜24日(新国立劇場・オペラパレス)

◇新国立劇場の十八番と言ってもよいだろう。開場2年目の1999年から本作を上演し、2006年からは偶数年の年末の定番のレパートリーだった。しかし今年は奇数年恒例の『くるみ割り人形』を10から11月にかけて一足早く上演。二年連続で『シンデレラ』が観られるのは嬉しい。運命を見方につけて自分で幸せを掴みに行くアシュトン版のシンデレラは、バレエの主人公の中でも独特な存在だ。舞踏会の出席を助ける仙女とシンデレラの関係が興味深く、登場のシーンで二人は鏡合わせのように踊る。プロコフィエフの物語性の高い音楽と見事にマッチし、様々な深読みができる演出が、観れば観るほど面白い。今年は5人のシンデレラと王子様が登場。どのキャストで観るかも悩むところ。(隅田)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団・ベジャールの『くるみ割り人形』」

2017年12月16、17日(東京文化会館・大ホール)

◇ベジャール版『くるみ割り人形』の主人公ピムは、少年時代のベジャールの分身だ。7歳のピム(16日・岡崎準也、17日・高橋慈生)が、母親にクリスマス・プレゼントを貰うところからバレエは始まる。そのヴィーナスの像が舞台の上で巨大化し、ピムはそれによじ登って唇にキスをする。像が半回転して、その背中の聖母像の中から彼の母親(16日・渡辺理恵、17日・崔美実)が現れる。1999年の取りのでの初演時にはなかった、日本版特別のマジック・キューピーのキャラクターを今回も飯田宗孝が楽しげに演じて、舞台の空気を和ませることだろう。ベジャール没後10年目に観る『くるみ割り人形』はこれだ。(山野)


◆熊川哲也Kバレエカンパニー『くるみ割り人形』赤坂Sacasバージョン10周年記念 

2017年12月21〜24、26日(赤坂ACTシアター、とうほう・みんなの文化センター)

◇熊川哲也がてがけた『くるみ割り人形』は、E.T.Aホフマンによる原作のエッセンスを散りばめ、ドラマティックに昇華させた決定版。人形の国とネズミの対立、クララのめくるめく旅路とそこに見られる内面的な成長など、重層的な構成が大きな魅力である。また、他の版に比べ、ドロッセルマイヤーの踊りの見せ場が多いのも特徴だ。ヨランダ・ソナベントによる息を呑むほどの美しい舞台美術・衣裳も必見!今回をもって赤坂Sacasでの上演は最後となるが、丹念に紡がれたファンタジーの世界を臨場感溢れる空間で堪能したい。(宮本珠希)


◆泉樹会・華継会 藤間清継リサイタル《大和の風景》

2017年12月24日日(国立劇場・小劇場)

「大和の風景」と冠した三本立てのうち、清継は清元『大和風月』、長唄『二人静』を上演。とりわけフラメンコと日本舞踊のコラボレーションの『二人静』に期待が寄せられる(振付・佐藤浩希、藤間清継)。『道成寺』など和物を題材にした作でも高い評価を得ている鍵田真由美。日本舞踊の世界では若手の範疇に入るが、確かな技術力を持ち、新派風の女形を得意とする清継。静御前の世界を昭和初期に移し、静御前の霊(鍵田)と年季明けの遊女(清継)が出会う。二人の女の交錯と舞踊の融合が楽しみなクリスマス・イブである。(阿部さとみ)


◆創立150周年記念ウクライナ国立歌劇場来日公演フェスティバル キエフ・バレエ公演/

《オール・オブ・クラシックプレミアムコンサート〜オペラ&オーケストラ&バレエ》

2017年12月24、26、27、28、1月3〜8日(東京国際フォーラム・ホールA、東京文化会館・大ホール、アクトシティ浜松・大ホール、千葉県文化会館・大ホール、Bunkamuraオーチャードホール)

◇年末年始にかけて、ウクライナ国立歌劇場がバレエ団、指揮者、歌手、オーケストラ、合唱団すべてを引き連れた豪華な引っ越し公演を行う。オペラ、バレエ、オーケストラそれぞれの公演が催されるが、一番の注目は全部門が一堂に会する12月27日のガラ公演だろう。オーケストラとオペラ・アリアの名曲集、そしてアロンソ版『カルメン』が披露される。アロンソ版をオーケストラ演奏で見られる滅多に無いチャンスであり、かつフィリピエワがカルメンを演じるという豪華さだ。キエフ・バレエ公演では、12月26日の《150周年バレエ・ガラ》に注目したい。バレエ団のソ連時代の代表作である『森の詩』(第3幕のみ)が40年ぶりに日本で上演される。バレエ団の過去と現在を感じられる貴重な一夜になるだろう。(折田彩)



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October 31, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、1020日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年11月公演】


◆日本バレエ協会《バレエ・クレアシオン》

2017年11月11日(メルパルク)

◇今回は、田中祐子の『くびちりどぅし』、近藤良平の『ねこ背』、中村恩恵の『7つの短編』という3本の新作を上演する。田中は沖縄の題材をトー・シューズのダンサーを使ってどう処理するのか、近藤がバレエ・ダンサーに運動靴を履かせてどんな舞台を作るのか興味津津。中村の舞台では、ジョン・ケージの音楽を中村、首藤康之、山本隆之と日本バレエ協会のダンサーたちが踊る。新たな名作誕生への期待が高まる。(山野博大)


◆黒沢美香追悼企画《美香さんありがとう》

2017年11月12、25日『一人に一曲』18日『lonely woman』(大倉山記念館ホール)

◇2016年12月に旅立った黒沢美香の追悼企画。彼女と共に歩んできた黒沢美香&ダンサーズ有志によるダンス公演と上映会が、月をまたいで12月まで行われる。一人ずつランダムに選ばれた曲を即興で踊り切る『一人に一曲』、1991年に日本代表となりフランスでバニョレ国際振付コンクール本選に参加するも、その即興性ゆえに上演を拒まれたという『Lonely Woman』は、いずれも黒沢の伝説のシリーズ「偶然の果実」から生まれたもの。年末には、24名の歴代のダンサーズが黒沢の小品を次々と踊る[黒沢美香 振付作品集「ダンス☆ショー」より]が上演される。上演会は、渋谷のアップリンクにて、作品やドキュメンタリーを集めた5つのプログラム編成となっている。その他、トークあり、ギャラリー展示あり、黒沢の清廉且つギラギラしたダンスワールドにどっぷり浸かれるという企画である。寂しいが、このイベントが黒沢美香&ダンサーズとって最後の活動となるという。今年の締めくくりには、黒沢を偲びつつ、カンパニーメンバーの前途をともに祝したい。(吉田 香)


◆STスポット《30th アニバーサーリー ダンスセレクション》

vol.2 ダンスショーケース(Aokid、岩淵貞太、岡田智代、モモンガ・コンプレックス)2017年11月9 – 12日(STスポット)

Vol.3 山田うん×楠田健造『生えてくる』2017年11月17-19日(STスポット)

◇ST Spotは横浜駅近くのビルの地下にある、さほど大きくはないスペース。でも、ここは新しいコンテンポラリーダンスが生まれる場であり、同時にそれを創る振付家、ダンサー、スタッフが育つ場である。30周年を迎えて、これまでST Spotに関わってきたダンサーたちが集う企画が行われている。既にvol.1は10月に終わり、伊藤キムと山下残が踊った。11月はvol.2 ダンスショーケースでAokid、岩淵貞太、岡田智代、モモンガ・コンプレックスの4組の作品が、vol.3 で山田うん×楠田健造の『生えてくる』が上演される。特に後者は、初めての振付作品をここで発表した山田と、その公演に出演し現在はオランダを拠点に活動している楠田が、21年ぶりに出会ってデュオを踊るという。多様なダンスとダンサーと、それらが織りなす場の歴史を味わい、30周年を祝いたい。(稲田奈緒美)


◆SPAC『変身』

2017年11月18日〜12月10日(静岡芸術劇場)

◇不条理文学の傑作を小野寺修二が演出した本作の初演(2014年)は、小野寺の鮮やかな作品解釈と緻密な演出、俳優達の明晰な身体表現、音楽の阿部海太郎や美術の深沢襟らのセンス溢れるスタッフワークが高度に嚙み合い、『変身』の一つの完成形とも言える素晴らしい舞台となった。この傑作が3年ぶりに再演される。今回は、初演に出演したカンパニー・デラシネラの大庭裕介が抜けてオールSPACキャストとなるが、スズキ・メソッドを習得しているSPACの俳優陣はみな驚くほど体のコントロールに優れ、小野寺の複雑な振付をモノにしている。ダンスファンにこそ見てほしい、珠玉の演劇公演である。(折田 彩)


◆モーリス・ベジャールバレエ団Aプロ『魔笛』、Bプロ『ボレロ』『ピアフ』『アニマ・ブルース』『兄弟』、東京バレエ団合同ガラ《ベジャール・セレブレーション》
Aプロ 2017年11月17〜19日(東京文化会館)
Bプロ 2017年11月25、26日(東京文化会館)
特別合同ガラ 2017年11月22、23日(東京文化会館)

◇ベジャール没後10年の記念シリーズ。モーリス・ベジャールバレエ団の来日公演としてAとBの二つのプログラムを上演し、その合間に東京バレエ団との合同公演《ベジャール・セレブレーション》を披露する。この合同公演はベジャールの命日である11月22日とその翌日の23日に開催され、ベジャールを偲ぶ舞台映像を公開するなど特別企画が実施される。会場には遺品も展示されるそうだ。バレエ団の来日公演では『ボレロ』(Bプロ)を始めとする人気演目に加え、現芸術監督ジル・ロマンの振付作品も予定されており、カンパニーの今が感じられるプログラム。ベジャール亡き後も力強く前進するモーリス・ベジャールバレエ団を、しっかりと目に焼き付けたい。(隅田有)


