May 07, 2018

東京バレエ団『セレナーデ』『真夏の夜の夢』

バランシンの『セレナーデ』を東京バレエ団が初演した。女性三人のソリストは川島麻実子、上野水香、中川美雪。川島はバランシンの「後乗り」の音取りの面白みを見事に表した。連続のピルエットは着地のタイミングをギリギリまで引き伸ばして余韻を作り、ジャンプは空中での重心の移動をしっかりと見せる。パとパの繋ぎの絶妙な”ゆらぎ”によって、”エレジー”が立ち上がった。感情を込めずスタイリッシュに仕上げる『セレナーデ』も一つの正解と言えるだろう。しかし、ムーヴメントを介して情感をたっぷりと表現した東京バレエ団の解釈は、本作の核心をついているのではないだろうか。バランシンの振付作品の中でも日本で上演される機会が多く、国内の複数のカンパニーがレパートリーに持っている。そんな中、東京バレエ団のバージョンとしての特色がしっかりと現れた、完成度の高い舞台だった。

アシュトン振付の『真夏の夜の夢』は2007年以来、11年ぶりの上演。オベロンにシュツットガルトバレエ団のフリーデマン・フォーゲルを迎え、タイターニアに沖香菜子、パックに宮川新大が出演した。フォーゲルは男性ダンサーとしては驚異的な背中の柔らかさを生かして、ミステリアスな魅力を存分に発揮した。沖はオベロンにつっかかる序盤の演技が可愛らしい。手を叩いて仲間を呼ぶ仕草には、女王としての威厳も感じられた。ロマンティック・チュチュからのぞく足元が美しく、有名なポーズは絵になるのだが、後半のパ・ド・ドゥでは、瞬間ごとに形をきめていくパが流れてしまい、アシュトンらしさが多少弱かった。

翌30日のファミリー公演も鑑賞した。本公演と同様オーケストラ付きの全編上演で、タイターニアに金子仁美、オベロンに秋元康臣、パックに池本祥真が出演。キャスト同士のバランスが良く、終盤ロバから人間に戻ったボトム(海田一成)が踊る場面では、会場から手拍子が湧いた。冒頭に簡単な登場人物の説明があり、バレエを初めて観る子供たちにも分かり易い。会場にはリラックスした雰囲気があり、泣き出す子供にも寛容で、和やかな楽しい舞台だった。

(隅田有 2018年4月29日 15:00、30日 12:00 東京文化会館大ホール)



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