October 01, 2018

【ダンス・タイムズがお勧めする 2018年10月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、720日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2018年10月公演】


◆マシュー・ボーンの 『シンデレラ』

10月3〜14日(東急シアターオーブ)

◇男性が白鳥を踊る『Swan Lake』(1995)を振付けたマシュー・ボーンの最新作。ナチス・ドイツが1940年から41年にかけて行った、大空襲のさなかのロンドンが舞台だ。シンデレラが恋に落ちるのは王子様ではなくパイロットで、向かう先はお城の舞踏会ではなく、ウェストエンドに当時から実在するナイトクラブの”カフェ・ド・パリ”。スウィング・ジャズを楽しむ客で賑わうこの店も、爆撃で大きな被害を受けた。男女がペアで踊るスウィング・ダンスは、組んだ際の重心の移動を利用してアクロバティックな技を見せる。オフ・バランスを多用した20世紀半ば以降のバレエのパ・ド・ドゥに、多かれ少なかれ影響を与えているのではないかと筆者は睨んでいるのだが、そのスウィング全盛期が取り上げられている点に期待が高まる。プロコフィエフの曲がどのように使われているのかも興味津々。(隅田有)

[Contemporary Dance] Matthew Bourne’s “Cinderella” / Oct. 3 – 14. TokyuTheatre Orb. https://mbcinderella.com/english


◆Dance New Air 2018 ダンスの明日

10月3〜14日(スパイラルホール、草月ホール、シアター・イメージフォーラム他)

◇全国各地で毎月のように舞台芸術フェスティバルが開催されているが、ダンス、特にコンテンポラリーダンスに特化したフェスティバルは決して多くない。Dance New Airは、前身であるダンスビエンナーレトーキョー、ダンストリエンナーレトーキョー時代から15年以上にわたって、日本にコンテンポラリーダンスを根付かせるべく奮闘してきた。今回の目玉は何と言っても黒田育世の代表作『ラストパイ』の再演だろう。BATIKのメンバーだけでなく、振付師としても活躍する菅原小春、バレエの小出顕太郎、舞踏の奥山ばらばなど、バックグラウンドの異なる豪華なダンサーが顔を揃える。コンセプチュアルで美しい世界を作り出すラシッド・ウランタンの『TORDRE』、イヴォンヌ・レイナー、大野一雄、首くくり栲象らのダンスフィルムの上映も見逃せない。(折田 彩)

[Festival] Dance New Air 2018 / Oct.3-14 Spiral Hall, Sogetsu Hall, Theatre Image Forum etc.


◆KYOTO EXPERIMENT 2018

10月6〜28日(ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場春秋座他)

◇毎年エッジの効いたプログラムで世界のパフォーミング・アーツシーンの今を見せてくれるKYOTO EXPERIMENT。今年のプログラムのテーマを「女性アーティストおよび女性性をアイデンティティの核とするアーティスト/カンパニー」に設定したのは、昨年秋から日本の舞台芸術界を含め世界中で大きなムーブメントとなっているMe Too Movementとも無関係ではないだろう。現代の病理を様々な手法で鮮烈に描き出すジゼル・ヴィエンヌの最新作『CROWD』、先日のバレエ・ロレーヌ公演でも小品が披露されたセシリア・ベンゴレア&フランソワ・シェニョーの『DUB LOVE』に注目したい。(折田)

[Festival] KYOTO EXPERIMENT 2018 / Oct.6-28 ROHM Theatre Kyoto, Kyoto Art Center, Kyoto Art Theater Shunjuza etc.


◆文化庁芸術祭主催特別企画公演《舞踊・邦楽でよみがえる東京の明治》

10月6日(国立劇場小劇場)

◇日本芸術文化振興会「明治150年記念事業」の一環で、明治中期に様々な場所で親しまれた舞踊・邦楽に焦点をあてた企画である。「家庭の音楽」「街頭の風俗」「社交場の芸能」「解説」「劇場の新作物」という構成で行われ、このうち舞踊は「社交場の芸能」の清元『梅の春』、「劇場の新作物」の長唄『茨木』の二題。どちらも明治以降の文明開化に伴う、高尚趣味の影響を受けている。

『梅の春』は日本舞踊家が目指す究極の表現「素踊り」の演目として人気の高い曲。藤間藤糀が演じ、女性ならではの身体の線の美しさとみずみずしさとで描く情緒ある世界観に期待が寄せられる。

『茨木』は、渡辺綱に切り取られた腕を、綱の伯母に化けた鬼(茨木童子)が取り返すという劇的な舞踊の大曲。茨木童子に花柳寿楽、渡辺綱に花柳基、家臣宇源太に花柳寿太一郎、士卒に花柳源九郎、花柳寿美藏、太刀持に青山恵大。若手から中堅の実力者が顔を揃え、充実した舞台が展開することだろう。(阿部さとみ)

[Nichibu] Tokyo’s Meiji-era Cityscape Revived by Dance and Music  / Oct.6 National Theatre


◆志村バレエ第9回公演『シンデレラ』

10月7日(朝霞市民会館)