◆KARAS《アップデイトダンス No.49》『顔』

2017年11月18日〜26日(カラス・アパラタス)

◇勅使川原が自前のスタジオで自作を上演するアップデイトダンスシリーズ。2013年のスタジオ開設当初からコンスタントに創作を重ね、4年で48本もの作品が生み出された。今年最後のスタジオ公演は、カンパニーの看板ダンサー、佐東利穂子のソロ公演。最近の佐東のソロは神がかった輝きを放っており、一作毎ごとに深化しているように見える。濃密な空間のなかでぜひ彼女を堪能してほしい。(折田)


◆イワキ・バレエ・カンパニー《バレエ・ガラ2017》

2017年11月23日(新宿文化会館)

◇今回で3度目となるガラ公演は、菅野英男、芳賀 望米沢 唯を始めとする豪華ゲスト陣を迎え、昨年初演された高橋竜太振付『D/CARMEN』、青木尚哉が演出・振付を手がける『互ヒニ素』など、とても多彩で興味深いラインアップだ。また、米沢と芳賀の『ダイアナとアクティオン』も、磐石のテクニックを誇る米沢と、安定した踊りを見せる芳賀との化学反応に期待が高まる。(宮本珠希)


◆NBAバレエ団『くるみ割り人形』

2017年11月23日(所沢市民文化センターミューズ マーキーホール)

◇12月の東京公演より一足早く、所沢で上演される。久保紘一版は、クリスマスツリーが伸びる場面にプロジェクションマッピングを使ったり、戦いに敗れたネズミの残党が毒入りケーキのテロを仕掛けたりと、観客を楽しませる仕掛けが盛りだくさん。一幕には疾走感、二幕にはアクロバティックな華やかさがある。NBAらしさが感じられる、エンターテイメント性の高い演目だ。(隅田)


◆《舞の会―京阪の座敷舞−》

2017年11月23日(国立劇場)

毎年恒例の舞の会。凝縮された日本の美学を楽しめること必至の公演。座敷舞は、シンプルな扮装、装飾を削ぎ落とした中に、風景や人の心といった情緒を紡ぎ出す。いわば引き算の美学がそこにある。上方を代表する四流(井上・楳茂都・山村・吉村)を中心とした布陣で、1時、4時の二回公演、各々6演目が並ぶ。ますますの充実をみせる人間国宝・井上八千代の『蓬生』。吉村輝章、真ゆうによるのどかな『たぬき』。山村友五郎の端然とした『新道成寺』などなど、多種多様な舞の世界を堪能できるだろう。(阿部さとみ)


◆新国立劇場《舞踏の今・その1》山海塾『海の賑わい 陸の静寂 〜めぐり』

2017年11月25、26日(新国立劇場中ホール)

◇新国立劇場の舞台に舞踏の山海塾と大駱駝艦が登場する。その第一弾が山海塾だ。彼らが東京で公演を行うのは2015年以来、2年半ぶりのこと。『海の賑わい陸の静寂〜めぐり』は新国立劇場中劇場の奥の深い舞台に似合いそう。久しぶりに彼らの宇宙感覚漂う静謐な舞踏空間をじっくりと楽しみたい。(山野)





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October 01, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、920日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年10月公演】


◆芸術祭十月大歌舞伎夜の部より『秋の色種』

2017年10月1〜25日(歌舞伎座)

◇今の季節に相応しいこの演目はその名の通り秋の草花を詠み込み込んだもの。解釈の幅も多様で、一人立、二人立…と、日本舞踊の各流派で様々な振付、演出がなされている。日本舞踊の公演ではしばしば上演されてきたが、歌舞伎興行では珍しく、今回は歌舞伎座での初上演。昨年初めて同曲を手がけた坂東玉三郎。今回は中村梅枝、中村児太郎と共に三人立の趣向で踊り、秋の風情に、松虫の声…、そこに重ねられる女の恋心…と、その独特の美学が織りなす舞台に期待が高まる。(阿部さとみ)


◆篠原聖一バレエ・リサイタル《DANCE for Life 2017》『ロミオとジュリエット』全2幕

2017年10月1日(メルパルクホール・東京)

◇2001年から始まるシリーズの第10回目。篠原聖一が振付家としてキーポイントとなったという作品を3作上演する。『グラズノフ・パ・ド・ドゥ』は下村由理恵と森田健太郎のために振り付けられた作品で、奥田花純、浅田良和が初役で挑む。『Out』は今回男性3人を加えて上演。豪華キャストに目がくらむ『ロミオとジュリエット』全幕と合わせて一挙上演に期待が膨らむ。(隅田有)


◆Kバレエカンパニー『クレオパトラ』

2017年10月6〜9、12、14、20〜22、28〜29日(Bunkamuraオーチャードホール、愛知県芸術劇場・大ホール、フェスティバルホール、東京文化会館・大ホール)

◇前作『カルメン』から3年の時を経て、熊川哲也の手がける大作がまたひとつ誕生する。『クレオパトラ』は、同氏の完全オリジナル作品であり、史実を基に古代エジプト絶世の美女を巡るドラマが展開される。世界初演のタイトル・ロールは中村祥子と浅川紫織。伝説的な美の化身をどのように演じ、我々を魅了してくれるのか期待は高まるばかりである。また、公演プロモーションのビジュアルも鮮烈であり、映像で流れている印象的なカール・ニールセンの音楽も堪能したい。さらには、前田文子デザインの絢爛たる衣裳、ダニエル・オストリングによる洗練された舞台美術も大きな見どころだ。これまで数々のクラシック作品を、独自の解釈や美意識でドラマティックかつ壮麗に昇華させてきた熊川の新境地に立ち会いたい。(宮本珠希)


◆牧阿佐美バレエ団『眠れる森の美女』

2017年10月7、8日(文京シビックホール)

◇牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』はテリー・ウェストモーランドの振付。きりっと引き締まった展開は、長大なバレエを飽きさせずに見せてくれる。1982年の初演で川口ゆり子、ゆうきみほ、清水洋子、矢都木みつる、森下洋子という5人が競演して以来、多くのオーロラ姫を生み出してきた。今回はヌーツァ・チェクラシヴィリと中川郁のダブルキャストだ。どちらを見ようか。(山野博大)


◆TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2016 受賞者公演 平原慎太郎 OrganWorks『聖獣〜live with a Sun〜』吉田

2017年10月12〜15日(シアタートラム)

◇2016年にトヨタ コレオグラフィ―アワードで「次代を担う振付家賞」と「オーディエンス賞」を同時受賞した平原慎太郎。他に大差をつけて受賞した圧倒的なパフォーマンスが記憶に新しい。その副賞として与えられたのが、今作の創作と公演に対する助成である。聖書の“聖獣=リヴァイアサン”や日本文学における“虫”から着想を得たという。Noismやコンドルズでダンサーや振付家として活躍する一方、国内外のアーティストと多数共演し、飛ぶ鳥を落とす勢いの平原が、自身のカンパニーOrganWorksを率いてどう報いるのか、楽しみだ。(吉田 香)


◆法村友井バレエ団創立80周年公演『赤き死の舞踏』『騎兵隊の休息』『未来へ』

2017年10月15日(フェスティバルホール)

◇バレエ団創立80周年を記念して、法村・友井バレエ団が異なる趣向の三作品を上演する。メインは、エドガー・アラン・ポー原作『赤き死の仮面』をバレエ化した「赤き死の舞踏」。1956年に創作初演されたが、長らく上演されていなかった作品だ。戸田邦雄が作曲した楽譜が見つかったことから、振付を新たに篠原聖一に依頼して、まったく新しい作品として蘇る。赤死病(ポーの創作)が蔓延する領地を見捨てて城内に閉じこもるプロスペロ公を法村圭緒、赤死病の精を法村珠里が踊る。ポーの怪奇小説のバレエ化という珍しい試みに興味が募る。ほかは、同団が得意とするロシアバレエ「騎兵隊の休息」(原振付マリウス・プティパ)、創立80周年を祝い法村圭緒が振り付ける「未来へ」(音楽はスメタナの「モルダウ」)。80年の過去と未来をつなぐ、挑戦的かつ新鮮な公演が楽しみだ。(稲田奈緒美)


◆芸劇dance イデビアン・クルー『肩書ジャンクション』

2017年10月20〜22日(東京芸術劇場・シアターイースト)

◇毎年秋に先鋭的なコンテンポラリー・ダンス作品を上演している「芸劇dance」企画に、今年は初めてイデビアン・クルーが登場する。毎回無駄に豪華な装置と小芝居や小ネタ満載の動きで我々を驚かせるイデビアンだが、今回は「最小限の美術と研ぎすまされた人の動きに満ちた作品」を目指すらしい。え?イデビアンが?今までとは違う新たなイデビアンを発見できるかもしれない。(折田 彩)



◆現代舞踊協会《2017時代を創る現代舞踊公演》

2017年10月28、29日(渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール)

◇この公演は、日本の現代舞踊の今を背負って立つ舞踊家たちの競演の場だ。彼らが、石井漠、高田せい子、江口隆哉らが培ってきた財産を、今の時代にどのようになじませているかを確かめてみよう。その他に「名作の再演」として芙二三枝子が1973年に日生劇場で初演した壮大な群舞『巨木』の再現上演もある。(山野)


◆バットシェバ舞踊団/オハッド・ナハリン『Last Work−ラスト・ワーク』

2017年10月28、29、31日、11月3、5日(彩の国さいたま芸術劇場・大ホール、北九州芸術劇場・中劇場、愛知県芸術劇場・大ホール、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・中ホール)

