December 01, 2017

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年12月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、1120日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年12月公演】


◆ベートーヴェン交響曲第5番『運命』全楽章を踊る

2017年12月1〜3日(森下スタジオ)

◇いまやコンテンポラリーダンス界を背負って立つ存在となった森下真樹によるソロ公演。テーマは、ベートーヴェンのあの『運命』だ。振り付けるのは、楽章ごとに、笠井叡、森山未來、そして、Perfumeや恋ダンス、五輪関連等々、幅広く振付と演出を手掛けるMIKIKO、写真家で探検家の石川直樹というなんとも面白い顔ぶれだ。森下の身体を通して、それぞれがどのような“運命”を描くのだろうか。(吉田 香)


◆岩渕貞太ソロ・ダンス2017『missing link』

2017年12月1日〜5日(こまばアゴラ劇場)

◇2000年代初頭、コンテンポラリーダンサーとして踊り始めて間もない岩渕貞太は、ニブロールや山田うんらの作品に登場して軽やかなイメージを残した。ところがその後、故室伏鴻のカンパニーメンバーとして活動を始めると、一転して深く硬質な身体で佇み、あるいは怪しげな刃物のように踊る身体へと変わっていく。近年では振り付けることも通して、ダンスと身体に向き合う姿が独特の吸引力を発している。その彼が生物進化の失われた環である「missing link」という、ある不在をソロとして現前させる作品に挑む。今の彼がどのような姿で立ち現れるのか、しっかり見届けたい(稲田奈緒美)


◆井上バレエ団12月公演ピーター・ファーマー美術による『くるみ割り人形』

2017年12月9、10日(文京シビックホール・大ホール)

◇12月は各地で『くるみ割り人形』が上演され、様々な演出がファンを楽しませる。井上バレエ団は子供のクララが全幕を通して出演し、王子様は一幕で雪の精、二幕で金平糖の精をパートナーにパ・ド・ドゥを披露する。源小織と宮嵜万央里がダブルキャストで金平糖の精を踊り、浅田良和と江本拓が、昨年に引き続き王子役でゲスト出演。さらにねずみの王様の大倉現生も見逃せない。着ぐるみ姿は一見コミカルだが、年々役に深みが増して、格好よさはもはや他の追従を許さない。大倉のねずみの王様は、クララを脅かすというよりも、ダークサイドに誘うのが特色だ。真っ白の衣装のくるみ割り人形と舞台中央に並び立つと、善と悪の対決が強調されて盛り上がる。こっそりねずみ軍を応援してしまうのは筆者だけではないはず?!(隅田有)


◆伝統と創造シリーズvol.9『老松』

2017年12月10〜12日(セルリアンタワー能楽堂)

◇セルリアンタワー能楽堂主宰の《伝統と創造シリーズ》の9回目に、コンテンポラリー・ダンスの黒田育世が登場して、常連の酒井はな、津村禮次郎と共に世阿弥の夢幻能『老松』に挑戦する。バレリーナの酒井も度を履き能舞台で舞うそうだ。どんなことになるのか、見ておきたい。(山野博大)


◆映画『新世紀、パリ・オペラ座』

2017年12月9日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

パリ・オペラ座のドキュメンタリー映画はこれまでにも製作され、舞台裏のバレエダンサーの姿などを垣間見せてくれた。しかしこの映画では、舞台裏のダンサーやオペラ歌手よりむしろ、オペラ座という組織が巨大な生き物のように描かれている。日頃のレッスン風景や作品リハーサルだけでなく、就任間もない総裁ステファン・リスナーら運営側から舞台の技術スタッフ、掃除係までが悩みながら、衝突しながら、それでも幕を開けて観客からの喝采を得るために一丸となって進んでいく様子は、ときに滑稽であり、スリリングだ。バレエファンにとってのクライマックスは、バレエ団芸術監督がバンジャマン・ミルピエからオレリー・デュポンへと変わるところだろうか。映画監督ジャン=ステファヌ・ブロンが2015年から約1年半をかけて撮影した、パリ・オペラ座という素敵な生き物を堪能してほしい(稲田奈緒美)


◆新国立劇場開場20周年記念 新国立劇場バレエ団『シンデレラ』

2017年12月16〜24日(新国立劇場・オペラパレス)

