June 03, 2012

シュツットガルトバレエ団『じゃじゃ馬馴らし』1日

フィリップ・バランキエヴィッチは、軸を崩してもバランスを保つ酔っぱらいの回転や、アクロバティックだが安定感のあるリフト、そして表情豊かな演技で、豪放磊落なペトルーチオを作り上げた。ジャンプの度に大きな音を立てて着地したが、それすら男臭く陽気な役柄の一部にしてしまった。スー・ジン・カンのキャタリーナはがに股べた足で歩き、喧嘩を売りまくる。貞淑になってからも踵から床を踏む歩き方は健在で、夫の"調教"がじゃじゃ馬娘の人格を尊重したものであったことが伺われた。アラベスクの際の腰の強ばりや、上げた脚をコントロールしきれていない点が、若干気になった。しかし、本人は大真面目なのに周囲には滑稽に見える、という匙加減は絶妙。主演二人の息の合った演技に喝采が送られた。ビアンカにエリザベス・メイソン、ルーセンショーにマライン・ラドメーカー。(森本ゆふ 2012/06/01 19:00 東京文化会館大ホール)


outofnice at 15:11短評 
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