July 15, 2017

イングリッシュ・ナショナル・バレエ『コッペリア』

高橋絵里奈とヨナ・アコスタが主演。ハインド版は鐘の建設のくだりは省かれ、すでにスワニルダとフランツの結婚式が予定されている。高橋はお転婆な娘らしさと、花嫁になる高揚感とを備えた、親しみの感じられるスワニルダだった。一幕は恋人に、二幕は不法侵入先の主人に対してツンケンしているという、不機嫌の"さじ加減"が難しい役だが、二幕で引き上げる際にコッペリウスに対する同情を示すなど、根の善良さが感じられた。アコスタのフランツは、舞台に立っているだけで明るさがある。恋人の家のドアをノックし、ふと見上げたバルコニーにいるコッペリアを"二度見"して、その美しさに驚く演技が、コミカルだった。回転やジャンプは力任せで崩れることもあったが、一幕ラストは、高橋と共に群舞の核となって、舞台を大いに盛り上げた。暖色を中心とした賑やか衣装と、火花や煙が出る凝った演出も楽しい。スワニルダとフランツを許して、二人の結婚を祝福したコッペリウスが、賑やかに踊る村人の輪に加わるラストが感動的だった。金原里奈がスワニルダの友人と、曙のヴァリエーションに出演。一つ一つのポーズをしっかりと見せながら、伸びやかさもある踊りだった。(隅田有 2017/07/09 14:00 東京文化会館大ホール)

outofnice at 16:01短評 
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