◇10月は文句なくバットシェバ舞踊団の月であろう。2年ぶりの来日公演を行うだけでなく、主宰のオハッド・ナハリンが考案したオリジナルのダンス・メソッド「GAGA」を体験できるワークショップ、ナハリンのドキュメンタリー映画『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』の日本公開も時を同じくして行われる。目と体でバットシェバを感じることができる贅沢な機会である。肝心の『Last Work』は、短いトレーラーを見ただけでも作品の強度に驚嘆させられた。どうかこの傑作を見逃さないでほしい。(折田)


◆新国立劇場『くるみ割り人形』

2017年10月29日〜11月15日(新国立劇場オペラパレス)

◇新国立劇場の『くるみ割り人形』としては3つ目のプロダクション。1997年から10年間はほぼ隔年でマリインスキー劇場の装置と衣装を使ったワイノーネン版を、そして2009年からは牧阿佐美版を上演してきた。そして今年、ウエイン・イーグリング版が新制作される。『くるみ割り人形』は古典でありながら、振付・演出ともプロダクションによってさまざま。オランダ国立バレエやイングリッシュ・ナショナル・バレエで既に本作を手がけてきたイーグリングの、新国立劇場版に期待したい。(隅田)





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September 01, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、820日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年9月公演】


◆ルッシュワルツのダンスパフォーマンス《コンチェルト》

2017年9月6、7日(新宿区文化総合センター大和田伝承ホール)

◇内田香率いるルッシュワルツは今回の《コンチェルト》と銘打った公演で、内田の新作『Concerto 共存する身体・響き・景色』を発表する。原裕子、寺坂薫、佐藤宏美、伊東由里、恩田和恵、西田知代、内田奈央子、小野寺沙恵、前原星良、澤原春海といった永年舞台を共にしてきたダンサーたちとともにまた美しく、はなやかな舞台を繰り広げるに違いない。(山野博大)


◆東京バレエ団《20世紀の傑作バレエ》 

2017年9月8〜10日(東京文化会館・大ホール)

◇意欲的にレパートリーを拡大している東京バレエ団の、またしても勢いを感じるプログラムだ。プティ、キリアン、ベジャールの三作品を上演する。『アルルの女』に出演する上野水香とロベルト・ボッレは、昨年同作をモスクワのクレムリン・ガラで披露。ベテラン二人の見応えのある舞台になるだろう。川島麻実子・柄本弾のペアも、たっぷりとドラマを見せてくれるに違いない。先日キャストが発表になった『小さな死』は、キリアンの詩情あふれる傑作。ダンスならではの官能を、初演でどこまで表現できるか楽しみだ。『春の祭典』はバレエ団の十八番。近年上演された『ザ・カブキ』や『中国の不思議な役人』同様に、圧倒的な群舞の力が本公演でも存分に堪能できるだろう。(隅田有)


◆鳥の演劇祭10

2017年9月8〜24日(鳥の劇場と鹿野町内各所)

◇本演劇祭は、地域性と同時代性を兼ね備えたアーティストを日本と世界の各地から鳥取に招聘しており、小規模ながら毎年質の高いディレクションを誇っている。今年はダンス分野では、神戸を拠点とする岡登志子のアンサンブル・ゾネと、横浜を拠点とする伊藤キムのフィジカルシアターカンパニーGERO、そして京都を拠点とする余越保子が鹿野町の住民によるコミュニティ・ダンスグループ、とりっとダンスに振り付けた作品の計3本が上演される。特にとりっとダンスは、日本におけるコミュティ・ダンスの成熟を象徴する存在として、毎年この演劇祭で素晴らしい公演を披露している。演劇祭やアートフェスティバル全盛の昨今、この流行に疑問を抱いている人にこそ訪れてほしい、意義と価値を持った演劇祭である。(折田 彩)


◆エバ・ジェルバブエナ・フラメンコ舞踊団公演『AY! アイ!』

2017年9月16、17日(Bunkamuraオーチャードホール)

2017年9月20日(兵庫県芸術文化センター)

◇フラメンコ界のミューズと呼ばれるエバ・ジェルバブエナが3年ぶりに日本に帰ってくる。その華麗な舞台を待っていたファンにとっては待望の公演というわけだ。(山野)


◆アトリエヨシノ20周年記念公演 Iwaki Ballet Company『ドン・キホーテ』全幕/バレエアート夢『オズの魔法使い』

2017年9月18日(昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ)

◇ボストン・バレエ団プリンシパルの倉永美沙が『ドン・キホーテ』に主演。本年1月の小牧バレエ団『白鳥の湖』、6月の《横浜バレエフェスティバル》では、卓越した技術と音楽性、そして抜群の演技力で観客を引き込んだ。世界中を飛び回り、今、ダンサーとして充実期を迎えている彼女のキトリを見届けたい。(宮本珠希)


◆《世界ゴールド祭》キックオフ!シンポジウム&ワークショップ、同時開催・さいたまゴールド・シアター『薄い桃色のかたまり』

2017年9月21〜24日(彩の国さいたま芸術劇場・小ホール)、『薄い桃色のかたまり』は9月21〜10月1日(彩の国さいたま芸術劇場・大ホール内インサイド・シアター)

◇芸術には、作品そのものを観客として楽しむことができる一方で、社会の様々な課題の課題につなげるという用い方もある。近年注目されているのは、高齢者がダンスや演劇などに参加することで、元気に充実した生活を送ることができるのではないか、という高齢化社会に対する可能性だ。彩の国さいたま芸術劇場で、蜷川幸雄によって2006年に創設された高齢者演劇集団さいたまゴールド・シアターは、そのような可能性を明らかに示している。また、英国では既に様々な活動が行われており、多くのヒントを与えてくれる。世界のこのような活動が交流し、発展を目指す《世界ゴールド祭》が開催されることになった。そのキックオフとして、「高齢化社会における芸術文化の可能性―劇場は地域に何をもたらすことができるのか」というテーマを掲げて、英国から高齢者のダンスカンパニーであるカンパニー・オブ・エルダーズとその拠点でダンス専門のサドラーズ・ウェルズ劇場、高齢者劇団エンテレキー・アーツとその拠点劇場であるオールバニー劇場などからゲストを招き、シンポジウム、ワークショップが行われる。さいたまゴールド・シアターによる最新作『薄い桃色のかたまり』も同時に上演される。踊り、演じることで輝いている日英の高齢者たちから、ダンスや演劇の新しい可能性がきっと見つかるはずだ。(稲田奈緒美)


◆スヴェトラーナ・ザハーロワ《AMORE》、スヴェトラーナ・ザハーロワ&ワディム・レーピン《PAS DE DEUX for Toes and Fingers》

2017年9月26、27、29日(Bunkamuraオーチャードホール)

◇ボリショイ・バレエのプリンシパルで長らく世界の女王として君臨するスヴェトラーナ・ザハーロワ。彼女の夫で天才ヴァイオリニストのワディム・レーピンとの夢の競演《PAS DE DEUX for Toes and Fingers》が、昨年に続いて今年も開催される。今年は昨年のキャストに加えて、ブノワ賞を受賞したデニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエのプリンシパル)も参加し、ザハーロワと『ライモンダ』を踊る。さらに今年は、ザハーロワ自身がプロデュースし全ての作品で主演するトリプル・ビル《AMORE》も上演する。いずれもテイストが全く異なるコンテンポラリー作品で日本初演。様々な角度から彼女の魅力を堪能できるだろう。(吉田 香)


◆《新潟インターナショナルダンスフェスティバル2017》

2017年9月29日、10月8、15日、12月15−17日(りゅーとぴあ・新潟市民芸術文化会館)

◇芸術文化によって、地域を活性化したり国際交流を目指すこと、そのことによって地域の人々が素晴らしい芸術を享受し、誇りに感じることも、芸術文化の役割の一つだ。それを実践し、着々と成果を上げているのがりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)とそのレジデントカンパニーNoismだろう。2015年に始まり、今回第二回となる《NIDF−新潟インターナショナルダンスフェスティバル》は、新潟で初めての国際ダンスフェスティバルであり、日本海で接するアジアの国々から舞踊団を招聘し、新潟からアジアへ、世界から新潟へと繋がり、発信する意欲的な事業だ。芸術監督であるNoismの金森穣が今回選んだのは、韓国の大邱市立舞踊団、シンガポールのT.H.Eダンスカンパニー、香港の城市当代舞踊団。ここにNoim1も加わり、華やかに公演、シンポジウム、ワークショップが行われる。優れたダンス作品を見て、それを招いた劇場と新潟市を見て、ダンスの力が街と人々を活気づけている様子を体感したい。(稲田)


◆貞松・浜田バレエ団公演『ジゼル』

2017年9月30日(神戸文化ホール・大ホール)

◇同団では8年ぶりの上演となる『ジゼル』。タイトル・ロールの川崎麻衣は、清楚で愛らしい雰囲気が光るダンサーであり、アルブレヒトの塚本士朗も、正確なテクニックや端正な身のこなしが持ち味。ふたりが舞台でどのように共鳴するのか、大きな期待を込めて見守りたい。また、これまで『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』等の王子を務め、ノーブルな印象も強い武藤天華が今回はヒラリオンに配役されている。彼の新たな一面が見られることも楽しみである。(宮本)


◆大駱駝艦・天賦典式創立45周年『擬人』『超人』

2017年9月28〜10月1日、10月5〜8日(世田谷パブリックシアター)

◇大駱駝艦は毎年世田谷パブリックシアターと提携して大掛かりなスペクタクルを上演しているが、今年は創立45周年のメモリアルとして関連を持たせた2作の連続上演に挑む。舞踏とは人ではないものや人を超えた何者かになる踊りであり、『擬人』『超人』というタイトルは、舞踏の本質とも言える。半世紀近く舞踏を追求してきた麿が、このテーマにどう挑むのか、期待が高まる。(折田)