◇新国立劇場の十八番と言ってもよいだろう。開場2年目の1999年から本作を上演し、2006年からは偶数年の年末の定番のレパートリーだった。しかし今年は奇数年恒例の『くるみ割り人形』を10から11月にかけて一足早く上演。二年連続で『シンデレラ』が観られるのは嬉しい。運命を見方につけて自分で幸せを掴みに行くアシュトン版のシンデレラは、バレエの主人公の中でも独特な存在だ。舞踏会の出席を助ける仙女とシンデレラの関係が興味深く、登場のシーンで二人は鏡合わせのように踊る。プロコフィエフの物語性の高い音楽と見事にマッチし、様々な深読みができる演出が、観れば観るほど面白い。今年は5人のシンデレラと王子様が登場。どのキャストで観るかも悩むところ。(隅田)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団・ベジャールの『くるみ割り人形』」

2017年12月16、17日(東京文化会館・大ホール)

◇ベジャール版『くるみ割り人形』の主人公ピムは、少年時代のベジャールの分身だ。7歳のピム(16日・岡崎準也、17日・高橋慈生)が、母親にクリスマス・プレゼントを貰うところからバレエは始まる。そのヴィーナスの像が舞台の上で巨大化し、ピムはそれによじ登って唇にキスをする。像が半回転して、その背中の聖母像の中から彼の母親(16日・渡辺理恵、17日・崔美実)が現れる。1999年の取りのでの初演時にはなかった、日本版特別のマジック・キューピーのキャラクターを今回も飯田宗孝が楽しげに演じて、舞台の空気を和ませることだろう。ベジャール没後10年目に観る『くるみ割り人形』はこれだ。(山野)


◆熊川哲也Kバレエカンパニー『くるみ割り人形』赤坂Sacasバージョン10周年記念 

2017年12月21〜24、26日(赤坂ACTシアター、とうほう・みんなの文化センター)

◇熊川哲也がてがけた『くるみ割り人形』は、E.T.Aホフマンによる原作のエッセンスを散りばめ、ドラマティックに昇華させた決定版。人形の国とネズミの対立、クララのめくるめく旅路とそこに見られる内面的な成長など、重層的な構成が大きな魅力である。また、他の版に比べ、ドロッセルマイヤーの踊りの見せ場が多いのも特徴だ。ヨランダ・ソナベントによる息を呑むほどの美しい舞台美術・衣裳も必見!今回をもって赤坂Sacasでの上演は最後となるが、丹念に紡がれたファンタジーの世界を臨場感溢れる空間で堪能したい。(宮本珠希)


◆泉樹会・華継会 藤間清継リサイタル《大和の風景》

2017年12月24日日(国立劇場・小劇場)

「大和の風景」と冠した三本立てのうち、清継は清元『大和風月』、長唄『二人静』を上演。とりわけフラメンコと日本舞踊のコラボレーションの『二人静』に期待が寄せられる(振付・佐藤浩希、藤間清継)。『道成寺』など和物を題材にした作でも高い評価を得ている鍵田真由美。日本舞踊の世界では若手の範疇に入るが、確かな技術力を持ち、新派風の女形を得意とする清継。静御前の世界を昭和初期に移し、静御前の霊(鍵田)と年季明けの遊女(清継)が出会う。二人の女の交錯と舞踊の融合が楽しみなクリスマス・イブである。(阿部さとみ)


◆創立150周年記念ウクライナ国立歌劇場来日公演フェスティバル キエフ・バレエ公演/

《オール・オブ・クラシックプレミアムコンサート〜オペラ&オーケストラ&バレエ》

2017年12月24、26、27、28、1月3〜8日(東京国際フォーラム・ホールA、東京文化会館・大ホール、アクトシティ浜松・大ホール、千葉県文化会館・大ホール、Bunkamuraオーチャードホール)

◇年末年始にかけて、ウクライナ国立歌劇場がバレエ団、指揮者、歌手、オーケストラ、合唱団すべてを引き連れた豪華な引っ越し公演を行う。オペラ、バレエ、オーケストラそれぞれの公演が催されるが、一番の注目は全部門が一堂に会する12月27日のガラ公演だろう。オーケストラとオペラ・アリアの名曲集、そしてアロンソ版『カルメン』が披露される。アロンソ版をオーケストラ演奏で見られる滅多に無いチャンスであり、かつフィリピエワがカルメンを演じるという豪華さだ。キエフ・バレエ公演では、12月26日の《150周年バレエ・ガラ》に注目したい。バレエ団のソ連時代の代表作である『森の詩』(第3幕のみ)が40年ぶりに日本で上演される。バレエ団の過去と現在を感じられる貴重な一夜になるだろう。(折田彩)



outofnice at 10:43公演情報 
記事検索