October 31, 2019

【ダンス・タイムズがお勧めする 2019年11月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ2019年11月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、10月20日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

◆日本バレエ協会《2019年度Balletクレアシオン》

2019年11月9日(メルパルク)

◇日本バレエ協会が若手振付家の発掘と育成のために毎年開催する本公演は、途中名称を変えながら、今年で通算58回目という。ここで若い振付家が創作に挑戦し、新たな可能性を開拓してきたことで、多くの振付家とダンサーが育っていった。今年は、若手から現在NBAバレエ団に所属する宝満直也に加え、もはや中堅、ベテランといえる遠藤康行と平山素子の三人が振付し、選りすぐりのダンサーたちが踊る。宝満作品は、セルゲイ・ラフマニノフの音楽を用いて、約30名のダンサーに振付けた「Four to Four」。遠藤作品はアルノルト・シェーンベルク作曲の「浄夜」から受けたインスピレーションを基に、人間の寛容さ、狂気、光と闇など、創造力を奥深く広げながら振付た「月下」。そして平山作品のタイトルは「サルコファガス」。ギリシャ語のsarx(肉体)+phagein(食べる)で、「肉体を食べるもの」という意味を持つ、彫刻や装飾を施されているエジプト石棺のことだそうだ。三者三様の意欲作が並ぶ公演になりそうだ。(稲田奈緒美)

◆Ballet Company West Japan《First Impression》

2019年11月10日(神戸文化ホール中ホール)

◇関西の雄、貞松・浜田バレエ団で長年トッププリマとして活躍した瀬島五月が昨年立ち上げた「Ballet Company West Japan」の旗揚げ公演は、『ショピニアーナ』『パキータ』そして自身とパートナーのアンドリュー・エルフィンストンが主演する山本康介振付『椿姫』の豪華トリプル・ビルだ。オーディションで選ばれたメンバーは、コンクール受賞歴も華やかで、いずれも今後の飛躍が楽しみなダンサーばかり。本公演の成功はもとより、これまで数々の大舞台で主演を務めてきた瀬島が、関西バレエ界の更なる発展・成熟を願い、満を持して発足したカンパニーの未来に、大なる期待を寄せたい。 (宮本珠希)

◆Tarinof dance company 『花の牙』

2019年11月20、21日(座・高円寺2)

◇振付・演出は、長谷川まいこ、坂田守。二人のしっかりした動きのやりとりは、見応え充分。(山野博大)

◆ミハイロフスキー劇場バレエ『パリの炎』『眠りの森の美女』

11月21、23、24日(東京文化会館)

◇4年ぶりの来日公演である。2011年にコンテンポラリー・ダンスの振付家ナチョ・ドュアトが芸術監督に就任した際には、大変驚いたものだ。しかし、ドュアトは、2014年にベルリン国立バレエ団の芸術監督として招かれ、わずか3年でミハイロフスキーを去っていた。その後、今年になってミハイロフスキーに復帰。精力的に新作を振付けているというのである。今回は、彼が同団に初めて振り付けた全幕バレエ『眠りの森の美女』を上演する(日本初演)。カラボスには、あのファルフ・ルジマトフがキャスティングされている。同時に上演されるのは、ソビエト時代に作られたパワフルなバレエ『パリの炎』。ドュアト体制の下で再出発したミハイロフスキーの現状を見ておきたい。(吉田 香)

◆大駱駝艦・天賊典式『のたれ●』

2019年11月21 - 24日(世田谷パブリックシアター)

◇昨年第一回種田山頭火賞を受賞した麿赤兒が、山頭火の漂泊と彷徨、逃走の人生とその作品からインスピレーションを受けた新作を発表する。タイトルは何とも意味深で、「のたれ」に「●」が打たれている。「のたれ死に」という言葉や山頭火の亡くなり方を連想するが、そこは麿のこと、単に彼の人生をなぞるのではなく、ひねりを加えた内容にしてくるだろう。小劇場界で活躍を見せる大津英輔の舞台美術も含めて楽しみだ。(折田 彩)

