October 01, 2017

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年10月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、920日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年10月公演】


◆芸術祭十月大歌舞伎夜の部より『秋の色種』

2017年10月1〜25日(歌舞伎座)

◇今の季節に相応しいこの演目はその名の通り秋の草花を詠み込み込んだもの。解釈の幅も多様で、一人立、二人立…と、日本舞踊の各流派で様々な振付、演出がなされている。日本舞踊の公演ではしばしば上演されてきたが、歌舞伎興行では珍しく、今回は歌舞伎座での初上演。昨年初めて同曲を手がけた坂東玉三郎。今回は中村梅枝、中村児太郎と共に三人立の趣向で踊り、秋の風情に、松虫の声…、そこに重ねられる女の恋心…と、その独特の美学が織りなす舞台に期待が高まる。(阿部さとみ)


◆篠原聖一バレエ・リサイタル《DANCE for Life 2017》『ロミオとジュリエット』全2幕

2017年10月1日(メルパルクホール・東京)

◇2001年から始まるシリーズの第10回目。篠原聖一が振付家としてキーポイントとなったという作品を3作上演する。『グラズノフ・パ・ド・ドゥ』は下村由理恵と森田健太郎のために振り付けられた作品で、奥田花純、浅田良和が初役で挑む。『Out』は今回男性3人を加えて上演。豪華キャストに目がくらむ『ロミオとジュリエット』全幕と合わせて一挙上演に期待が膨らむ。(隅田有)


◆Kバレエカンパニー『クレオパトラ』

2017年10月6〜9、12、14、20〜22、28〜29日(Bunkamuraオーチャードホール、愛知県芸術劇場・大ホール、フェスティバルホール、東京文化会館・大ホール)

◇前作『カルメン』から3年の時を経て、熊川哲也の手がける大作がまたひとつ誕生する。『クレオパトラ』は、同氏の完全オリジナル作品であり、史実を基に古代エジプト絶世の美女を巡るドラマが展開される。世界初演のタイトル・ロールは中村祥子と浅川紫織。伝説的な美の化身をどのように演じ、我々を魅了してくれるのか期待は高まるばかりである。また、公演プロモーションのビジュアルも鮮烈であり、映像で流れている印象的なカール・ニールセンの音楽も堪能したい。さらには、前田文子デザインの絢爛たる衣裳、ダニエル・オストリングによる洗練された舞台美術も大きな見どころだ。これまで数々のクラシック作品を、独自の解釈や美意識でドラマティックかつ壮麗に昇華させてきた熊川の新境地に立ち会いたい。(宮本珠希)


◆牧阿佐美バレエ団『眠れる森の美女』

2017年10月7、8日(文京シビックホール)

◇牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』はテリー・ウェストモーランドの振付。きりっと引き締まった展開は、長大なバレエを飽きさせずに見せてくれる。1982年の初演で川口ゆり子、ゆうきみほ、清水洋子、矢都木みつる、森下洋子という5人が競演して以来、多くのオーロラ姫を生み出してきた。今回はヌーツァ・チェクラシヴィリと中川郁のダブルキャストだ。どちらを見ようか。(山野博大)


◆TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2016 受賞者公演 平原慎太郎 OrganWorks『聖獣〜live with a Sun〜』吉田

2017年10月12〜15日(シアタートラム)

◇2016年にトヨタ コレオグラフィ―アワードで「次代を担う振付家賞」と「オーディエンス賞」を同時受賞した平原慎太郎。他に大差をつけて受賞した圧倒的なパフォーマンスが記憶に新しい。その副賞として与えられたのが、今作の創作と公演に対する助成である。聖書の“聖獣=リヴァイアサン”や日本文学における“虫”から着想を得たという。Noismやコンドルズでダンサーや振付家として活躍する一方、国内外のアーティストと多数共演し、飛ぶ鳥を落とす勢いの平原が、自身のカンパニーOrganWorksを率いてどう報いるのか、楽しみだ。(吉田 香)


