May 31, 2017

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年6月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、520日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年6月公演】


◆世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演 勅使川原三郎『ABSOLUTE ZERO 絶対零度 2017』

2017年6月1〜4日(世田谷パブリックシアター)

◇創造型公共劇場のフロントランナーとして、伝統芸能、演劇、コンテンポラリー・ダンスの各分野で革新的な作品を生み出し続けてきた世田谷パブリックシアターが、今年開場20周年を迎える。この開場20周年記念公演として、19年前のオープニングシリーズで上演された勅使川原の作品が再演されることとなった。この20年間、日本と世界の舞台シーンで活躍し続けてきた劇場とダンサーが再びタッグを組み、伝説的な作品の再演に挑む。単なる再演ではなく新たな趣向を織り交ぜた改定上演となるとのこと。初演を見た方も見ていない方も、新たな20年の始まりに立ち合おう。(折田 彩)


◆歌舞伎座《六月大歌舞伎》昼の部より『澤瀉十種の内 浮世風呂』

2017年6月2〜26日(歌舞伎座)

◇市川猿之助家の得意とする芸「澤瀉十種」の一つ。風呂屋の男三助となめくじが織りなすユーモラスな踊りだ。三助は湯を沸かしたり、客の背中を流すなどのサービスをする職。本作では、そのキビキビと働く三助に惚れたのがなめくじで、女の姿になって現れて、クドキにかかるが、三助は気味悪がって塩をかけてしまう…。四代目市川猿之助は今回で二度目の三助。かつて三代目猿之助を相手になめくじを勤めたこともあり、それらの経験が活かされ、要所を押さえた舞踊が楽しめることだろう。なめくじの中村種之助は初役。若手の実力派の踊りも大いに期待がもてる。江戸の風呂屋の風俗とユーモアが洒落た一曲。なめくじが踊るという趣向は、古今東西珍しいのではないだろうか。(阿部さとみ)


◆ボリショイ・バレエ『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』

2017年6月2〜18日(東京文化会館・大ホール、広島文化学園HBGホール、びわ湖ホール・大ホール、仙台・イズミティ21大ホール、フェスティバルホール)

◇今年は、1957年のボリショイ・バレエ初来日からちょうど60年という節目にあたる。これぞロシアというクラシック、『ジゼル』と『白鳥の湖』(ともにユーリー・グリゴローヴィチ版)は言わずもがな、観ておきたいのはアレクセイ・ラトマンスキー版の『パリの炎』だ。超絶技巧のパ・ド・ドゥはガラ公演でおなじみだが、全幕を観られるのは貴重である。フランス革命へと進む民衆のエネルギーとそれとは対照的に富を貪る貴族の優雅さという時代背景をダイナミックに魅せるだけでなく、個々の登場人物に寄り添ったドラマをきちんと描くのがラトマンスキーならではで、ボリショイ・バレエのキャラクターにぴったりの作品だ。あのパ・ド・ドゥは全幕で観てこそ、感慨深い。観客全体を巻き込んで高揚感で満たすラトマンスキーの世界を味わいたい。アレクサンドロワ、ルンキナ、オシポア等々、次々と看板ダンサーが去って寂しさが拭えない布陣だが、昨年舞踊監督に就任したマハールベク・ワジーエフの新体制に期待したい。(吉田 香)


◆法村友井バレエ団創立80周年公演 第16回アルカイック定期公演『ジゼル』『グランドホテル』

2017年6月4日(尼崎市総合文化センターあましんアルカイックホール)

◇法村友井バレエ団が『ジゼル』を上演するのは5年ぶり。前回に引き続き、今回も法村珠里がジゼルを踊る。2015年の『アンナ・カレーニナ』で芸術祭優秀賞を受賞した法村珠里の演技に注目。また『グランドホテル』は、1979年にジャン・ブラバンの振付によりベルギーで初演されたもの。1932年封切りのグレタ・ガルボ、クラーク・ゲープル主演の映画『グランド・ホテル』が元になっている。法村友井パレエ団は、2004年の日本初演以来、3 回目の上演だ。 (山野博大)


◆バレエ鑑賞普及啓発公演〜ようこそ素晴らしきバレエの世界へ〜《バレエ・プリンセス〜バレエの世界のお姫様たち〜》

2017年6月4日、7月20日(本多の森ホール、新宿文化センター・大ホール)

