November 27, 2019

ルッシュワルツのダンス公演2019


内田香が主宰するルッシュワルツが『note』『crossroad』の2作品を上演した。『note』は、一脚の木製の椅子を置いた舞台。黒いドレスのダンサーが続々と登場して、いろいろな組み合わせで踊る。これまでの内田の作風そのままのはなやかでダイナミックな展開だ。椅子の数を増やし、踊りに変化をつける。さらに赤い表紙の本を持って踊るところも…。

休憩後の『crossroad』は、赤いドレスの上に黒いロングコートをはおり、コートを脱いだり、着たり。動きを加速して、いっそうあでやかさを増幅する空間を出現させる。ダンサーたちがひとしきり踊ったところで内田のソロとなる。圧倒的な存在感。全員で盛大に踊り、幕を降ろす。

内田は、金井芙三枝の作品を踊って才能を開花させ、大島早紀子主宰のH・アール・カオスや鹿島聖子主宰のザンゾランなどで、みごとなプロポーションとさっそうたる舞台さばきで注目を集めた。そして仲間を集めてルッシュワルツ(赤い髪のワルツという意味)を2003年に創立。以後、『なみだ』(2005年)、『ブルーにこんがらがって』(06年)、『ピクニック』(08年)、『Note』(09年)、『真実』(11年)、『冷めないうちに召し上がれ!』(13年)、『彼女のredな味』(14年)、『concentration〜記憶のカケラ〜』(16年)、『Concert 共存する身体・響き・景色』(17年)、『tide』(18年)と踊り続ける。

今回の公演で内田と共に2作品を踊った寺坂薫、佐藤宏美、西田知代、内田奈央子、小野寺紗恵、井上みな、大川采恵、有水梓、荒生由梨香、原裕子の10人は、長く舞台を共にする同志が大多数。彼女たちは、内田の創るはなやかな高揚感にどっぷりと浸り、そこで自分の個性を開花させる。ひとりひとりがソロ・ダンサーの意識で主体的に踊る。その壮大な集積が、内田の創る「群舞」なのだ。

(山野博大 2019/10/3 セシオン杉並)

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