◆石井智子スペイン舞踊団公演『コハクノモリ』

2019年11月23、24日(東京芸術劇場シアターウエスト)

◇石井智子の大らかな演技が見どころ。こせこせした舞台づくりをしないところを買う。(山野)

◆Kバレエ・カンパニー『くるみ割り人形』

11月28日- 12月14日(Bunkamuraオーチャード、日本特殊陶業市民会館・フォレストホール、フェニーチェ堺、福岡サンパレス、とうほう・みんなの文化センター)

◇早いもので今年も『くるみ割り人形』の季節がやってきた。先陣を切るのはKバレエカンパニー。近年の改定版では、台本を掘り下げることによってファンタジーの要素が強められているものが多く、2005年に初演された熊川版はその代表だ。本作の少女クララは、くるみ割り人形だけでなく、人形王国のマリー姫も助ける、勇者のような役割を担っている。ヨランダ・ソナベンドの豪華な舞台美術・衣装も必見。(隅田有)

◆令和元年11月 国立劇場十一月舞踊公演「京舞」

11月29, 30日(国立劇場大劇場)

◇京都祇園の花街を地盤として息づいてきた京舞。その様々な様相を二十一年ぶりに東京で見ることができる貴重な機会。井上流五世家元・井上八千代を中心に総勢約六十人の祇園甲部の芸妓・舞妓が出演し、その魅力を存分に綴る。井上流は能や人形浄瑠璃の影響を受けた表現が特色の一つで、雅やかな趣とダイナミックさとを併せ持つ。芸妓・舞妓による上方唄『京の四季』、井上八千代、安寿子親子の義太夫・上方唄『三つ面椀久』などなど。両日とも大勢の芸妓が拍子木を打ち囃す、祇園ならではの手打ち「廓の賑」が掉尾を飾り、東京にいながら京舞の真髄を味わえる、見逃せない公演だ。(阿部さとみ)

◆中村恩恵×新国立劇場バレエ団「ベートーヴェン・ソナタ」

2019年11月30、12月1日(新国立劇場中ホール)

◇海外で活躍し、現在は日本でダンサー、振付家として活躍する中村恩恵。新国立劇場では、自ら創作し踊るコンテンポラリーダンス作品だけでなく、新国立劇場バレエ団とのコラボレーションも積み重ねてきた。ベートーヴェンの生き方にインスピレーションを受けて創作された本作は、そのような信頼関係を基に、振付家とダンサーが互いの豊かな創造力と高度な身体能力をぶつけ合うことで出来上がった作品。2017年に初演されて高い評価を得た作品が再演される。再演によって、動きの一つ一つがダンサーの内面と響き合いながら磨かれ、より繊細かつ大胆な表現が溢れる作品となるだろう。(稲田)

◆『Air/エアー』 

2019年11月30、12月1日(なみきホール)

◇以前は国際共同制作といえば、東京の創造型劇場と、西ヨーロッパ及びアメリカのカンパニー、劇場との間で行われるのが常であったが、今は様々な国のアーティストと日本全国の劇場やカンパニーとの間で積極的な共同制作が行われている。この『Air/エアー』は、フィンランドのエアリアルアーティストと日本のパフォーマー、ダンサーが東京、高松、福岡でアーティスト・イン・レジデンスを行い、福岡で公演を行うという意欲的かつグローカルな試みだ。ながめくらしつ作品でも活躍する目黒宏次郎、森山開次作品やNibrollで抜群の身体強度と際立った個性を見せる浅沼圭ら、コンテンポラリーダンス好きにも訴求力のある出演者が名を連ねた。小規模ながら、福岡まで訪れる価値のある唯一無二の公演だ。(折田)


outofnice at 20:50公演情報 
記事検索