December 30, 2018

東京バレエ団〈20世紀の傑作バレエ2〉

昨年バレエ団として初演したロビンス振付『イン・ザ・ナイト』とキリアンの『小さな死』、そして再演を重ねているノイマイヤー振付『スプリング・アンド・フォール』とベジャールの『ボレロ』の4作品というプログラムである。




『スプリング・アンド・フォール』に出演した秋元康臣は、背中から腕のラインが伸びやかで、振り子のように一つの動きが次の動きを呼ぶ振付の面白みを引き出した。沖香菜子は両手を握って振り上げる仕草など、動きに抑揚がある。二人とも踊りに素直さと若々しさがあり、ムーヴメントの収まり処をしっかりとおさえた、心に残るパフォーマンスだった。『イン・ザ・ナイト』には秋山瑛と宮川新大、金子仁美とブラウリオ・アルバレス、川島麻実子と柄本弾の3組のペアが出演。3組目のパ・ド・ドゥを踊った川島が素晴らしかった。恋人を思い通りに動かそうもがいた末に、お互いの大切さに気づき心を開くさまが、切なさとともに表現される。川島は近年、役の内面を表す力にぐっと磨きがかかっている。

キリアン振付の”La petite mort”は直訳すると『小さな死』だが、同時にオルガズムを意味する。昨年9月にバレエ団として初演し、今回が待望の再演。手を繋ぎ換えたり、体を捻ったりといった、動きの進行には直接関係ない振りが、艶かしさを醸し出す。それら一つ一つは細かい動作で、無駄をできる限り削ぎ落とすことで、踊りに余裕が生まれる。振付の意図を浮かび上がらせるのはなかなかに難しい作品だが、すっきりとした踊りの二瓶加奈子が、本作のエロティシズムにもっとも近づいているように思われた。ラストは東京バレエ団の十八番『ボレロ』。柄本弾が持ち前の存在感を発揮し、エネルギッシュにメロディを踊りあげた。

(2018年12月1日13:00 新国立劇場中ホール 隅田有)


outofnice at 13:04舞台評 
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