March 18, 2020

石井みどり+折田克子 《I.O DANCE FLAME 2020》


かつて石井みどりは、娘の折田克子に「自分と同じように踊らなくてよい」と言っていたそうだ。そして折田は、弟子たちに「それぞれに自分の舞踊を目指すように」と教えた。この石井・折田親子の指導を受けた舞踊家たちが、シアターχの提携により、その周辺の者たちも巻き込んで2005年の第1回以来、公演を行ってきた。石井みどりが2008年に94歳で、折田克子が2018年に80歳で亡くなったが、その意志が受け継がれ、今年も公演が行われた。今回は3日間で24作品が上演された。それぞれに自分の舞踊を目指した舞台は、まさに色とりどり。観客はそのような自由な舞台づくりの中から生まれた多様な作品群から、自分の好きなものを選ぶことになる。

第1日では、白髭真二が笠井晴子としんみり踊った『あの日、あの時、この場所で』、森谷紀久子が、ハンチング帽を目深にかぶりもくもくと踊ったソロ『時間の海』、ハンダイズミが振付け、藤田恭子のサポート役にまわった『オルヒト×オドルヒト』、アベレイの声が白野利和を徹底的に追いまわした『隣の迷宮』が心に残った。

第2日では、手柴孝子が白野利和の地味目の振付をたんたんと踊った『畏怖の社』、堀和子が、滝本彩和子、高橋羽衣、千葉瑞紀をさらりと組み合わせた『bamboo』、藤原悦子が、木原清美と共にさっそうと踊った『rebirth』、松永茂子が伊藤ミカデザインの衣裳を着てていねいに舞台を作った『無垢なる空間』に注目。

第3日では、ジェフ・モーエンと奥山由紀枝のダンス・ユニット“毛円だんす”が速水御舟の絵をモチーフに創った民話風『Last Breath』、倉知可英が山中章子製作のヘッドレストを着用して単発的に動きを選んで創ったソロ『velvet moon』、仲野恵子がいつものように自分のままを押し通して踊りきった『今のすべては未来の希望に!2020』、稲葉厚子が武田晴子の衣裳で吉田栄子、桜井矢絵、杉本咲野、坂田明香、佐藤静夏、白戸歩美と踊ったはなやかな群舞『コンパスわたしは…』が印象に残った。
主催者が、出演の舞踊家をある一定の基準で選んでいないので、いろいろな傾向のもの、技術のうまいへたなどが場を共にする。「良い」「悪い」は観客の判断に任される。折田克子の考えを受け継いだ公演は、観客が試される場でもあった。全体の水準はさほど高いものではないが、未知の可能性を秘めた定例公演として、今後の継続が期待される。

(山野博大 2020/1/24〜26 シアターχ)



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