◇2011年の初演、2013年の再演を経て、今回が3度目の上演となる本作は、ローザンヌ国際バレエコンクールの解説者としてもお馴染みの山本康介による演出・振付が光る。音楽性豊かなシークエンスやテンポのよいストーリー展開など、見どころ満載だ。牧 阿佐美バレエ団、Kバレエ カンパニー、新国立劇場バレエ団からのゲスト陣も豪華。誰もが知っている名作ファンタジーの世界に酔いしれたい。(宮本珠希)

[Ballet]Shimura Ballet 9th Performance”Cinderella”/Oct.7 Asaka Civic Center


◆K-BALLET COMPANY 『ロミオとジュリエット』

10月12〜23日(東京文化会館、日本特殊陶業市民会館、大阪フェスティバルホール、広島文化学園HBGホール)

◇Kバレエ カンパニー創立20周年を迎える記念シーズンの幕開けは『ロミオとジュリエット』。熊川版は、他の演出では脇役であるロザラインにも明確なキャラクターを付与し、それぞれの登場人物の関係性やその心理を丹念かつ克明に描き出した秀作だ。今回は、4組のカップルが主演。そしてプリンシパルの浅川紫織にとっては、本公演がダンサーとして最後の舞台となる。引退を表明してから、『白鳥の湖』、『クレオパトラ』と至高の踊りを見せてくれているだけに、ラストにも期待が高まるばかりである。(宮本)

[Ballet]K-BALLET COMPANY“Romeo & Juliet”/Oct.12-23 Tokyo Bunka Kaikan,Nagoya Civic Center,Osaka Festival Hall,Hiroshima Bunka Gakuen HBG Hall


◆笠井瑞丈×上村なおか《2×3》

10月11、12日(東京・国分寺市立いずみホール)

◇“笠井瑞丈×上村なおか”をユニット名として、2002年から共に公演やワークショップを行っている笠井瑞丈と上村なおか。舞踏やオイリュトミーで培った身体に向き合う力や拮抗する存在感を軸に多彩なアーティストとのコラボレーションで舞台を作り上げてきた。今回は振付に近藤良平、川村美紀子、そして二人の師である笠井叡を迎えて3作品を上演する。タイトルは『イマハムカシ』(笠井)、『かませ犬』(近藤)、『事実上の夫婦喧嘩(仮)』(川村)。面白くない訳がない。(吉田 香)

[Contemporary Dance] Mitsutake Kasai×Naoka Uemura《2×3》/Oct.11-12. Kokubunji City Izumi Hall


◆ケイ・タケイ’s ムービングアースオリエントスフィア

10月23、24日(シアターχ)

◇ケイ・タケイが続けてきたLIGHTシリーズの、Part44『竹林』“根源的な群舞による”、Part46『白鳥湖・黒鳥湖』“動きと再現のためのエチュード”の2本が上演される。70歳になったケイがどう変わって、舞踊の世界に生き続けているかを、この目で確かめておこうと思う。(山野博大)

[Dance] KEI TAKEI’S Moving Earth Orient Sphere “Light”Part 44 and 46.  / Oct.23, 24. Theater X.


◆KAAT DANCE SERIES 2018『The Mist』

10月25〜28日(KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ)

◇一昔前の欧米志向に代わって、近年は多様な国々との芸術文化交流が盛んになっている。特にアジアの人々と文化との出会いは、私たちに新たな発見や共感をもたらし、未来へ向けた可能性を示唆する。「神奈川で、ベトナムに会いにいく」というキャッチフレーズで、今年2月にサーカス「アー・オー・ショー」を披露して人気を博したパフォーミング・アーツ・カンパニーのルーン・プロダクションが、今度はダンス作品「ザ・ミスト」を上演する。ベトナム人にとって生命の源である“米”がテーマだそうだが、米は日本人にとっても命の源。ベトナムの伝統楽器の演奏を背景に、朝霧が立ち込める田園で稲を育て、収穫する人々の生活が描かれる。私たちが忘れてしまいがちな、米を育む豊かな大地と湿潤な気候、そこで続けられる日々の営みの美しさを見に行こう。(稲田奈緒美)

[Contemporary Dance] Lune Production《The Mist》Oct.25-28, KAAT(Kanagawa Arts Theatre), Yokohama City, Kanagawa


◆法村友井バレエ団『エスメラルダ』

10月27日(フェスティバルホール)

◇法村友井バレエ団が九年ぶりに『エスメ…』全幕に取り組む。文豪ヴィクトル・ユーゴーが書いた「ノートルダム・ド・パリ」の世界を法村牧緒がペローの原振付、プティパ、ブルメイステルの改訂を尊重しつつ、独自の視点も加えて見せるバージョンだ。前回の2009年にもスメラルダを踊っている法村珠里が創り出す新たなエスメラルダ像に期待する。(山野)

[Ballet] Homura Tomoi Ballet Company “ESMERALDA –Notre-Dame de Paris-”  / Oct. 27. Festival Hall Oosaka.



outofnice at 09:05公演情報 
記事検索