March 26, 2011

【公演の見どころ紹介:15】二見一幸インタビュー:La Danse Compagnie Kaleidoscope Anniversary 15th

日本のコンテンポラリーダンスの牽引者の一人、二見一幸。彼の主宰する「ダンスカンパニーカレイドスコープ」が活動開始15周年を記念し、公演を行う。自身も、振付家を志してから30年という節目の年を迎えた二見に、これまでの歩み、今回の公演の見どころを聞いた。



二見一幸さん
振付家になりたいという意識が芽生えたのは、モダンダンスを習っていた中学生のとき。故庄司裕先生のリハーサルを見学したのがきっかけです。ダンサーが振付家の言葉や指示に反応して踊り出すと、想像以上のムーブメントが生まれてくる、その光景に衝撃を受けて「自分も、人を動かして作品を作りたい」と思いが生まれた。庄司先生に、生意気にも「振付家になるにはどうしたらいいですか」と打ち明けました。先生は「まずは踊りなさい」とおっしゃいましたが、自由にさせてくれたんですよ。自分のコンクール出場用の小品から作り始め、仲間に声をかけて群舞の作品も……と徐々に活動を広げました。

1993年には、文部省の芸術家在外研修制度で2年間渡仏しました。日本のモダンダンスのテイストも嫌いじゃなかったのですが、当時はフランスのヌーヴェル・ダンスに憧れがあったんですよ。日常生活から人間が抜け出てきてそのまま踊り出すようなムーブメントが、洗練されて魅力的に見えた。それで「フランスへ行こう!」と。海外で海外のダンサーと接して作品を作り、発表してみたいという欲求もあった。

でも、フランス滞在はいいことばかりではなかったですね。日本で見て大好きになった振付家を訪ねて行ったのですが、欠員がなくて受け入れてもらえず、その後オープンクラスを転々としていました。この先2年もこの調子では、帰国しても復帰できないんじゃないかという不安、何かやらなきゃという焦りがありましたね。作品を発表しようにも、劇場のプログラマーに納得してもらえないと不可能です。「日本人なんだから、作品に舞踏の要素も入れてくれ」とか「着物姿で踊ってほしい」なんていう要求をもらったり()。悔しくてしょうがないときもありましたが、一緒にフランスへ行った田保(知里)とデュエットを作り始めて、現地のダンサーにも声をかけ、作品を作り、上演できる機会は増えていきました。印象的だったのは、パリ・バスティーユの『カフェ・ド・ラ・ダンス』での公演。劇場の外で自分たちでチラシを撒いて、告知活動をしたら、たくさんの人が足を運んでくれたんです。みんな、僕たちのことなんか知らないのに「日本人が自分たちと同じようなことをやってる」って面白かったみたいですね。

渡仏前から、研修終了後は日本でカンパニーを持ちたい、活動していきたいという思いがずっとありました。La Danse Campagnie Kaleidoscopeというカンパニー名も、フランス滞在中に決めたんです。僕の名前「かずゆき」のKをフランス語の辞書で引いて、すぐに目に飛び込んできたのが、”Kaleidoscope”。「めくるめく、様々な印象」という意味が、まさに自分のやりたいことに一致したんです。帰国し、カンパニーを設立した96年当初は、田保と僕の2人がメンバー。ゲストにも出てもらっていました。ゲストのパワーで作品のクオリティは上がり、すごくプラスになるのですが、自分にとってよいダンサーを育成しながら、振付家として彼らと一緒に成長していきたいという思いもあったんです。そのうち、声をかけたダンサーが、僕のクラスレッスンを受けてくれるようになって、固定メンバーもできて、カンパニーが形作られて。

古くなりたくないし、やりたいことをやり続けるために、変わっていかないとだめだと思って、設立以来ずっと走り続けてきました。作品に流れる「時間」を大事にしたくて、使う動きを一切稽古に持ち込まず、リハーサルと稽古を完全に分離したのも、ここ5~6年のことです。パフォーマンスもできるスタジオ “Dance Brick Box”ができたのも3年前。自分がよしとする作品を追い求めて、夢中で走ってきました。こうして迎える15周年記念公演も、これまでの歩みの集大成ではなく新たな一歩、未来への通過点という気持ちが強いんです。

今回は、上演作品4本中3本を新たに作りました。『ダンツァ・ディ・トランセ』は、トランス状態に陥った修道女、というイタリアの話がモチーフです。音楽はバッハの『マタイ受難曲』。かつてこの曲に振付を試みましたが、その壮大さが当時は手に負えなかった。でも、久しぶりに聴いたらテーマにどんぴしゃで、この曲を乗り越えようと思ったんです。再挑戦ですね。最近、意欲があって実力もある男性ダンサーが増えていまして、彼らが「やろう」って言ってくれて『Zippy』という作品ができました。男性ならではの集中力やパワーってすごく面白いんですよ。僕も、『Zippy』ともう一つの新作『Schwaz Elian』にはダンサーとして出演します。唯一の再演の『魚の背』にも、やり残した感のあった後半にワンシーン組み込んでいます。今回の公演で、過去の作品からさらに一歩踏み出したところをお見せできたらいいですね。(安藤絵美子 2011/3/9)

La Danse Compagnie Kaleidoscope Anniversary 15th
会場:あうるすぽっと
329日(火)19時開演、 330日(水)15時、19時開演
問い合わせ:ダンスカンパニーカレイドスコープ 電話:042-705-9127

写真提供:ダンスカンパニーカレイドスコープ
 

 



emiko0703 at 16:37公演の見どころ 
記事検索