May 29, 2012

ZERO to INFINITY vol.2 『箱のなかの庭』

正田千鶴門下の宮本舞が《ZERO to INFINITY vol.2》で『箱のなかの庭』を発表した。1時間20分ほどの、動き中心で見せた作品だった。宮本自身ダンサーとして評価の高い人だが、それに関口淳子、桑島二美子、妻木律子という動きの達人たちを加えて、息をもつがせぬ動きの奔流を出現させた。それぞれの個性を生かした周到な振付がその背景にあり、美しい流れが出来上がったのだ。
 「生かされる始まり」「カオス」「点と線」「対峙」などから成る8部の構成は、個々の動きの質の高さとその配分のみごとさで、一分の隙もなく仕上がっていた。
 正田千鶴の作品で常に大事なところを踊ってきた宮本には、正田の武骨とも思える骨太のダンスのすべてが継承されている。そのせいで彼女は、この作品の中で正田のところのダンサーたちを自由に使いこなすことができた。正田作品では封印されてきたかもしれない、彼女の持つしなやかさが、ここには顔を出していたと思う。その感覚が、関口、桑島との良き接点になった。関口の正面からどんどん押してくる切れ味鋭い正統派のダンス、桑島の広い視点をしだいにしぼってくるような粘り気たっぷりのダンスが、宮本とそれぞれになじんで、多彩な展開となった。
 また宮本以上に正田の舞踊をたたきこまれてきた妻木を、宮本は大事なところに使った。正田風のがつんと当りの強いポイントとしてではなく、すっと風が通り抜けて行くような場面での起用であり、妻木の新しい一面をみごとに探り当てたものだったと思う。宇都宮の古い倉庫といった、遠い時間を感じさせる空間で自身の舞踊を磨いてきた妻木には、そんな役どころがよく似合った。
 舞踊作家としての宮本舞のこれからが大いに期待される『箱のなかの庭』だった。
(山野博大 2012/05/11 北沢タウンホール)



emiko0703 at 15:55短評 
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