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July 31, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、720日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年8月公演】


◆バレエ協会《全国合同バレエの夕べ》

8月1、3日 新国立劇場オペラパレス

◇1979年に始まり、年に二回開催された年などもあって、今回で41回を数える。近年は主に8月開催で、すっかり夏の恒例になった。酒井はな、佐久間奈緒ほか、国内外で活躍するベテラン勢と、全国のフレッシュな若手による、楽しい舞台になるだろう。長くオーストラリアに拠点を置いていた佐藤真左美、元Noismメンバーの櫛田祥光、広島県で福山バレエアカデミーを主宰する中筋賢一らの振付作品にも注目したい。(隅田有)


◆スターダンサーズバレエ団《Summer Mixed Program》

8月5、6日 新国立劇場オペラパレス

◇バランシン振付の『ワルプルギスの夜』、フォーサイス振付の『N.N.N.N.』、 『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥに加えてデヴィッド・ピントレー振付の『Flowers of the Forest』の日本初演というプログラム。ピントレ作品は、吉田都、フェデリコ・ボネッリというロイヤル・バレエの新旧コンビが、そして『眠れる・・・』は、パリ・オペラ座現役の二人(オニール八菜とユーゴ・マルシャン)が踊る。これは見逃せない。(山野博大)


◆K-BALLET YOUTH 第3回公演『眠れる森の美女』

8月5、6日 オーチャードホール

◇オーディションで選抜された22歳以下の若手ダンサーで構成されるK-BALLET YOUTHが、古典の大作『眠れる森の美女』に挑む。オーロラ姫は佐伯美帆と八木りさのダブル・キャスト。いずれも将来が楽しみな有望株である。また、フロリムント王子の堀内將平・山本雅也、カラボスの宮尾俊太郎・杉野慧など、カンパニーのメンバーも出演し、作品に更なる深みを与える。約1年の歳月をかけてリハーサルを積み重ね、高みを目指すエネルギーに溢れる彼女たちが、本番でどのような輝きを放つのか、大きな期待を込めて見届けたい。(宮本珠希)


◆岸辺パレエスタジオ第30回記念発表会『ジゼル』

2017年8月13日/メルパルク・ホール東京

◇8月は、発表会が多く行われる。その中で 岸辺光代が主宰する岸辺バレエスタジオの発表会で上演される『ジゼル』全幕は見逃すわけには行かない一本。このスタジオ出身のオニール八菜が、フロロン・メラックを相手に主演するからだ。一流バレエ団並みの舞台になるにちがいない。他にキミホ・ハルバート振付の『A Midsummer Night's Dream』の再演もある。(山野)


◆《ルグリ・ガラ〜運命のバレエダンサー〜》

2017年8月19、20、22〜25日(フェスティバルホール、愛知県芸術劇場・大ホール、東京文化会館・大ホール)

◇ルグリのプロデュース公演は、ルグリの目を通してバレエ界のトレンドを学ぶ”必修科目”の感がある。A、B両プログラムで上演される『フェアウェル・ワルツ』(振付バナ)は、ショパンとジョルジュ・サンドの関係からインスピレーションを得たパ・ド・ドゥ。一昨年の世界フェスの素晴らしいステージが忘れられないが、本公演でもルグリとゲランが詩情たっぷりに見せてくれるだろう。ルグリ初の全幕プロダクションとして昨年初演された『海賊』から、2幕のアダジオと、オダリスク(Aプロのみ)が上演されるのも楽しみだ。(隅田)


◆吉田都x堀内元 《Ballet for the Future》

8月23、28、31日 NHK大阪ホール、新宿文化センター大ホール、札幌ニトリ文化ホール

◇日本バレエ界のレジェンドである吉田 都と堀内 元。今回の公演では、新国立劇場バレエ団プリンシパルの福岡雄大と米沢 唯も加わり、吉田&福岡の『ライモンダ』、堀内&米沢の『Passage』(振付:堀内元)と、この上なく豪華なペアによるプログラムが上演される。世代を超えたトップダンサーの共演による化学反応を堪能したい。また、巨匠バランシンの薫陶を受けた堀内直伝『タランテラ』も必見だ。こちらは佐々木夢奈、塩谷綾菜(ダブル・キャスト)、末原雅広が踊る。佐々木と塩谷は国内コンクールの覇者で伸び盛りの若手、末原はスクール・オブ・アメリカン・バレエ出身で、現在は関西を中心に活躍中の人気ダンサーだ。進境著しい彼らのヴィルトゥオジティは必見!(宮本)


◆勅使川原三郎『月に吠える』

2017年8月24〜27日(東京芸術劇場・プレイハウス)

◇萩原朔太郎の詩集『月に吠える』が刊行から100年を迎えた今年、この詩集に長い間インスパイアされてきたという勅使川原三郎が満を持して上演する。既存の枠組みから逸脱した芸術を追求している点で、勅使川原が萩原朔太郎をモチーフにするのは自然の成り行きと言えるかもしれない。自身のスタジオ「アパラタス」で6月に上演した『ペトルーシュカ』、7月の『イリュミナシオン』はいずれも凄まじい集中力と迫力で内面を描いた傑作だったが、両作品ともに今作『月に吠える』に繋がっていくと勅使川原はアフタートークで述べていた。また、両作品の間には、ニューヨークのリンカーンセンターフェスティバルで『Sleeping Water』を上演し、好評を博している。そんな勢いに乗る彼が今夏の集大成として送る作品を見逃すわけにはいかない。勅使川原、佐東利穂子、鰐川枝里のKARASのメンバーに加え、勅使川原のメソッドを学んだヨーロッパのダンサー、マリア・キアラ・メツァトリとパスカル・マーティも出演する。(吉田 香)


◆国立劇場8月舞踊公演《花形・名作舞踊鑑賞会》

2017年8月26日(国立劇場・小劇場) 

◇「花形」というと熟した技術ではなく、若さの華やぎを見るというイメージがあるが、今回の布陣は花形の中でもリーダークラスが顔を揃え、花も実もある舞台に期待が膨らむ。『大原女・国入奴』(藤間達也)は大きな女性の可愛らしさとキビキビとした奴とを演じ分ける。『文屋』(文屋・花柳寿太一郎)は、文屋が小野小町に言い寄ろうとするのを、無骨な官女たちに遮られるという展開。『高尾さんげ』(尾上紫)は、名高い遊女の美しさと哀れさ、そして地獄の責め苦を描く。西川扇与一(猿曳)、西川大樹(女大名)、西川扇重郎(奴橘平)らによる『靭猿』は人間と猿の情愛の物語。いずれの演目も、身も心も充実する時代を迎えた演者の表現が楽しみだ。(阿部さとみ)


◆小林紀子バレエ・シアター第112回公演《マクミラン没後25周年記念公演》

2017年8月26、27日(新国立劇場・オペラパレス)

◇小林紀子バレエ・シアターが、マクミラン没後25周年のメモリアルイヤーに2本の日本初演を含む珠玉のトリプル・ビルを披露する。2作の日本初演を許されたのも、これまでのバレエ団の上演実績が、作品の著作権を管理するマクミラン財団から認められたからだろう。『La Fin du Jour』は、ラヴェルのピアノ協奏曲に乗せて1930年代のイギリスの風俗を描いた作品。マクミランの特徴的なリフトの数々とイアン・スパーリングのモダンな美術・衣裳が楽しめる。マクミラン版『春の祭典』は、40名を超える群舞と「The Chosen Maiden(生贄、選ばれた乙女)」が繰り広げるプリミティブなスペクタクル。ぜひバレエ団の総力を挙げてこの大作に臨んでほしい。他にアシュトンの『バレエの情景』も上演される。(折田彩)


◆鍵田真由美・佐藤弘希フラメンコ舞踊団『愛の果てに オルフェオとエウリディーチェより』

2017年8月26、27日(世田谷パブリックシアター)

◇正統的なフラメンコから、独自の和風フラメンコ作品まで多様な活動を続ける同舞踊団が、今回はギリシア神話「オルフェオとエウリディーチェ」に挑戦する。グルックのオペラでも名高いこの作品を、佐藤浩希のオリジナル演出・振付・主演と、音楽監督を務める中島千絵の作詞・作曲で大胆に翻案するという。出演は鍵田真由美をはじめ、着実に力を増している同舞踊団のダンサーたち。音楽は通常のフラメンコの楽器編成に、和太鼓、箏、篠笛などが加わる。暑い夏をさらに熱く楽しめそうだ。(稲田奈緒美)




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June 29, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、620日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年7月公演】


◆《名墨の会》

2017年7月2日(セルリアンタワー能楽堂)

◇藤舎名生と尾上墨雪のコラボの会。藤舎名生は笛の名手として知られ、ルジマトフの『阿修羅』に使用されている楽曲『笛 四神』の作曲者であり演奏も担ってもいる(CD)。墨雪は素踊りという装飾を削いだ美学を追求している人。近年ますますの充実がうかがえ、今回の公演にも期待が高まる。演目は一舞一管『猩々』、笛『鶴』、一舞一管『鐘』の三題(*一管=笛のこと)。能舞台という空間に繰り広げられる笛と舞のシンプルな重なりが、滋味豊かな世界を織りなし、日本の引き算の醍醐味が広がるだろう。(阿部さとみ)


◆谷桃子バレエ団《コンテンポラリーダンス・トリプルビル》

2017年7月2日(かめありリリオホール)

