August 02, 2014

第27回こうべ全国洋舞コンクール

クラシックバレエ部門は、男女計6部門。女性ジュニア2部と女性ジュニア1部は予選、準決選、決選の3度、それ以外は予選と決選の2度、審査が行われる。筆者は5月6日の決選を鑑賞。熱戦が繰り広げられた。

女性ジュニア2部は40名が決選に進出。第1位は『エスメラルダ』よりダイアナのヴァリエーションを踊った土屋景衣子。伸びやかなポーズや快活なシークエンスが、華のある演技に結び付いた。この日のトップバッターで『ドン・キホーテ』よりドルシネアのヴァリエーションを踊った第2位の寺岡咲花は、ひとつひとつのパが丁寧で上体の使い方がエレガント。第3位の『コッペリア』第3幕よりスワニルダのヴァリエーションを踊った野田美月は、小気味よく溌剌とした動きが秀逸であった。

 女性ジュニア1部の決選出場者は41名。第1位は『くるみ割り人形』より金平糖のヴァリエーションを踊った大谷遥陽。普段、あまり目にすることのないヌレエフ版に挑んでいた。このヴァリエーションには、派手な回転や跳躍が組み込まれているわけではない。それ故、基礎の美しさや動きの正確性、コントロール力が求められる、ごまかしの利かない非常にシビアな振付である。筆者は、4月の全国舞踊コンクールでも、大谷の演技を見ていた。その際も、このヴァリエーションを選択していることに驚いたのだが、当時は今一歩、踊りを咀嚼しきれていないような印象を受けていた。しかしながら、そこから1ヶ月余りで、格段に完成度を高めていたのには目を見張った。抑制のきいた優雅なムーヴメントや豊かな音楽性は群を抜いており、抒情的な演技は見事であった。続いて、『海賊』よりヴァリエーションを踊った東川実奈美が、精緻な足さばきと安定した回転技術で第2位に。第3位の志手美毯は『眠れる森の美女』よりローズ・アダジオのヴァリエーションを披露。愛らしい佇まいが、役柄の可憐な魅力を引き出していた。

女性シニアの進出者は40名。第1位の『海賊』よりヴァリエーションを踊った松浦梨歩は、しなやかなジャンプが持ち味。堂々たる演技で優勝に輝いた。第2位の建守咲央里はメリハリの効いた動きで『ドン・キホーテ』よりキトリのヴァリエーションを踊り、第3位の中浜のぞみも、同ヴァリエーションを艶やかにまとめた。

男性ジュニア2部は12名。第1位は『海賊』よりヴァリエーションを踊った河野琉也。大技を随所に取り入れ、終盤のコンビネーションも見事に決めた。また、奴隷商人という役どころを捉えて短いソロの中で表現していたのも印象深い。第2位の増田響は端正な演技で『白鳥の湖』より王子のヴァリエーションを、第3位の秋山天彦も左右のトゥール・アン・レールを取り入れ、『白鳥の湖』より王子のヴァリエーションを巧みにを踊った。
 
男性ジュニア1部の進出者は13名。第1位の北口雅人が踊ったのは『バヤデルカ』よりヴァリエーション。ダイナミックなカブリオールなど、高度なテクニックを盛り込んだ勇壮な踊りで、昨年のジュニア2部に続き優勝をさらった。第2位は『パキータ』よりヴァリエーションの仲秋連太郎。清潔感のある踊りと甘く端正な雰囲気が光った。第3位の吉野鷹臣による『ラ・シルフィード』のヴァリエーションは、ポーズの美しさが目を引いた。

 男性シニアの決選進出者10名の中から第1位を獲得したのは『くるみ割り人形』より王子のヴァリエーションを踊った長谷川元志。均整の取れたプロポーションに確実な技術、品格の漂う身のこなしは、まさにノーブルな役柄に相応しい。第2位の水城卓哉が踊ったのは『ライモンダ』よりヴァリエーション。クリアな踊りからは落ち着きと余裕が感じられた。第3位の林高弘は、躍動感溢れる『パリの炎』で入賞。出場者の健闘を称えたい。(宮本珠希 2014/5/6 10:00 神戸文化ホール 大ホール)

piyopiyotamaki at 01:55短評 
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