August 31, 2016

【ダンス・タイムズがお勧めする 2016年9月公演】

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、8 31日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする20169月公演】

 

◆コンドルズ《The 20th Anniversary Special Live

20169910日(NHKホール)

◇言わずと知れたコンドルズが結成20周年迎えた。それを記念し、今までに発表した約100作品のスーパーベストを引っ提げて全国ツアー『20thCenturyBoy』を行っている。東京公演は『超特別大感謝公演』というスペシャルなもの。910日の公演分は、発売を開始して瞬時にSold outとなったため、9日の追加公演が決まった。チケットは2016円。3歳以下は大人の膝の上なら無料という。老若男女が集まって、彼らのアニバーサリーを一緒に盛り上げよう!(吉田 香)

 

◆貞松・浜田バレエ団《創作リサイタル28

2016910日(神戸文化中ホール)

◇国内外の振付家による多彩なプログラムが魅力の本公演。大勢のダンサーたちが軽快に、エネルギッシュに、そして優美に踊る貞松正一郎振付『ピアノ・ブギ・ウギ』、サミュエル・ベケットの著作「また終わるために」内の「ある夜」をモチーフに、中村恩恵が手がけた『TWO』、1999年以来の再演となるラリオ・エクソン振付『母の歌』、 2013年に新国立劇場でも上演し好評を博した森 優貴の『Memoryhouse』という充実のラインアップである。今回は、全作品が再演となるが、上演を重ねることで生まれる新境地をぜひとも堪能したい。(宮本珠希)

 

◆ニュー・アドベンチャーズ『マシュー・ボーンの眠れる森の美女』

201691425日(東急シアターオーブ)

◇マシュー・ボーンが、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』に続き、チャイコフスキー三大バレエ最後の一つである『眠れる森の美女』を手がけた。古典作品の大胆な読み替えで知られるボーンだが、本作でも時代を19世紀末から現代までの120年間に設定し、マクミラン版『ロミオとジュリエット』やプティパ版『眠れる森の美女』など古典へのオマージュを盛り込みながら、スピーディーに物語を展開していく。バレエファンなら思わずにやりとしたり「そうくるか」と唸らされたりするシーンが満載である。日本人ダンサーの鎌田真梨がトリプルキャストでオーロラを演じるのも期待したい。(折田 彩)

 

◆あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ『魔笛』

201691719日(愛知県芸術劇場大ホール)

◇勅使川原三郎が演出を担当し、佐東利穂子と東京バレエ団のメンバーが出演。勅使川原と、数々のコンテンポラリー作品を上演してきた東京バレエ団の、初コラボレーションに期待が高まる。勅使川原はこれまでもオペラの演出を手がけており、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへの出演をはじめ、音楽家との共演経験も豊富。果たしてどのシーンにどれくらいのダンスが挿入されるのかにも興味津々だ。(隅田 有)

 

◆ミラノ・スカラ座バレエ団『ドン・キホーテ』

201692225日(東京文化会館)

3年ぶりとなる来日公演は豪華トリプル・キャストによるヌレエフ版『ドン・キホーテ』が上演される。シュツットガルト・ガルトバレエのエリサ・バデネス(ポリーナ・セミオノワより変更)&レオニード・サラファーノフ、マリア・コチェトコワ&イワン・ワシーリエフのゲスト陣、そして同団よりニコレッタ・マンニ&クラウディオ・コヴィエッロのペアという3組それぞれの掛け合いや化学反応を楽しみたい。(宮本)

 

◆《三陸国際芸術祭2016

2016723日〜1023  

◇東日本大震災によって多くの被害を受けた東北地方で、人々を再び結び付け、希望をもたらすために民俗芸能は大きな力を発揮した。地域ごとに受け継がれ、それぞれに特徴をもつ虎舞、鹿踊などの民俗芸能を中心に、海外からの民俗芸能団体や現代のコンテンポラリーダンス、コミュニティダンスなどが交流しあい、創造しあう場が三陸国際芸術祭だ。岩手県大船渡市を拠点として2014年に始まり、三回目となる今年は、地元の「北東北三大まつり」や「リアス・ウェーブ・フェスティバル」などとも連携し、より盛大に、多様な人々が集まり、踊り、楽しむプログラムが組まれている。三陸は遠い。だからこそ、行く価値と喜びがある。(稲田奈緒美)