◇ 歴史ある谷桃子バレエ団は、古典作品を上演する一方で創作バレエ、コンテンポラリーダンスにも取り組んできた。今回はコンテンポラリーダンスの振付家、島地保武、柳本雅寛、広崎うらんによる三作品を上演する。バレエ団のダンサーたちと初顔合わせだった彼らは、2年前くらいからワークショップを行い、オーディションには二日間をかけたそうだ。そこではコンテンポラリーダンスの技術、表現力だけでなく、スタジオの隅で順番を待っている姿や普段の様子など、ダンサー一人一人の個性、人柄、人となりなども重視してダンサーを選んだとか。コンテンポラリーダンスの魅力とダンサー一人一人の魅力が重なり、面白い化学反応が起こりそうだ。なお、5月30日に行われた本公演の公開リハーサルについて、山野博大氏によるレポートが6月5日に投稿されている。そちらもご覧いただきたい。(稲田奈緒美)


◆イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)『コッペリア』『海賊』

2017年7月8、9、14〜17日(東京文化会館大ホール)

◇英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを長らく務めたタマラ・ロホが、ENBの芸術監督に就任して初の来日公演。のみならず、カンパニーの来日自体も16年振りという。演目は、盒恭里奈が主演の一人に名を連ねる『コッペリア』と、ロホ肝いりの『海賊』。2012年の就任以来、彼女はどのようにカンパニーをまとめ上げてきたのだろう。ロホ姐さん率いるENBのステージは見逃せない。(隅田有)


◆井上バレエ団《バレエの潮流 ブルノンヴィルからプティパまで》

2017年7月15、16日(文京シビックホール・大ホール)

◇ロマンティック・バレエの振付家、オーギュスト・ブルノンヴィルの作品とテクニックの継承で知られる井上バレエ団が、ブルノンヴィル作品3作を一挙上演する。注目は『ラ・ヴェンタナ』第2景の日本初演。スペイン語で「窓」を意味する本作は2場仕立てで、第1景では、女性が鏡越しに自分の鏡像と踊るシーンと、窓の外で愛しい男性が弾くギターに合わせてカスタネットを手に踊るシーンという二つの趣向を凝らしたディベルティスマンが繰り広げられる。今回上演される第2景は、主役カップルのパ・ド・ドゥと友人達のパ・ド・トロワで、セギディリアとブルノンヴィル・テクニックの妙を味わえる。他に『ラ・シルフィード』第2幕と『ジェンツァーノの花祭り』のパ・ド・ドゥ、『眠れる森の美女』第3幕が上演される。(折田 彩)


◆千葉市・ヒューストン市姉妹都市提携45周年記念バレエ公演

◇2017年7月22、23日(千葉市美浜文化ホール・メインホール)

公演名は地味だが、出演者も作品も豪華である。千葉市出身の小㞍健太が芸術監督、同市出身で元ヒューストンバレエ団ソリストの楠崎なおが監督を務め、この二人の他、プリンシパルである吉山 シャール ルイ・アンドレやコナー・ウォルシュをはじめとするヒューストンバレエ団のダンサーが出演する。演目は古典に加えて、小㞍が振付けた二作品(うち一つは日本初演)、そしてヒューストンバレエ団の芸術監督で、世界中のバレエ団から振付を依頼されているスタントン・ウェルチによる二作品からの抜粋という盛りだくさんの内容だ。知る人ぞ知るこの夏の目玉の公演。千葉市民とヒューストン市民には割引あり!(吉田 香)


◆国立劇場第8回「伝統芸能の魅力」《親子で楽しむ日本舞踊》

2017年7月23日(国立劇場・小劇場)

今回は親子をターゲットとした取り組み。「ふれる」「みる」「知る」の三つのパートから成り、「ふれる」では小道具や衣裳など実際に舞台で使われるものに触れる機会を提供。「みる」の演目は『子守』と『玉兔』。前者は、田舎から出てきたあどけない少女の軽快な踊りが目にも耳にも楽しく、後者は「かちかち山」の物語を一人で演じるのが面白い作品。初心者にも馴染みやすいラインナップだ。さらに「知る」では、『子守』を得意とする花柳大日翠のポイントを抑えた解説が、親近感と興味とを引き出すことが期待できる楽しみな公演。約一時間で終わるのも魅力的。(阿部)


◆オペラ座&ロイヤル 夢の共演《バレエ・スプリーム》

2017年7月26、27、29、30日(文京シビックホール・大ホール)

◇パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤル・バレエ団のスターダンサーによるガラ公演が実現!今回は、<Aプロ><Bプロ>と2つのプログラムで、各「チーム」のペアがそれぞれのカンパニーを象徴するような演目を中心としたパ・ド・ドゥを披露する。そして、なんといっても一番の見どころは、合同チームによるディヴェルティスマンだ。Aプロでは、『ドン・キホーテ』Bプロでは『眠れる森の美女』が上演される。この上なく豪華で贅沢な時間を存分に味わいたい。(宮本珠希)


◆《清里フィールドバレエ》

2017年7月27日〜8月10日(清里高原 萌木の村 特設野外劇場)

◇夏と言えば清里フィールドバレエ!1990年に始まったこの日本唯一の野外バレエフェスティバルは、全国からファンが訪れるバレエ界の夏の風物詩となっている。夕暮れから星空へ移りゆく空と清里の森という最高の舞台装置を背にダンサー達が踊る姿は、ここでしか見ることができない。今年は『ジゼル』と『シンデレラ』を日替わりで上演し、8月9日、10日は《ニーナ・アナニアシヴィリ スペシャルガラ》が行われる。(折田)


◆ブライト・ステップ2017

2017年7月30日(新宿文化センター・大ホール)

◇ロシア国立バレエ・モスクワで活躍中の西島勇人、先日オランダ国立バレエ団のソリストに昇格した奥村 彩らを中心に、気鋭の日本人ダンサーが一同に会する『ブライト・ステップ2017』。2015年以降、今年が3度目の開催となる。今回も、先頃のモスクワ国際バレエコンクール シニア デュエット部門でそれぞれ金賞・銅賞に輝いたタタールスタン国立カザン歌劇場バレエ団の大川航矢・寺田 翠(本公演では第2ラウンドで踊った『タリスマン』を披露予定)、ハンブルグ・バレエ団の菅井円加、ロイヤル・フランダース・バレエ団の加藤三希央など、進境著しい踊り手たちが登場。個々の踊りはもちろん、同公演でしか見られないペアリングの妙も堪能したい。また、出演者による質疑応答を含めたワークショップや、クラウドファンディングなどの精力的な活動にも注目だ。若い力を集結させたエネルギッシュな舞台を期待する。(宮本珠希)


◆有馬龍子記念京都バレエ団《イヴェット・ショヴィレ追悼》《京都バレエ専門学校創立40周年記念》公演

2017年7月30日(ロームシアター京都メインホール)

◇昨年10月18日に99歳で亡くなったイヴェット・ショヴィレは、有馬龍子が創立した京都バレエ団と京都バレエ専門学校をたびたび訪れ、熱心に指導した。彼女のバレエは、日本においてフランスのバレエの正統を受け継ぐことを決意した京都バレエ団の核となり、今に引き継がれている。彼らのイヴェット・ショヴィレへの想いがこもった、1913年初演の『スイート・ド・ダンス』、1940年初演の『卒業舞踏会』、1949年初演の『グラン・パ・クラシック』、安達哲治の新作『四季〜夏から秋〜生命の煌めき』などの舞台をしみじみと楽しみたい。(山野博大)



May 31, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、520日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年6月公演】


◆世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演 勅使川原三郎『ABSOLUTE ZERO 絶対零度 2017』

2017年6月1〜4日(世田谷パブリックシアター)

◇創造型公共劇場のフロントランナーとして、伝統芸能、演劇、コンテンポラリー・ダンスの各分野で革新的な作品を生み出し続けてきた世田谷パブリックシアターが、今年開場20周年を迎える。この開場20周年記念公演として、19年前のオープニングシリーズで上演された勅使川原の作品が再演されることとなった。この20年間、日本と世界の舞台シーンで活躍し続けてきた劇場とダンサーが再びタッグを組み、伝説的な作品の再演に挑む。単なる再演ではなく新たな趣向を織り交ぜた改定上演となるとのこと。初演を見た方も見ていない方も、新たな20年の始まりに立ち合おう。(折田 彩)


◆歌舞伎座《六月大歌舞伎》昼の部より『澤瀉十種の内 浮世風呂』

2017年6月2〜26日(歌舞伎座)

◇市川猿之助家の得意とする芸「澤瀉十種」の一つ。風呂屋の男三助となめくじが織りなすユーモラスな踊りだ。三助は湯を沸かしたり、客の背中を流すなどのサービスをする職。本作では、そのキビキビと働く三助に惚れたのがなめくじで、女の姿になって現れて、クドキにかかるが、三助は気味悪がって塩をかけてしまう…。四代目市川猿之助は今回で二度目の三助。かつて三代目猿之助を相手になめくじを勤めたこともあり、それらの経験が活かされ、要所を押さえた舞踊が楽しめることだろう。なめくじの中村種之助は初役。若手の実力派の踊りも大いに期待がもてる。江戸の風呂屋の風俗とユーモアが洒落た一曲。なめくじが踊るという趣向は、古今東西珍しいのではないだろうか。(阿部さとみ)


◆ボリショイ・バレエ『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』

2017年6月2〜18日(東京文化会館・大ホール、広島文化学園HBGホール、びわ湖ホール・大ホール、仙台・イズミティ21大ホール、フェスティバルホール)

