September 28, 2015

新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』制作発表レポート

「ホフマン物語」制作発表(撮影:鹿摩隆司) No_135 -新国立劇場バレエ団の2015/2016シーズン開幕公演『ホフマン物語』の制作発表が、9月10日、同劇場オペラパレス ホワイエにて行われ、今季で2期目となる大原永子舞踊芸術監督、コレオロジストのジュリー・ヘイドン、そしてダンサー陣が登壇した。
『ホフマン物語』は、スコティッシュ・バレエの創立者であるピーター・ダレルが振付けた作品で、彼のミューズであった大原自身も、主人公ホフマンが心を奪われる3人の女性の役をすべて踊ったことがあるそうだ。

「この物語は、主役のホフマンが20代から還暦を過ぎるまでを全幕を通して演じなければならず、年齢を重ねていく演技はとても大変だと思います。また、彼にまつわる3人の主役女性が幕ごとに変わるのですが、ひとつの作品の中で3人のヒロインが登場するのもとてもユニーク。彼の人生を翻弄する役柄(リンドルフ他)も、同じ人が演じているとは思えないくらいの個性と演技力でやっていただきたいですね。この物語は、悲哀の中にもファンタジーがあり、ピュアなバレエシーンもある、バラエティに富んだ作品。1日で3つの作品を見たような感じになってくれれば嬉しく思います。」
また、ダレルの振付について、
「地味だけれど複雑。波打つようなアームスや、それに沿うようなボディの動きがピーターの特徴です。パ・ド・ドゥも、あやとりのように様々なシェイプを要求されるため、常に相手役との呼吸というものが必要となってきます。そして、そのような複雑さの中に、それぞれの演技で感情を入れていくことが難しいですね。私も入団した時は慣れるまでに時間がかかりました」と、監督自らの経験を踏まえて語っていた。
image(1)続くヘイドンも、
「ピーターという人は、まったく意味のない人(役柄)をステージに出すようなことを絶対しない人でした。舞台に出るからには意味があり、ひとりひとりに演技が求められる、つまり、それぞれの人間が各自の人生を歩んでいる、という形で描くことにより、各シーンがいっそう意味深いものになってくるのです」とコメント。

image(2)そして今回、衣裳を前田文子、装置を川口直次がそれぞれ新制作。照明は沢田祐二が手がける。
「デザインが終わってデータを見せていただいたときに、沢田先生と前田先生のデザインのコンビネーションがとてもよかったのと、私が想像していたものにすごく近かった」と大原監督。我が国随一のスタッフが織りなす美しい意匠の数々も必見だ。

最後に、主要キャストを演じるダンサーが、ひとりずつ抱負や意気込みを述べた。

福岡雄大(ホフマン)
「ホフマンを踊らせていただく機会を与えてくださった監督に感謝します。今、振付を覚えている最中で、パートごとに練習しているのでこれからだと思いますが、ジュリーさんも大原先生もおっしゃられたように、場面ごとに違う表現、葛藤など深く掘り下げて表現できるようにこれからリハーサルに努めていきたいと思います。」

菅野英男(ホフマン)
「普通の人生であっても、年齢を経て見方や考え方が180度変わってしまうことがありますが、それを舞台上でどうやって出していくか、今から本番までの間に自分でしっかり練って、皆様に良い舞台を届けられるように頑張ります。」

井澤 駿(ホフマン)
「この役を与えられてとても嬉しく思います。不安もたくさんありますが、2ヶ月という期間の中で自分なりのものにできたらいいと思っています。」

長田佳世(オリンピア)
「リハーサルは始まったばかりで、まだヴァリエーションと、マイレンさんたちと少し絡むところを覚えたところです。オリンピアというのは人形の役で、人間とは違って感情がまったくないものなので、そこをどのように舞台で表現するか。ステップも難しいですが、感情がない分、存在が消えないように、これから両方を積み重ねていってみなさんにお届けできるよう頑張ります。」

奥田花純(オリンピア)
「オリンピアという役は人間とは違って感情表現ができないのですが、ホフマンが魔法の眼鏡をかけると、一瞬で恋に落ちてしまうような魅力のある女性に見えてきます。人形の動きも多いですが、ホフマンに見えているオリンピア像を大切に表現していけたらいいなと思います。」

小野絢子(アントニア)
「今週の月曜日(7日)、ジュリーさんがいらっしゃって、バレエ団全員を集めて、この作品の説明会をしてくださいました。その際、ひとりひとり、意味のない人がいない、つまり、時代背景を(各々が)理解して自分がどういう役なのか、どういう性格なのか、この場面で何をするべきなのか、が求められる作品だということを聞き、大原先生が、今この時期に、このバレエ団に、この作品を持ってきてくださって、本当によかったと思いました。そして、大きな期待をもって今日からリハーサルに取り組んでおります。やはり、このようなチャンスをいただかない限り、ダンサーたちはなかなか成長できないですし、深く伝えてくださる方がいてこそ次に進める、そのようなワクワク感をもって頑張っていますので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。」

米沢 唯(アントニア/ジュリエッタ)
「二役もやれるなんて、ありがたく、嬉しく思っております。今回、床山さんから、ジュリエッタは毎回くるくるのカールを自分の髪でセットするから、と言われたので、人生初のパーマをかけることになりました!それがとても楽しみです(笑)。もちろん、リハーサルも全力で頑張って、良い舞台にできるようにします。」

本島美和(ジュリエッタ)
「私は十数年前に牧 阿佐美バレエ団でホフマン物語を上演したときに見せていただき、当時はホフマンが人生を下っていくような作品に感じられとても暗いストーリーだなと思っていましたが、今回、ホフマンが最期に人生を振り返ったとき、この人生を繰り返したいかな、と考えたら、きっとまたその生き方をしたいだろうと思いました。彼は美しさの象徴のような3つのタイプの女性と出会い、その中で人生が作られていったのだなぁと。私は、ジュリエッタを演じさせていただきますがますが、彼をどう翻弄していくかを考えながら役柄を発見していき、本番に向かえたらいいなと思います。」

マイレン・トレウバエフ(リンドルフ)
「まずはじめに、私を信じ、この役を与えてくださった大原芸術監督に心から感謝いたします。リンドルフ役はとても難しいです。私のこれまでのすべてのキャリアをいかして、役作りに臨みたいと思います。」

貝川鐵夫(リンドルフ)
「リンドルフは場面によって3つのキャラクターが存在します。ひとつひとつ探求し、取り組んでいきたいと思います。」

「ピーターとの出会いがなければ、バレエ人生が終わっていたかも」というほど、大原にとってかけがえのない存在であるダレルの『ホフマン物語』。「ピーターのバレエを通して私が何かを見つけたように、ダンサーの方たちにも何かを見つけてもらえれば幸せに思います」という同氏の言葉からも並々ならぬ想いが感じられた。開幕が待ち望まれる。(集合写真撮影:鹿摩隆司 取材&文:宮本珠希 2015/9/10 14:00 新国立劇場 オペラパレス ホワイエ)

新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』
2015年10月30日 19:00、31日13:00/18:00、11月1日 14:00、3日 14:00 @新国立劇場 オペラパレス
03-5352-9999
http://pia.jp/nntt
特設サイト
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/hoffmann/




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