September 11, 2012

大野一雄フェスティバル2012 Dance Exchange Project 《Pyjamas vol.1》

大野一雄フェスティバルのDance Exchange Projectに中村恩恵と岡登志子が登場した。今回はふたりで『白い夜』を踊り(7日)、中村恩恵ダンスサンガと岡登志子アンサンブル・ゾネのダンサーたちが《Pyjamas vol.1》を踊った(8、9日)。
 《Pyjamas vol.1》を見た。中村の『Between Lines』(2010年初演)、そして岡の『Still moving 2』(2011年初演)の短縮版の2作で構成されていた。
 中村作品は、ダンサーたちと観客が気軽に交流するゲームから始まった。ダンサーの動きを見た観客が、その状態を紙に記して舞台に投げ込む。それを他のダンサーが拾って読み、次の動きへつなげて行く。
 中村恩恵ダンスサンガと岡登志子アンサンブル・ゾネのダンサーたち、それに公開ワークショップ参加者から選抜した者を加えた舞台は、温度をゆるやかに上げて行った。『Between Lines』を初演したのは、日本女子体育大学の卒業公演だった。状況の変化に応じて、ダンスが出来上がってくる段取りは同じだが、ひとりひとりに自発的な参加をうながした結果は、神さまの手に委ねられている。
 岡の『Still moving 2』が初演された昨年は、愛知、神戸の後、東日本大震災が起こり、東京公演は中止。その11月に再演を果たした。『穏やかな不協和音』という邦題がついていて、中村恩恵も出演の、ずしりとした手応えを感じさせる一晩ものの長編だった。ここではそのショート・バージョンが踊られた。岡は、動きを厳密に指定している。しかし自発性を最大限に尊重するところは『Between Lines』に通じていた。
 どちらの作品にも、ダンサーたちがそれぞれ自分のからだの感覚を大事にして動き、全体に溶け込んで行く軽快な質感があった。それが白一色の簡素な空間にぴたりと収まった。
(山野博大 2012/9/9 ハンマーヘッドスタジオ新・港区)



emiko0703 at 09:19短評 
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