◇今年は、1957年のボリショイ・バレエ初来日からちょうど60年という節目にあたる。これぞロシアというクラシック、『ジゼル』と『白鳥の湖』(ともにユーリー・グリゴローヴィチ版)は言わずもがな、観ておきたいのはアレクセイ・ラトマンスキー版の『パリの炎』だ。超絶技巧のパ・ド・ドゥはガラ公演でおなじみだが、全幕を観られるのは貴重である。フランス革命へと進む民衆のエネルギーとそれとは対照的に富を貪る貴族の優雅さという時代背景をダイナミックに魅せるだけでなく、個々の登場人物に寄り添ったドラマをきちんと描くのがラトマンスキーならではで、ボリショイ・バレエのキャラクターにぴったりの作品だ。あのパ・ド・ドゥは全幕で観てこそ、感慨深い。観客全体を巻き込んで高揚感で満たすラトマンスキーの世界を味わいたい。アレクサンドロワ、ルンキナ、オシポア等々、次々と看板ダンサーが去って寂しさが拭えない布陣だが、昨年舞踊監督に就任したマハールベク・ワジーエフの新体制に期待したい。(吉田 香)


◆法村友井バレエ団創立80周年公演 第16回アルカイック定期公演『ジゼル』『グランドホテル』

2017年6月4日(尼崎市総合文化センターあましんアルカイックホール)

◇法村友井バレエ団が『ジゼル』を上演するのは5年ぶり。前回に引き続き、今回も法村珠里がジゼルを踊る。2015年の『アンナ・カレーニナ』で芸術祭優秀賞を受賞した法村珠里の演技に注目。また『グランドホテル』は、1979年にジャン・ブラバンの振付によりベルギーで初演されたもの。1932年封切りのグレタ・ガルボ、クラーク・ゲープル主演の映画『グランド・ホテル』が元になっている。法村友井パレエ団は、2004年の日本初演以来、3 回目の上演だ。 (山野博大)


◆バレエ鑑賞普及啓発公演〜ようこそ素晴らしきバレエの世界へ〜《バレエ・プリンセス〜バレエの世界のお姫様たち〜》

2017年6月4日、7月20日(本多の森ホール、新宿文化センター・大ホール)

◇『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』という3大プリンセス物語をひとつの作品として描いた同作は、昨年に引き続き今回が2度目の上演となる。伊藤範子の巧みな演出・振付や、新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢 唯、同団ソリストの池田理沙子、木村優里を始めとする豪華キャスト陣の共演は大きな見どころだ。バレエ鑑賞初心者からコアなファンまで楽しめる充実の舞台を期待したい。(宮本珠希)


◆《横浜バレエフェスティバル2017》

2017年6月9、10日(神奈川県民ホール・大ホール)

◇このフェスティバルは海外で活躍する日本人ダンサーをメインに据えたガラ公演だが、芸術監督の遠藤康行の卓抜したディレクションにより、他の数多あるガラ公演とは一線を画す内容となっている。今年の目玉は何と言っても、マッツ・エック振付『ジュリエットとロミオ』のバルコニーのパ・ド・ドゥだろう。この日本初演となる作品を、長年ネザーランド・ダンス・シアターで活躍し、エックの舞踊言語を熟知している湯浅永麻が披露する。他にもシディ・ラルビ・シェルカウイ、ジョゼ・マルティネズらの作品が上演される。横浜で世界の今を感じてほしい。(折田)


◆熊川哲也K-BALLET COMPANY Spring 2017『ジゼル』

2017年6月23〜25日(東京文化会館・大ホール)

◇この6 月は『ジゼル』が多い。ポリショイ ・バレエ、新国立劇場バレエ、法村友井パレエ団、そして熊川哲也K バレエカンパニーと続く。熊川哲也K バレエカンパニーは、2013 年 6 月以来の上演。今回は、ジゼルを荒井祐子と中村祥子が踊る。ベテラン荒井の出演は急きょ決まったもの。中村の『ジゼル』全幕はたぶん初めてだと思う。どちらも見たい。(山野)


◆新国立劇場『ジゼル』

2017年6月24日〜7月1日(新国立劇場・オペラパレス)

◇今月は『ジゼル』の当たり月。出演者によって大きく印象の異なる作品だけに、それぞれの公演でダンサーの魅力を見比べたい。演出に目を向けると、新国立劇場版は照明に特色がある。一幕はジゼルの心情と日暮れが重なり、ジゼルが狂気に転じた瞬間、照明もまた変化する。まるでジゼルの見ている世界を体験するような、不思議な照明マジックだ。劇場芸術ならではの面白みに溢れる舞台をご堪能あれ。(隅田有)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団『ラ・バヤデール』

2017年6月30日〜7月2日(東京文化会館・大ホール)

◇マカロワ版はテンポが良く、ラストの屋台崩しまでしっかりと描く。クラシック・バレエとしての見せ場に加え、三幕の結婚式がドラマチックで面白い。おもわくの異なる主要キャラクターたちが同時に踊る場面は、さながらオペラの多重唱のように盛り上がる。昨年夏に開催された《バレエの王子さま》で色気たっぷりのソロを踊った、ダニエル・カマルゴがソロル役にゲスト出演。ストーリーに絡む重要な役が多く、演技力の求められる作品ゆえに、東京バレエ団らしい息の合ったステージが見られるだろう。(隅田)


◆映画『ザ・ダンサー』

2017年6月3日より公開

◇アメリカから19世紀末に現れた3人の女性が、モダンダンスの礎となった。3名のうち、イサドラ・ダンカン(1877-1927)はバレエ作品や映画にもなって大きく名を遺し、ルース・セント・デニス(1879-1968)はデニショーン舞踊団として国内外で公演を行っており(1925年には来日公演)、おおよその様子はわかる。一方、ロイ・フラー(1862-1928)は衣装の布を大きく振り回して踊る写真や、フォリー・ベルジュールのポスター、衣装に投影する色彩照明を発明したことなど、断片的に知られるのみ。そのロイ・フラーの伝記を基に映画化したのが本作だ。映画としてのエンターテイメント性を高めるために、フィクションも多く加えられているが、彼女のダンスと人生を美しく、時に苛酷に描きながら、モダンダンスという新しい芸術を切り拓いていった女性の生きざまを描いている。ロイ(ミュージシャン・女優のソーコ)とイサドラ(美貌のリリー=ローズ・デップ)の確執も興味深い。監督・脚本のステファニー・ディ・ジューストが女性ならではの鋭く繊細、かつ大胆で残酷な描き方でロイとイサドラを蘇らせた。(稲田奈緒美)




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May 01, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、420日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年5月公演】


◆芸劇dance ローザス『ファーズ‐Fase』/ローザス&イクトゥス『時の渦-Vortex Temporum(ヴォルテックス・テンポラム)』

2017年5月2〜13日(東京芸術劇場プレイハウス、名古屋市芸術創造センター、愛知県芸術劇場大ホール)

◇ヨーロッパのコンテンポラリーダンス界の第一線を走り続けるローザスが来日し、二作品を上演する。一作はローザスが1983年に設立される前年に、主宰者のアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルによって発表された『ファーズ-Fase』。スティーヴ・ライヒのミニマル音楽を視覚化する構成とムーヴメントを淡々と反復しながら、徐々に微かな差異やうねりが積み重なり、理知的かつ陶酔的なダンスが出現する。ローザスの原点ともいうべき作品で、日本では15年ぶりの上演。ケースマイケル自身が踊る。もう一作は、フランスの作曲家ジェラール・グリゼーが1996年に発表した『時の渦-Vortex Temporum』にケースマイケルが振り付けた同名曲。舞台上で演奏する現代音楽のアンサンブル・イクトゥスのミュージシャン7名にダンサー7名が呼応し、音とダンスによって“時の渦”が現出する。(稲田奈緒美)


◆歌舞伎座《団菊祭五月大歌舞伎》より『弥生の花浅草祭』

2017年5月3〜27日(歌舞伎座)

◇今回の『弥生花浅草祭』は坂東亀寿改め坂東亀蔵の襲名披露の演目。尾上松緑と亀蔵、充実する年頃を迎える二人の競演に期待が高まる。同作は三段返しの舞踊で、「神功皇后と武内宿彌」「三社祭」「通人と野暮大尽」「石橋」と展開する。中でも「三社祭」は単独でも上演される人気曲。二人の漁師が踊って踊って踊り抜く、歌舞伎舞踊には珍しく一曲を通じて、躍動感がある楽しい作品だ。体力と技術とが要求されるこの曲を、息の合った二人がエネルギッシュに見せてくれることだろう。(阿部さとみ)


◆ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017《ラ・ダンス 舞曲の祭典》

2017年5月4〜6日(東京国際フォーラム)

◇ゴールデン・ウィーク恒例の、大人気音楽イベント。今年のテーマは"舞曲の祭典"。主要6会場には"ニジンスキー""パヴロワ""ダンカン""バランシン""ガデス""ヌレエフ"と、馴染み深い名前が付けられている。バレエファンに親しみのある作曲家で名を連ねるのはチャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ショパン、ラヴェルなど。アダンやミンクスがいないのは(悲しいけれど)諦めるとして、プロコフィエフやペルトもいないなぁ。演目は多様で、タンゴやパッサカリアなどなど、舞踊にまつわる様々なプログラムが上演される。なお既に売り切れているコンサートもあるのでご注意を。(隅田有)


◆シアターχレパートリー劇場《TRY TO THE IDTF》

2017年5月4,6,7日(東京・両国 シアターχ)

◇シアターχの自主プロデュースで1994年より隔年に開催している下町の小さな国際芸術祭(International Dance & Theater Festival: IDTF)。今回は開催年には当たらないが、これまでに発表してきた作品を再構築したり、過去に取り上げたテーマに改めて取り組んだりして、今迄のIDTFにTRYしようという試みで、11作品が上演される。ダンス、演劇とジャンルを問わず、きらりと光る作品を生み出してきた劇場の歴史を見られる三日間とも言えるだろう。(吉田 香)


◆静岡ストリートシアターフェス《ストレンジシード》

2017年5月5〜7日(静岡市・駿府城公園、静岡市街地)

