February 01, 2017

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年2月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、120日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年2月公演】


◆クレア・カニンガム・ダンス公演「Give Me a Reason to Live」

2017年2月4-5日(KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ)

◇2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、障がいのある方々の芸術文化活動が日本でも徐々に広がっている。クレア・カニンガムは2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックの際のパフォーマンスで注目され、その後も世界各国でダンスの創作、上演を続けている。彼女の作品は単に素晴らしい、というだけでなく、障がいのある身体と鋭利な思想から新たな表現や価値を見出し、提示するものである。1月末からワークショップ、トークセッション、ダンス公演が行われる。彼女のダンスは、私たちに新しい身体、ダンス、社会の捉え方を気づかせてくれるだろう。(稲田奈緒美)


◆井上安寿子京舞公演《葉々の会》

2017年2月5日(銕仙会能楽研究所)

◇井上流の次代を担う井上安寿子が東京、青山の能楽堂で舞の会を開催する。気鋭の若手が着実に身に付けた基礎技術の上に表現力を積み重ねていく成果が大いに期待できる。安寿子は地歌「葵上」では高貴な女性の嫉妬と苦しみという内面描写を、「芦刈―笠の段―」では井上流伝承の男舞を披露する。二題共に能を題材にした作品。安寿子の叔父で能楽師の片山九郎右衛門が仕舞(能の一部)「葵上」を、弟の観世淳夫が仕舞「芦刈―笠の段」を舞い、能と京舞を見比べられる貴重な機会でもある。さらに母八千代が地歌「袖香爐」を舞う贅沢な公演。12時半、15時半の二回。(斎藤真帆)


◆福岡ダンスフリンジフェスティバル〜ダンスの発火点〜vol.10

2017年2月11-12日(福岡ぽんプラザホール、他)

◇福岡で試行錯誤を繰り返し、国内外、特にアジアとのネットワークを広げながら発展してきたコンテンポラリーダンスのフェスティバル。今年で10回目を迎える。フェスティバルにはアジアなどのフェスティバル・ディレクターがやってくるため、ここでの上演を機に招聘されるなど、活躍の場を広げるダンサーも増えている。今年も日本の各地から、またソウル、北京、タイ、インドネシア、フランス、イスラエルなどから、新人、中堅、ベテランまで24組のダンサーが集い、ダンスで競い合う。コンテンポラリーダンスの今と未来が見えるフェスティバルになるだろう。(稲田)


◆TPAM2017

2017年2月11〜19日(KAAT神奈川芸術劇場・BankART Studio NYK他)

◇本事業は舞台芸術フェスティバルとは異なり、アジア各国のアーティストによる招聘公演やショーケース、プロデューサー同士の意見交換、シンポジウム等の幅広いプログラムを通じて、アジア舞台芸術界の交流促進と発展を図るものである。プロデューサーによるディレクションプログラム、主催者による国際共同製作、公募によるフリンジプログラムの各分野で今年も多くのダンス公演が上演される。2年前にTPAMや鳥の演劇祭で上演した『Cry Jailolo』で大きなインパクトを残したエコ・スプリヤントの新作と、上演の度に評価を高めている余越保子の『ZERO ONE』は特に注目である。(折田 彩)


◆アンサンブル・ゾネ『霧のようなまなざし』

2017年2月13、14日(d-倉庫)

◇ラバン・センターで学んだ岡登志子が主宰するアンサンブル・ゾネは、1993年にロンドンで結成された舞踊団だ。今は兵庫県芦屋を拠点に神戸、名古屋、東京などで作品を発表している。2015年の『飛ぶ教室は 今』など、おもしろい作品がいろいろとある。こんどの『霧のようなまなざし』には、垣尾優、伊藤愛、糸瀬公二、桑野聖子、文山絵真らずっとここで踊ってきた人たちが出演する。しっとりと落ち着いた舞台が見られるだろう。(山野博大)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団《ウィンター・ガラ》

