October 24, 2012

芸術祭参加:貞松・浜田バレエ団《創作リサイタル24》

 貞松・浜田バレエ団定例の《創作リサイタル24》が、今年は芸術祭参加公演として行われた。プログラムは、貞松正一郎、長尾良子、堤悠輔振付の『新・動物のカーニバル』、森優貴振付の『Memoryhouse』、キリアンの『6 DANCES』の再演というトリプル・ビル。
 『新・動物のカーニバル』は今年の8月に行われた日中友好文化交流特別公演で初演したもの。ペンギン(川村康二)とカメ(芦内勇二郎)が狂言回しとなり、サン=サーンスのおなじみの世界へ。関西風のお笑いシーンも加えて、バレエ鑑賞の初心者にも楽しめる舞台とした。しかし、カッコウの瀬島五月、ニワトリの正木志保、火の鳥の山口益加らのダンスは見応え充分。
 森優貴の『Memoryhouse』は初演。2枚の衝立をあちこち移動させて場面転換を図り、川村康二、佐々木優希によるシーン、瀬島五月、堤悠輔ら3組の男女によるシーン、武藤天花、貞松正一郎によるシーンをそれぞれ際立たせて、現代特有の不安をにじませたドラマを作り上げた。ストーリーを追うことはできず、人間関係も明らかになってはいないが、ひりひりするような感情の起伏が見る者の肌身に迫ってきた。これは、2003年の『オーディ・エト・アモ』、2008年の『羽の鎖』、2010年の『冬の旅』に続く森優貴の力作だ。貞松・浜田バレエ団が永く続けてきた《創作リサイタル》の成果を、またひとつ確認することができたことを歓びたい。彼は現在、ドイツ、バイエルン州のレーゲンスブルグ劇場で芸術監督を務めている。今後も日本での作品発表を続けてほしい。
 『6 Dances』は、2009年に貞松・浜田バレエ団が日本初演したキリアン作品。今回は中村恩恵の指導により再演した。モーツァルトの音楽を動きで表したら、こんなことになるだろうというおもしろさがある。貞松・浜田バレエ団のダンサーたちがその動きに必死で取り組むと、そのおかしさがいっそう明らかになる。現代バレエというと難しいものという印象を持たれがちだが、この作品を見ると、そのような不安はたちどころに解消される。『6 Dances』は、キリアンが1986年に創ったものだが、20年以上経った今でも古いという印象はまったくない。貞松・浜田バレエ団は良い作品をレパートリーに持ったものだ。
(山野博大 2012/10/08 神戸文化ホール中ホール)



emiko0703 at 17:17短評 
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