◆法村友井バレエ団創立80周年公演『赤き死の舞踏』『騎兵隊の休息』『未来へ』

2017年10月15日(フェスティバルホール)

◇バレエ団創立80周年を記念して、法村・友井バレエ団が異なる趣向の三作品を上演する。メインは、エドガー・アラン・ポー原作『赤き死の仮面』をバレエ化した「赤き死の舞踏」。1956年に創作初演されたが、長らく上演されていなかった作品だ。戸田邦雄が作曲した楽譜が見つかったことから、振付を新たに篠原聖一に依頼して、まったく新しい作品として蘇る。赤死病(ポーの創作)が蔓延する領地を見捨てて城内に閉じこもるプロスペロ公を法村圭緒、赤死病の精を法村珠里が踊る。ポーの怪奇小説のバレエ化という珍しい試みに興味が募る。ほかは、同団が得意とするロシアバレエ「騎兵隊の休息」(原振付マリウス・プティパ)、創立80周年を祝い法村圭緒が振り付ける「未来へ」(音楽はスメタナの「モルダウ」)。80年の過去と未来をつなぐ、挑戦的かつ新鮮な公演が楽しみだ。(稲田奈緒美)


◆芸劇dance イデビアン・クルー『肩書ジャンクション』

2017年10月20〜22日(東京芸術劇場・シアターイースト)

◇毎年秋に先鋭的なコンテンポラリー・ダンス作品を上演している「芸劇dance」企画に、今年は初めてイデビアン・クルーが登場する。毎回無駄に豪華な装置と小芝居や小ネタ満載の動きで我々を驚かせるイデビアンだが、今回は「最小限の美術と研ぎすまされた人の動きに満ちた作品」を目指すらしい。え?イデビアンが?今までとは違う新たなイデビアンを発見できるかもしれない。(折田 彩)



◆現代舞踊協会《2017時代を創る現代舞踊公演》

2017年10月28、29日(渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール)

◇この公演は、日本の現代舞踊の今を背負って立つ舞踊家たちの競演の場だ。彼らが、石井漠、高田せい子、江口隆哉らが培ってきた財産を、今の時代にどのようになじませているかを確かめてみよう。その他に「名作の再演」として芙二三枝子が1973年に日生劇場で初演した壮大な群舞『巨木』の再現上演もある。(山野)


◆バットシェバ舞踊団/オハッド・ナハリン『Last Work−ラスト・ワーク』

2017年10月28、29、31日、11月3、5日(彩の国さいたま芸術劇場・大ホール、北九州芸術劇場・中劇場、愛知県芸術劇場・大ホール、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・中ホール)

◇10月は文句なくバットシェバ舞踊団の月であろう。2年ぶりの来日公演を行うだけでなく、主宰のオハッド・ナハリンが考案したオリジナルのダンス・メソッド「GAGA」を体験できるワークショップ、ナハリンのドキュメンタリー映画『ミスター・ガガ 心と身体を解き放つダンス』の日本公開も時を同じくして行われる。目と体でバットシェバを感じることができる贅沢な機会である。肝心の『Last Work』は、短いトレーラーを見ただけでも作品の強度に驚嘆させられた。どうかこの傑作を見逃さないでほしい。(折田)


◆新国立劇場『くるみ割り人形』

2017年10月29日〜11月15日(新国立劇場オペラパレス)

◇新国立劇場の『くるみ割り人形』としては3つ目のプロダクション。1997年から10年間はほぼ隔年でマリインスキー劇場の装置と衣装を使ったワイノーネン版を、そして2009年からは牧阿佐美版を上演してきた。そして今年、ウエイン・イーグリング版が新制作される。『くるみ割り人形』は古典でありながら、振付・演出ともプロダクションによってさまざま。オランダ国立バレエやイングリッシュ・ナショナル・バレエで既に本作を手がけてきたイーグリングの、新国立劇場版に期待したい。(隅田)





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