December 30, 2020

三島由紀夫没後50年 東京バレエ団『M』再演


今年は、三島由紀夫の没後50年にあたる。東京バレエ団が、彼の生涯を描いたモーリス・ベジャール振付『M』を再演した。この作品は1993年7月31日、東京文化会館で世界初演された。舞台の丈を低く抑えて、歌舞伎のような横に拡がる空間を設定し、そこに大勢の青い衣裳の女性ダンサーに仏像のようなポーズをとらせたオープニング。読経のような音が聞こえているが、ダンサーの列が一転して、海の波と化す。三島の「潮騒」を思わせる眺めだ。しかしこの場面は、ベジャールがギリシャの海を往く船上で『M』の発想を固めたためにできたとも言われている。そこへ学習院初等科の制服を着た子どもの頃の三島(大野麻州)が、祖母の夏子に手を引かれて登場し波とたわむれる。三島の人物像は、機Εぅ繊癖阻榁董法↓供Ε法糞楡鄂径隋法↓掘Ε汽鵝塀元康臣)、検Ε掘併燹γ嗚楙与拭砲箸い4人の男性ダンサーが踊る。祖母の夏子が和服を脱ぐと、検Ε掘併燹北鬚涼嗚椶現れる。こうして三島の生涯が絶えず「死」に関わるものであったことをベジャールは観客に伝える。

他に重要な登場人物は、聖セバスチャン(樋口祐輝)と和弓を持った射手(和田康佑)という男性2名。三島が書いた「禁色」「午後の曳航」「鹿鳴館」「鏡子の部屋」と思われる場面が続くが、そこに少年姿の三島、4人の男性ダンサー、聖セバスチャン、射手、海上の月(金子仁美)、女(上野水香)らが登場し、踊りの場面を彩った。

音楽を担当した黛敏郎が、ベジャールの自由な発想の飛躍を、能の囃子、ピアノの演奏(菊地洋子)、ドビュッシー、シュトラウス2世、サティ、ワーグナーなどを気軽に取り込んで助けていた。最後に軍服に身をつつんだ盾の会の面々が登場し、三島は切腹。また海の場面となって『M』は終わる。

ベジャールは2007年に他界しているので、初演に関わった小林十市、高岸直樹、吉岡美佳が指導にあたっての再演だった。周到に仕上げられた舞台から、ベジャールの三島理解、日本の古典芸能の知識の深さが改めて感じられた。ベジャールの傑作を正しく次の時代へつないだ斎藤友佳理芸術監督のバレエ界への貢献は高く評価されるべきだ。

『M』の再演は、10月24、25日に東京文化会館で、11月21日に神奈川県民ホールで行われた。私は10月25日を見て10年ぶりに再演の『M』の奥行きの深さに圧倒された。11月21日の神奈川県民の舞台を見て細部を確認してから、その印象を記した。

(山野博大 2020/11/21 神奈川県民ホール 大ホール)

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