April 18, 2010

京都の春の風物詩、都をどり。「置歌」で、あでやかな衣装をまとった芸舞妓24名が花道に登場するや、まさに春爛漫。続く「松尾大社初詣」で春を寿ぎ、「和宮祇園社参」で悲しい物語り、「鴨川燈籠流」で夏の景色を描き、「猩々」では能をあしらって力強く舞う。「秋色伏見御香宮」で秋を彩り、「一力亭雪宵」では人の綾を重ね、最後の「平安神宮桜満開」で総踊りとなり、四季をめぐって再び春に戻ってくるという八景の構成。京舞井上流の、抑制のきいた明確な踊りを味わい、ベテランの地方連中の艶っぽい唄と三味線に聞き惚れた。(稲田奈緒美 2010/04/16 京都・祇園甲部歌舞練場)



inatan77 at 19:49短評

April 16, 2010

イスラエルを代表する舞踊団が2007年初演の同作を上演。振付、オハッド・ナハリン。10名のダンサーは、時にグロテスクにエロティックに歪み、あるいはスピーディに鋭利なラインを見せる動きそのものに、余計な感情やコンセプトを排して、鍛えられた身体を捧げる。その集中と緊張と無為が、生々しい身体に聖性さえ喚起させ、舞台をリチュアルな場に変える。ダンスの原点を垣間見せる秀作である。(稲田奈緒美 2010/04/15 19:30 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)



inatan77 at 05:46短評

April 12, 2010

手頃な価格で意欲的なダンスを見せる企画。前売2000円で2時間強。不条理な笑いとブレイクダンスのAOKID、無表情で激しく赤い番傘を壊す笠井瑞丈、引きこもった凶暴性で冷蔵庫を壊す高橋幸平の映像とのコラボ、心に沁みる荒谷みつるのギターライブ、ダンスパートを大切にした構成力のあるミュータント・ライセ(KENTARO!!、伊藤知奈美、川口真知)、離れた二つの地点の生活をソロで表現した長内裕美に、観客は熱心な拍手を送った。ブラウニーとSchole recordsのCDのお土産付き。(隅田有 2010/04/11 18:00こまばアゴラ劇場)

outofnice at 21:05短評

April 08, 2010

舞台と客席との隔たりさえ曖昧なごく小さな空間が活かされた作品。決してユニゾンになることの無い3人のダンサーの身体が打つリズムが響き、『大洪水』と銘打った静けさの余韻が残る。ダンサーの動きのみならず、天井にも注目して、山下の創る『大洪水』を味わってほしい。
(中野三希子 2010/04/08 19:30 STスポット横浜


skippercat_second at 23:59短評
日本バレエ協会が、メアリー・スキーピング版の『ジゼル』を上演した。スキーピングは1902年にイギリスに生まれた。バレエの道を選び、1925年のコヴェント・ガーデンにおけるアンナ・パヴロワ・バレエ団の『ジゼル』にレペトワールとして関わったことが彼女とこのバレエとの最初の出会いだったようだ。1948年から51年、当時はまだサドラーズ・ウエールズ・バレエ団の時代だった後の、ロイヤル・バレエ団のバレエ・ミストレスに就任する。さらにロイヤル・スウェディッシュ・バレエ団などでも『ジゼル』の演出に携わり、独自の『ジゼル』観を育て上げた。
こんど日本バレエ協会で上演した『ジゼル』は、彼女が1971年にロンドン・フェスティバル・バレエ団(現在のイングリッシュ・ナショナル・バレエ)で演出したものがベースになっている。彼女は1984年に亡くなっているので、その演出復元は、イングリッシュ・ナショナル・バレエ所属のレペティター、内海百合により行われた。
渡邊一正指揮のロイヤル・メトロポリタン管弦楽団による序曲が演奏されたが、これがひじょうにゆっくりとしたテンポで、いつもとは別の『ジゼル』が出現する前触れのようにも聞こえた。幕が開いてみると、見慣れた妹尾河童の舞台美術、緒方規矩子の衣裳が目に入ってきた。しかしその先の展開は期待にたがわない、おもしろいものだった。
スキーピングの『ジゼル』は、歴代の演出家たちがこのバレエから芸術の名のもとに削ぎ落としてきた、細部に宿るドラマティックなどきどき感を復活したものと言ってよいのではないだろうか。社会主義リアリズムの影響でアルブレヒトとジゼルの間に横たわる階級的な問題に微妙に手が入れられたり、ウィリーたちの動きをより夢幻的なものに仕組み、このバレエの透明な感覚をいっそう高めようといった芸術的な配慮などのために失われた「おもしろさ」が、スキーピングの『ジゼル』には残っていた。コラッリとペローが初演した『ジゼル』には、このような生々しい勢いがあったのではないかと思わせる説得力がここにはあった。
ペザント・パ・ド・ドゥのすぐ後にジゼルのソロがあり、さらにアルブレヒトとのパ・ド・ドゥまである第1幕は、活気に満ちたものだった。またウィリーたちが、森に迷い込んだ男に容赦なく襲いかかる第2幕のスリリリングな展開も迫力満点。これらは、荒唐無稽な対立の場をことさらに舞台の上に作って観客の心を揺さぶろうとする、歌舞伎などではしばしば見られるエンターテイメントの原点だ。
ジゼルの酒井はなは、もともとキャラクターを際立たせる演技が得意なバレリーナだ。二転三転の末にイングリッシュ・ナショナル・バレエのファビアン・ライマーに落ち着いたアルブレヒトを相手に、このスキーピング版では、ほんとうに生き生きとしたジゼル像を見せてくれた。長身の美しさで見せたミルタの小川友梨、父親譲りの的確な演技力を示したヒラリオンの小林貫太、さらりと高貴さを演じたバチルドの依田久美子らも、スキーピングのドラマティックな展開にうまく溶け込んでいた。さらに特筆すべきは、ペザントの福田有美子・恵谷彰、ドゥ・ウィリーの大長亜希子・八島香奈恵の踊りだった。福田・恵谷のそれぞれにすっきりと仕上がったダンスのすばらしさ、大長・八島の場面ごとに的確にコール・ド・バレエをリードした連携の良さは、この『ジゼル』のポイントを引き締めるものとして注目に値した。(山野博大 2010/03/28 18:00 東京文化会館 大ホール)


emiko0703 at 10:33舞台評
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