 

◆国立劇場開場50周年記念9月舞踊公演《道成寺の舞踊》
2016910日(国立劇場大劇場)
  国立劇場五十周年記念の幕開け公演は、伝統芸能の三大テーマの一つ「道成寺もの」の特集。どれも見応え十分のラインナップ。4演目づつ、2回公演。
午後1時の部は、祝儀曲『七福神船出勝鬨』(五耀會)の男性群舞で賑やかに幕を開け道成寺三題へ。しっとりとした『鐘の岬』(市川ぼたん)に続く、『切支丹道成寺』は、時代を安土桃山時代に移した昭和の名作。主人公朝子に水木佑歌、朝子が恋い慕う秋月ジョアンを藤間恵都子が演じ、美しい実力派の共演に期待が高まる。トリは『京鹿子娘道成寺』。道成寺ものの決定版であり、歌舞伎舞踊を代表する絢爛豪華な作品だ。演者の中村梅彌は、人間国宝で歌舞伎の名優だった父・中村芝翫からの伝承をきちんと守る人。縁取り確かな描写と華やかさが楽しみな一曲である。
午後5時の部は、華やかな女性群舞『洛中洛外』で開幕。『道成寺昔語』(尾上紫、花柳寿楽ほか)は女の恋の物語を、豊かな表現力を持って描写することだろう。能に基づく一中節『道成寺』は高い演技力で知られる吾妻徳穂による一曲。格調と情感とが味わえそうだ。そしてトリは『京鹿子娘道成寺』を男性バージョンにした『奴道成寺』。花柳基が緩急自在の身体能力で掉尾を飾る。乞うご期待の公演だ。(阿部さとみ)

 

◆北村明子『Cross Transit

2016922日(松本市民芸術館小ホール)

2016929日〜102日(シアタートラム)

◇かつてレニバッソの振付家、ダンサーとして注目を集めた北村明子が、アジアへと視点を移し、日本とアジアのアーティストらとのコラボ―レーションを行っている。インドネシアとの4年間に及ぶ「To Belong」の共同製作プロジェクトを経て、2014年からはカンボジアのアムリタ・パフォーミングアーツ・センターなどと共に、この「 Cross Transit 」プロジェクトを開始した。海外アーティストとのコラボレーションというのは、言うは易く行うは難し。しかし北村は、試行錯誤を続けながら、真摯に、根気強くそして創造性豊かにリサーチを行い、作品を創る。これらのプロジェクト作品は、ワーク・イン・プログレスの段階からほとんど見てきたが、その率直さと変化、発展に毎回驚かされる。今回もまた、進化した作品を見せてくれるだろう。(稲田)

 

谷桃子バレエ団:谷桃子追悼公演《貴女の人生に"Bravo"》

2016年9月23日(めぐろパーシモン大ホール)

2015年4月26日、谷桃子が94年の長きにわたるバレエ人生を全うした。そのすばらしき生涯に、谷桃子バレエ団が"Bravo!"を贈る。谷桃子が得意とした『ジゼル』の第2幕、『瀕死の白鳥』などが団員によって踊られる。また伊藤範子振付の『追憶』などが上演される。谷桃子の輝かしいバレエ人生を共に偲ぼう。(山野博大)

 

◆《第14回西川箕乃助の會》
2016929日(国立劇場小劇場)
  西川箕乃助、三年ぶりのリサイタルは『二人椀久』と新作『彼の岸の花』の二題。『二人椀久』は、豪商の椀屋久兵衛(通称:椀久)が豪遊を尽くしたために、座敷牢に閉じ込められ、ついに発狂して、恋人の遊女松山の面影を探してさまよい歩く…というもの。『彼の岸の花』は、「七年ぶりに妻に会う」というサブタイトルから、切なさやほろ苦さといったものが想像され、どちらの作品も、男のロマンという点で共通するようだ。近年、父の作品や家の作品を継承し、ますますの充実を見せる箕乃助。今回は久しぶりに、自身の構成・振付の作で、一味違った境地を見せてくれることだろう。(阿部)

 



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