◇《ストレンジシード》は、日本を代表する演劇祭のひとつである《ふじのくに⇄せかい演劇祭》のフリンジ企画としてスタートした野外芸術祭である。昨年もカンパニーデラシネラ、東京ELECTROCK STAIRSら豪華な顔ぶれだったが、今年も森山開次×ひびのこづえ×川瀬浩介、off-Nibroll、康本雅子+ミウラ1号等々、選りすぐりのラインナップを揃えてきた。しかも観覧はすべて無料。アルコールやジェラートを手に晴れた駿府城公園で観るパフォーマンス。控えめに言っても最高の休日だと思わない?(折田 彩)


◆新国立劇場バレエ団公演『眠れる森の美女』

2017年5月5〜13日(新国立劇場・オペラパレス)

◇バレエの役に「披く」という概念があるとすれば、クラシックバレエのスタイルの体得と、主役としての存在感が求められるという点で、オーロラ姫は間違いなくそのような役の一つだろう。本作は2014年に続く、ウエイン・イーグリング版。指揮はアレクセイ・バクラン。東京フィルハーモニー交響楽団の動物の鳴きまねは絶品で、本公演でも三幕で見事な「ニャオ」や「ガオー」が聞けるだろう。(隅田)


◆笠井叡『花粉革命』

2017年5月5〜7日(シアタートラム)

◇2002年のシアタートラムで笠井叡が『花粉革命』を踊った。前年に亡くなった中村歌右衛門へのオマージュだと語っていたように記憶しているが、「娘道成寺」の鬘と着物で昭和の名女形をからだに乗りうつらせ、しかし笠井流の自在な即興で踊り客席を圧倒した。その後、海外での上演機会も多かったそうだが、それを今回は息子の笠井瑞丈が踊る。近年、ダンサー、振付家として進境著しい瑞丈が父と、父の作品を乗り移らせ、そこから自身の世界を創りあげるのだ。舞踊家と作品がいかに変化(へんげ)するか、大いに期待したい。(稲田)


◆国立劇場5月舞踊公演《名作歌舞伎舞踊》

2017年5月27日(国立劇場・大劇場)

◇中堅実力派が顔を揃え、歌舞伎舞踊の名作を披露する。隈取をした化粧やキマリを誇張した見得など、いかにも歌舞伎!といった要素が詰まった『根元草摺引』(西川箕乃助と市川ぼたん)。続く『流星』と『雷船頭』は雷つながり。『流星』(若柳吉蔵)は流星が雷夫婦の喧嘩を物語り、夫、妻、子ども、婆の四役を演じ分けるのが眼目。続く『雷船頭』は雷つながり。雷が落ちて、船頭(市山松扇)と色模様などを繰り広げる。野暮な雷と粋な船頭の対比にユーモアが漂う。『積恋雪関扉』は天明時代の舞踊の大らかさのある名作。逢坂山の関守関兵衛は実は天下を狙う大悪人大伴黒主。関兵衛に恋をしかける傾城(位の高い遊女)は実は黒主に恨みを持つ桜の精という奇想天外な内容ながら、長年歌舞伎ファンに愛されてきた作品だ。国立劇場主催公演では七年ぶりの上演。それだけに日本舞踊家が手がけるのが難しい曲だが、花柳基の黒主、水木佑歌の墨染桜の精、花柳寿楽の良岑少将宗貞、藤間恵都子の小野小町姫と、花も実もある演者の競演により、見応え十分の舞台となることだろう。(阿部)



◆大駱駝艦壷中天公演『宮崎奴』

2017年5月27〜6月4日(壷中天)

◇今、大駱駝艦は女性舞踏手がアツイ。ベテランの我妻恵美子と鉾久奈緒美が続けて優れた作品を発表し、出演した女性陣は麿の作品で見せる以上に生き生きとした輝きを放っていた。これらの作品でもコケティッシュな魅力を見せた齋門由奈が、今回初の振鋳に挑む。先輩達の胸を借りて自分なりの世界を作ってくれると期待している。(折田)


◆ダンスワークス設立40周年記念 Dance Works Dance Collection 2017

2017年5月28日(杜のホールはしもと)

◇野坂公夫と坂本信子が主催するダンスワークスの設立40周年の記念公演では、1981年初演の『寝る』、1991年初演の彼らの代表作『闇のなかの祝祭』、2016年初演の『runway』の再演が行なわれる。彼らの創るダンスは、自ら《ソフトクラシカル》と名付けた軽快な群舞の展開であることが多い。2011年に上演した『Romances sans paroles 無言歌』は、その頂点に位置する一本だった。今回は、他に新作の『光の丘〜降りてきた星たち〜』が上演される。野坂・坂本の「今」を見届けようと思う。(山野博大)



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March 31, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、320日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年4月公演】


◆ダンス専科2017

2017年4月1日(セッションハウス)

◇セッションハウス主催のこの公演は、野和田恵里花、松本大樹、伊藤直子、JOU、平原慎太郎、坂東扇菊、笠井瑞丈、上村なおか、太田ゆかりら、気になる人たちの作品を見せてきたダンス・シリーズ。今回は、太田ゆかり、笠井瑞丈、平原慎太郎、坂東扇菊の4作品が並ぶ。彼らの最近の動向をまとめて見ておきたいという人向きの便利な公演だ。(山野博大)


◆歌舞伎座《四月大歌舞伎》夜の部より『三代猿之助四十八撰の内 奴道成寺』

2017年4月2〜26日(歌舞伎座)

◇『奴道成寺』は『京鹿子娘道成寺』のパロディで、男性の狂言師が主人公。『京鹿子娘道成寺』の歌詞をほとんどそのままに、彩り豊かに展開する。三代目猿之助が得意としたこの作品を、当代の猿之助が継承。見どころは、おかめ(遊女)大尽(客)、ひょっとこ(太鼓持)の三つの面を使い分けて、廓の恋模様を見せる場面で、猿之助の鮮やかな踊り分けに期待が高まる(阿部さとみ)


◆『SINGIN’IN THE RAIN 〜雨に唄えば〜』

2017年4月3〜30日(東急シアターオーブ)

◇アダム・クーパーとウェストエンドの実力派達が繰り広げる極上のエンターテインメント作品、『SINGIN’IN THE RAIN』が帰ってくる!原作の映画の世界観を丁寧に再現したジョナサン・チャーチの演出と、立体的かつスピード感溢れるアンドリュー・ライトの振付、そしてアダム・クーパーの軽やかなステップを堪能してほしい。きっと晴れやかな心で劇場を後にするはずだ。(折田 彩)


◆NHKバレエの響宴 2017 

2017年4月8日(NHKホール)

◇国内バレエ団が勢揃いし、それぞれの特色を存分に堪能できるラインアップが魅力の豪華な公演。2014年以降は毎年新作も上演されており、今回は、ドイツ・レーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督の森優貴による『死の島-Die Toteninsel(仮)』を貞松・浜田バレエ団が初演する。他にも、井上バレエ団による『ナポリ』、牧 阿佐美バレエ団の『眠れる森の美女』、新国立劇場バレエ団による『テーマとバリエーション』と、ロマンティック・バレエから現代作品に至るまでの歴史を紐解くかのような演目構成に期待もいっそう高まる。(宮本珠希)


◆イゴール&モレーノ『イディオット・シンクラシー』

◇4月19−20日(渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール)

イゴール&モレーノが『イディオット・シンクラシー』という公演を行うらしい。チラシ、ウェブから入手できる情報はごくわずかで、筆者も未見。でもなんだか気になる。スペイン、バスク出身の元俳優・歌手のイゴールと、北イタリア出身の元社交ダンサーのモレーノが、なにやら人を食った、でもいつの間にか楽しくなって飛び跳ねたくなるような、不思議な作品を披露してくれるようだ。ロンドンのコンテンポラリーダンス界は、このように世界中から集まったユニークな才能が出会い、新たな作品が生まれる場所。ここ数年で頭角を現した彼らの日本初公演を見てみたい(稲田奈緒美)


◆国立劇場舞踊・邦楽公演《明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会》

2017年4月22日(国立劇場・小劇場)

◇毎年恒例の「明日をになう」新進による公演の舞踊は『藤娘』と『保名』。ともに古くからあった舞踊を、昭和と大正に六代目尾上菊五郎が、時代の好みを取り入れ近代に蘇らせた。『藤娘』は藤蔭静寿が女性ならではの美しい身体のラインをもって娘の恋心を綴り、『保名』は昨年、日本舞踊協会新春舞踊大会で最優秀層を受賞した花柳寿美藏が、青年の恋の喪失を描く。フレッシュな二人があこがれの演目に挑み、絵のような舞踊を見せてくれることだろう(阿部)


◆フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』《北欧バレエ・ガラ》

2017年4月22〜25 日(Bunkamuraオーチャードホール)

◇フィンランド国立バレエ団が、世界中で話題のムーミンシリーズの最新作を携えて初来日を果たす。公演は二部構成で、第一部は『たのしいムーミン一家〜ムーミンと魔法使いの帽子〜』、第二部はバレエ団のレパートリーから厳選した《北欧バレエ・ガラ》が上演される。『たのしいムーミン一家』を振り付けた芸術監督のケネス・グレーヴはデンマーク人で、同国出身の童話作家、アンデルセンの『人魚姫』や『雪の女王』等、童話のバレエ化を多く手掛けている。彼の手によりムーミンの世界が生き生きと舞台上に表れることに期待したい。(折田)


◆勅使川原三郎/KARAS『トリスタンとイゾルデ』

2017年4月26〜30日(東京・両国シアターΧ)

◇昨年6月は荻窪のカラス・アパラタスから次々と上質な作品が生まれた。そのうち『白痴』は昨年12月にシアターχで再演され、今回は待望の『トリスタンとイゾルデ』である。初演の好評を表すように、イタリアでの上演も決定したという。あの小さなスペースから生まれたスケールの大きい愛の物語が、どのようにパワーアップして蘇るのだろうか。(吉田 香)


