April 14, 2011

『滝沢歌舞伎2011』

企画・構成・総合演出=ジャニー喜多川、主演・演出=滝沢秀明というコンビで、ジャニーズ事務所が、歌舞伎をヤング向けに再生して見せようという企画を続けている。歌舞伎の語源は、常軌を逸脱した行為をするという意味の動詞「傾く(かぶく)」からきている。今の時代でかぶくとしたら、こんなことになるだろうというのが「滝沢歌舞伎」だ。
今回も滝沢秀明主演で、歌舞伎の名場面を雑然とアレンジし、最後は平将門伝説を4Dフライングなどを入れて派手に見せる。4Dフライングというのは、ホリゾントに地上を上空から見た景色を映しておいて、その上をワイヤーで吊り上げられた演技者たちが歩いたり、走ったりするというもの。客席からは、戦いのシーンを空中から見下ろすような印象になるわけ。かなりくどいところもあったりするのだが、タッキー(滝沢)ファンにとっては、そこがたまらないのだろう。
開演直前に東日本大震災のやや大きめの余震があり、開演中にも揺れがきて場内が騒然とするという状況にもかかわらず、客席は満員。5月8日の千秋楽まで、若者たちがたくさん詰めかけて、彼らがかぶく場面に大いに触発され、震災復興に立ち上がる元気を得てもらいたい。若いタレントたちがテレビの中とはまた違う表情を見せるところも、劇場という場での新しい体験になるのではないだろうか。(山野博大 2011/04/11 18:00 日生劇場)


emiko0703 at 23:30短評 
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