2017年2月22、23日(Bunkamuraオーチャードホール)

◇ベジャールとロビンズ、20世紀の巨匠の3作品が上演される。木村和夫が主演する『中国の不思議な役人』は今回が見納め。ノーブルな王子からオネーギンやヒラリオンまで幅広い役を当たり役として来たが、わけても不気味な存在感に圧倒される「中国の役人」は必見。ロビンズの『イン・ザ・ナイト』は日本のバレエ団として初演である。かつてのロビンズの手法と同様に、出演者は複数のパートを覚え、ペアを変えてリハーサルしているそうだ。抽象的な3つの愛の物語に踊り手の内面が反映される。直前に発表されるキャストが楽しみ。ボレロは昨年パリ・オペラ座芸術監督に就任したオーレリー・デュポンがメロディを務める。(隅田 有)


新国立劇場バレエ団『コッペリア』

2017年2月24〜26日(新国立劇場オペラパレス)

◇新国立劇場バレエ団が誇る珠玉のレパートリーが8年ぶりに再演される。ローラン・プティの振付は、若い恋人同士とコッペリウスの対比を強調し、コッペリウスの言いようの無い悲哀や孤独を鮮やかに浮かび上がらせる。彼が抱える狂気や孤独は、現代を生きる我々が抱えるものでもあり、それゆえラストシーンは見る者の胸を打つ。19世紀の全幕バレエを単なる時代の置き換えではなく同時代性を持った作品として蘇えらせた稀有な例であると言える。前回の上演から年月が経っているため、スワニルダは小野以外の米沢・池田、フランツは福岡・井澤・奥村の三人全員が初役となった。コッペリウスにゲストのルイジ・ボニーノだけでなく菅野がキャスティングされた意義も大きい。ダンサーは、プティの薫陶を受けたボニーノの指導を受けて、この素晴らしい作品を自分のものとしてほしい。(折田)


◆NBAバレエ団『ロミオとジュリエット』

2017年2月25、26日(東京文化会館大ホール)

◇元コロラド・バレエ芸術監督のマーティン・フリードマン版は日本初演となる。今回はゲストに迎えるマリインスキー・バレエのウラジーミル・シクリャローフ&プリマの峰岸千晶、数々の主要な役を踊り進境を見せる宮内浩之&竹内 碧というダブルキャスト。それぞれのペアが織り成すドラマに期待したい。また同団は、男性ダンサーの層の厚さも大きな魅力であり、躍動感あふれるエネルギッシュな群舞にも注目だ。(宮本珠希)


◆off-Nibroll : Dance in ASIA in TOKYO

2017年2月25、26日(森下スタジオ)

◇ このところ東洋に軸足を移して活動を続けている矢内原美邦が、台湾の世紀当代舞踊団と舞台を共にする。矢内原の作品は『静かな一日』というデュエット。川田希と松永大輔が踊る。この作品は2013年に吉祥寺シアターでやったものだが、東洋についての理解が深まった今の段階での再演はまた違った味わいのものになるのではないか。(山野)


◆日本・ベルギー友好150周年関連事業 ピーピング・トム『ファーザー』

2017年2月27日〜3月1日(世田谷パブリックシアター)

◇ピーピング・トムは、2000年の創立以来、そのカンパニー名(英語で“覗き魔”を意味する俗語)が表すように、スキャンダラスで衝撃的なイメージが先行しがちだ。しかし、そのテーマやパフォーマンスの独創性もさることながら、ダンサーの実力、総合芸術としての完成度の高さ、そして美しさを兼ね備えており、押しも押されぬ世界のリーディングダンス/シアターカンパニーである。3年ぶりの来日で発表する今作の舞台は老人ホーム。過去と現在、虚と実が入り混じった目眩く世界が展開するという。今回も公募による日本人キャストも出演する。(吉田 香)



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