◆谷桃子バレエ団『師の命日に贈る〜過去・現在・未来

4月26日(洗足学園大学・前田ホール)

◇戦後の日本バレエ界を代表するバレリーナだった谷桃子が94歳で亡くなったのは、2015年4月26日のことだった。その命日に、弟子たちが彼女の《過去・現在・未来》を舞台の上に蘇らせようという公演だ。谷桃子が創った『ロマンティック組曲』が再現される。この作品は2014年の《谷桃子バレエ団・創作バレエ・8古典と創作》で、谷桃子自身の目によって確かめられ、再演されたもの。1970年代に創作された舞台を味わいつつ、大バレリーナ谷桃子の在りし日の姿を偲びたい。(山野)


◆東京バレエ団 子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(上野の森バレエホリディ)

4月29,30日(東京文化会館)

◇技あり笑いありの『ドン・キ』を子供向けにアレンジした、休憩込みの約90分の作品で、対象は4歳以上。27日から開催される『上野の森バレエホリディ』の一環で、こちらは裏方の仕事が体験できたり、初心者向けのバレエレッスンがあったりと、舞台の魅力が色々な角度から味わえる。GW序盤のお出かけにもってこいの、大人も子供も楽しめる一本だ。(隅田有)



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March 01, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、222日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年3月公演】


◆パリ・オペラ座バレエ団2017年日本公演『ラ・シルフィード』《グラン・ガラ》

2017年3月2〜5、9〜12日(東京文化会館・大ホール)

◇オレリー・デュポンが芸術監督就任から始めてのオペラ座来日公演。全幕作品はラコット版『ラ・シルフィード』が上演される。バレエ作品に妖精はたびたび登場するが、一度死んだ人間が蘇るジゼルのようなタイプとは異なり、シルフィードは生まれながらの(?)妖精だ。優しさと気難しさを兼ね備えた、人間とは全く異なる雰囲気を、オペラ座のダンサーたちはどのように表現するのだろうか。《グラン・ガラ》は前芸術監督ミルピエ振付の『ダフニスとクロエ』他2作品の上演が予定されている。(隅田有)


◆児玉北斗『TRAGEDY 1769』- OPEN SITE 2016-2017 Project A〈公募プログラム〉

2017年3月2〜5日(トーキョーワンダーサイト本郷) 

◇クラシックなバレエダンサーとしてスタートし、スウェーデン王立バレエ団のファーストソリストとして活躍する児玉北斗。現在は休団して、コンテンポラリーダンスの出演、振付、そして音楽まで手掛るなど活動の場を広げている。彼が“コレオグラフィック・パフォーマンス”と称して、大きな額縁舞台とは異なる小スペースでの公演を行う。テーマは「エコロジーとは一体何なのか。節約?それとも自然への愛?」と、ダンサーというより思想家風。一体何が起こるのか、目撃しなくては。(稲田奈緒美)


加藤みや子ダンススペース50周年記念公演『白い壁の家』

2017年3月9、10日(成城ホール) 

◇加藤みや子が1992年6月に上演した『白い壁の家』の再演が行なわれる。これはガルシア・ロルカの三大悲劇のひとつ「ベルナルダ・アルバの家」の舞踊化だ。そこに、加藤の最初の舞踊の先生だった森嘉子が登場する。森はモダンダンスの歴史に名前を残した名ソロダンサー彭城秀子の弟子だった人。加藤みや子はかつて藤井公・利子の舞踊団でトップを踊っていた。森・加藤の師弟饗宴に期待。(山野博大)


◆ 夏木マリ 印象派NEO vol.3『不思議な国の白雪姫』

2017年3月9〜12日

◇女優の夏木マリが主宰する、“コンセプチュアルアートシアター「印象派」”。これまで「赤ずきん」や「シンデレラ」をモチーフに11作品を創り、上演してきた。ところが今回は、「不思議の国の白雪姫」というタイトルで、シンプルな童話とは異なる、ユニークな視点で創作される。振付を任されたのは、イデビアン・クルーの井出茂太、国際的なコンテンポラリーダンサー小㞍健太、DAZZLEの長谷川達也、東京ゲゲゲイの牧宗孝。その名前を見ただけで、舞台を見たくなる面々だ。夏木マリのコンセプトと彼らの個性のぶつかり合いがどんな世界を生み出すか、興味津々だ。(稲田)


◆ ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡〜最後のクラシック・ガラ〜

2017年3月16日〜20日(東京文化会館大ホール)

◇世界中で愛され続けている大プリマ、ニーナ・アナニアシヴィリのクラシック・バレエ最後となるガラ公演。初来日から約30年、日本でも圧倒的な人気を誇り、多くの観客を魅了してきた。今回は、自身が芸術監督を務めるジョージア国立バレエ団を率いてふたつのプログラムを上演。またゲストとしてABTのマルセロ・ゴメスとボリショイ・バレエのアレクサンドル・ヴォルチコフが登場する。人々を惹き付けて止まない大輪の花のような華やかさとダイナミズムを、目に焼き付けたい。(宮本珠希)


◆ 中村恩恵×新国立劇場バレエ団『ベートーヴェン・ソナタ』

2017年3月18、19日(新国立劇場中劇場)

◇2011年に『Shakespeare THE SONNETS』で新国立劇場の舞台に首藤康行と共に登場し、大きなインパクトを与えた中村恩恵だが、こんどはその振付を新国立劇場バレエ団のダンサーたちが踊る。中村が出ない中村作品ははたしてどんなものになるのだろうか。その正解を確認したい。(山野)


◆ カンパニーデラシネラ 白い劇場シリーズ最終年 第3回公演『小品集』

2017年3月24〜31日(浅草九劇)

◇白い劇場シリーズは、小野寺と藤田以外の固定メンバーを持たずに活動を続けてきたカンパニーデラシネラが3年限定で立ち上げた育成型カンパニーである。一昨年発表した『分身』、昨年発表の『椿姫』は共に、大胆に再構成した古典のテキストと立体的なアンサンブル構成、スピード感溢れる密度の高いダンスが合致し、大きな成果を上げていた。3年目の最終年となる今年は、古典ではなくノゾエ征爾や山口茜の手によるオリジナルの短編戯曲に挑む。着実に力をつけてきた若いメンバー達の一層の飛躍に期待したい。(折田 彩)


◆2017都民芸術フェスティバル スターダンサーズ・バレエ団《バランシンからフォーサイスへ 近代・現代バレエ傑作集》

2017年3月25、26日(東京芸術劇場・プレイハウス)

◇都民芸術フェスティバルでは毎年各バレエ団が趣向を凝らした作品を上演するが、今年のスターダンサーズ・バレエ団はバランシンとフォーサイス作品のトリプル・ビルという上質な企画公演を披露する。観客は、バランシンとフォーサイスを続けて見ることで、バランシンがクラシック・バレエのテクニックを拡張し、フォーサイスが更にアップデートしたことを理解できる。ダンサーにとっても、バランシンとフォーサイスのメソッドを習得できるまたとない機会であり、このチャンスを最大限活かしてほしい。(折田)


◆国立劇場開場50周年記念 舞踊名作鑑賞会

2017年3月25、26日(国立劇場小劇場)

◇国立劇場開場五十周年の掉尾を飾る公演。重鎮による流派の伝承曲や得意とする作品などが素踊りや衣裳付で上演される多彩な企画。花柳寿南海『黒髪』、西川扇藏『猿舞』の人間国宝による抑制された動きの中の表現力。市山松翁、松扇の大らかな狂言味ある『子宝三番叟』。椀久の物狂いを一人で描く若柳宗樹の『椀久道行』。坂東勝友『お祭り』の江戸の香り。猿若清方、清三郎のほのぼのとしてちょっと切ない『峠の万歳』。藤間勘左の滋味ある『斧琴草』。市山七十世『うしろ面』は後頭部に狐の面をつけ、前で尼僧を、後ろで狐を演じる趣向の妙味。静御前と知盛を演じ分ける若柳寿延の『静と知盛』。花柳寿美の毅然とした『賤の苧環』。尾上墨雪、菊紫郎のドラマティカルな『綱館』。泉徳右衛門の端正な『菊慈童』、若柳吟、吟寿々師弟が男女の素踊りとして描く『柏の若葉』、五條珠實、藤蔭静枝の美しい恋の夢『二人椀久』。藤間藤太郎、勘太郎、勢之助の格調高い一中節『道成寺』と充実した内容が大いに期待できるラインナップだ。(阿部さとみ)


◆東京シティ・バレエ団《TOKYO CITY BALLET LIVE 2017》

2017年3月30、31日(ティアラこうとう)

◇クラシックから現代舞踊の小品、コンテンポラリーまで幅広いレパートリーが人気の《TOKYO CITY BALLET LIVE》。今年はトリプルビルで行なわれる。クラシックからはプティパ版を芸術監督の安達悦子が再振付した『パキータ』を上演する。コンテンポラリーからは2作品。『譜と風景』は、ベジャールやフォーサイス等のカンパニーでダンサーとして活躍し、現在はフリーの振付家として様々な分野のアートとコラボレートしているアレッシオ・シルヴェストリンによる邦楽にのせたデュオである。注目は、ウヴェ・ショルツによる『Octet』(日本初演)だ。同バレエ団にとって初めてのシュルツの作品であり2013年に日本初演を果たした『ベートーヴェン交響曲第7番』は、ダンサー泣かせの高速で激しい振り付けと徹底した音楽の視覚化で、観客に衝撃を与えた。あれから4年弱、同作の再演を経験し、鍛えられたダンサー達が、新たなショルツ作品にどう挑むのか、楽しみだ。観劇のついでに、劇場近くの猿江恩賜公園や横十間川でのお花見もオススメ。(吉田 香)




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