November 10, 2019

第18回 牧阿佐美ジュニアバレエトゥループ:A.M.ステューデンツ公演


《A.M.ステューデンツ》は、オーディションで集めた生徒に牧阿佐美が直接バレエを教える場として続けられてきた。月に3回、1時間半のレッスンを行うだけなのだが、全体の技術水準は非常に高い。応募してくる者がいずれも各スタジオのトップ・クラスだから当然とも言えるのだが、それ以上の何かがあるのかもしれない。

オープニングの『フェアリー・ガール』は、バイヤーの音楽を使った舞台。ピエロを細野生と山本達史、フェアリー・ガールを25人の生徒たちが踊った。牧の振付はバレエのステップを無理なく使った落ち着いたもの。生徒たちは慣れない新しい動きに気を取られることなく、無心でバレエ本来の世界に没入することができる。

ビゼーの音楽を使った『シンフォニエッテプールデジューヌ』も同傾向の作品だった。第2楽章を踊った阿部純花、ラグワスレン・オトゴンニャム、小林英里佳、鰐淵ののから、第3楽章の鈴木千聖、中茎姫奈子、塙悠里花、山本翔子らが、ていねいにバレエの基本に取り組んだ。そして男性4人(小池京介、高橋博経、瀧川雄大、滝島幹太郎)がヘルステットの音楽で踊った『フォー・ボーイズ・ヴァリエーション』でも同様の状況を見ることができた。

『くるみ割り人形』抜粋は三谷恭三の改訂振付だったが、金平糖の精の高橋万由梨、王子の菊地研、クララの秦悠里愛、カバリエールのラグワスレン・オトゴンニャム、元吉優哉、近藤悠歩、山本達史、スパニッシュの岡田友里子、細野生、アラブの菅沼咲希、チャイナの大石綾香、金井萌乃、西川栞、トレパックの大熊美里、三瓶陽愛、中田麗音、人見紗来ら4名、棒キャンディーの小酒部羽藍、久我音寧、塙悠里花、ケーキボンボンの8名、花のワルツソリストの安達美苑、加勢凛々、小林英里佳、鰐淵ののか、そしてコール・ド・バレエの12名がA.M.ステューデンツの教育方針に従って舞台を作り上げた。フィナーレは『ゴットシャルクの組曲』だった。赤い衣裳の女性たちが牧の振付に身を任せ、その教えるバレエをからだ全体で吸収した。

2年に1回行われる《A.M.ステューデンツ公演》は、リハーサルの段階から本格的なオーケストラの演奏で行われる。そうして作られた舞台で、牧の教えが生徒ひとりひとりのからだにしっかりと定着し、経験として残るのだろう。

(山野博大 2019/9/16 メルパルクホール東京)



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