◇『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』という3大プリンセス物語をひとつの作品として描いた同作は、昨年に引き続き今回が2度目の上演となる。伊藤範子の巧みな演出・振付や、新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢 唯、同団ソリストの池田理沙子、木村優里を始めとする豪華キャスト陣の共演は大きな見どころだ。バレエ鑑賞初心者からコアなファンまで楽しめる充実の舞台を期待したい。(宮本珠希)


◆《横浜バレエフェスティバル2017》

2017年6月9、10日(神奈川県民ホール・大ホール)

◇このフェスティバルは海外で活躍する日本人ダンサーをメインに据えたガラ公演だが、芸術監督の遠藤康行の卓抜したディレクションにより、他の数多あるガラ公演とは一線を画す内容となっている。今年の目玉は何と言っても、マッツ・エック振付『ジュリエットとロミオ』のバルコニーのパ・ド・ドゥだろう。この日本初演となる作品を、長年ネザーランド・ダンス・シアターで活躍し、エックの舞踊言語を熟知している湯浅永麻が披露する。他にもシディ・ラルビ・シェルカウイ、ジョゼ・マルティネズらの作品が上演される。横浜で世界の今を感じてほしい。(折田)


◆熊川哲也K-BALLET COMPANY Spring 2017『ジゼル』

2017年6月23〜25日(東京文化会館・大ホール)

◇この6 月は『ジゼル』が多い。ポリショイ ・バレエ、新国立劇場バレエ、法村友井パレエ団、そして熊川哲也K バレエカンパニーと続く。熊川哲也K バレエカンパニーは、2013 年 6 月以来の上演。今回は、ジゼルを荒井祐子と中村祥子が踊る。ベテラン荒井の出演は急きょ決まったもの。中村の『ジゼル』全幕はたぶん初めてだと思う。どちらも見たい。(山野)


◆新国立劇場『ジゼル』

2017年6月24日〜7月1日(新国立劇場・オペラパレス)

◇今月は『ジゼル』の当たり月。出演者によって大きく印象の異なる作品だけに、それぞれの公演でダンサーの魅力を見比べたい。演出に目を向けると、新国立劇場版は照明に特色がある。一幕はジゼルの心情と日暮れが重なり、ジゼルが狂気に転じた瞬間、照明もまた変化する。まるでジゼルの見ている世界を体験するような、不思議な照明マジックだ。劇場芸術ならではの面白みに溢れる舞台をご堪能あれ。(隅田有)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団『ラ・バヤデール』

2017年6月30日〜7月2日(東京文化会館・大ホール)

◇マカロワ版はテンポが良く、ラストの屋台崩しまでしっかりと描く。クラシック・バレエとしての見せ場に加え、三幕の結婚式がドラマチックで面白い。おもわくの異なる主要キャラクターたちが同時に踊る場面は、さながらオペラの多重唱のように盛り上がる。昨年夏に開催された《バレエの王子さま》で色気たっぷりのソロを踊った、ダニエル・カマルゴがソロル役にゲスト出演。ストーリーに絡む重要な役が多く、演技力の求められる作品ゆえに、東京バレエ団らしい息の合ったステージが見られるだろう。(隅田)


◆映画『ザ・ダンサー』

2017年6月3日より公開

◇アメリカから19世紀末に現れた3人の女性が、モダンダンスの礎となった。3名のうち、イサドラ・ダンカン(1877-1927)はバレエ作品や映画にもなって大きく名を遺し、ルース・セント・デニス(1879-1968)はデニショーン舞踊団として国内外で公演を行っており(1925年には来日公演)、おおよその様子はわかる。一方、ロイ・フラー(1862-1928)は衣装の布を大きく振り回して踊る写真や、フォリー・ベルジュールのポスター、衣装に投影する色彩照明を発明したことなど、断片的に知られるのみ。そのロイ・フラーの伝記を基に映画化したのが本作だ。映画としてのエンターテイメント性を高めるために、フィクションも多く加えられているが、彼女のダンスと人生を美しく、時に苛酷に描きながら、モダンダンスという新しい芸術を切り拓いていった女性の生きざまを描いている。ロイ(ミュージシャン・女優のソーコ)とイサドラ(美貌のリリー=ローズ・デップ)の確執も興味深い。監督・脚本のステファニー・ディ・ジューストが女性ならではの鋭く繊細、かつ大胆で残酷な描き方でロイとイサドラを蘇らせた。(稲田奈緒美)




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