August 02, 2018

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、720日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2018年8月公演】


◆日本バレエ協会創立60周年記念《全国合同バレエの夕べ》

8月3、4日(新国立劇場オペラパレス)

◇協会創立60周年を祝っての《全国合同バレエの夕べ》は、日本全国のバレエの現状を知る上で見逃せない機会だと思う。毎回上演の『卒業舞踏会』では、高岸直樹の老将軍、マシモ・アクリの女校長という配役が用意されている。どのようなラブ・シーンが展開されるのか、これも見逃すわけにはいかない。(山野博大)


◆イデビアン・クルー『排気口』

8月9〜12日(世田谷パブリックシアター)

◇イデビアン・クルーが『排気口』を上演したのは2008年8月だった。それをこんどはどのように改定して見せてくれるのだろうか。安藤洋子、金子あい、斉藤美音子ら、前回踊ったダンサーがまた登場する。10年の時の経過が彼らにどのような変化をもたらしているのかを見るのも楽しみだ。(山野)


◆大和シティバレエ『YAMATO City Ballet Summer Concert2018』

8月10日(大和市文化創造拠点シリウス 芸術文化ホール)

◇国内外で活躍するダンサーたちをゲストに招き、大和市に拠点を置く佐々木三夏バレエアカデミーの在校生たちと共に4演目を上演する。関直人振付の『ゆきひめ』は日本の題材を用いた”バレエ・ブラン(白のバレエ)”。70年代の初演時は女性パートを日本舞踊の踊り手が務めたそうだ。小野絢子は日舞の素養もあり、楽しみだ。新国立劇場で2016年に上演された宝満直也振付の『3匹の子ぶた』の再演も見逃せない。福田圭吾、八幡顕光、池田武志の初演キャストに菅井円加が新たに加わる。もう一つの宝満振付作品は『Evony Ivory』。宝満本人と米沢唯が出演する。鈴木未央振付改訂の『千夜一夜物語』は、五月女遥が主演する。小柄ながら個性と存在感のある五月女の演じるシェヘラザードに期待が高まる。(隅田有)


◆日本舞踊の可能性 vol.1 『展覧会の絵』

8月10日(浅草公会堂)

◇日本舞踊は古典作品を保存、継承するだけでなく創作も盛んに行っている。多ジャンルとのコラボも行われるものの、成功するのは容易ではない。しかし、藤間蘭黄による『信長』は、バレエのファルフ・ルジマトフと岩田守弘を迎えて高い評価を得、再演を繰り返している。それは振付、演出、出演する舞踊家たちがそれぞれの芸術に対して理解と尊敬をいかに深め、コミュニケーションを図るかによるのだろう。その蘭黄が再びバレエとのコラボに挑戦するのが、ムソルグスキーのピアノ組曲『展覧会の絵』だ。2017年にキエフ市内にある「キエフの大門」(『展覧会の絵』の終曲で、同地の観光名所でもある「黄金の門」)でピアノの生演奏によって初演され、バレエダンサーであり現在はキエフ国立バレエ学校芸術監督でもある寺田宣弘と蘭黄が踊った。その後、2018年にはウクライナ国立歌劇場でのガラ公演にも招かれた本作が、東京で初演される。ピアノ演奏は木曽真奈美。そして、『鷺娘』ではプロジェクションマッピングによる映像とのコラボが行われ、蘭黄が映像の中で、祖母(人間国宝の藤間藤子)、母(藤間蘭景)と共演する。日本舞踊に流れる雄大な歴史と舞踊家たちが紡いできた時間の美しさ、愛おしさ、革新を受け入れる度量の広さを感じさせる公演になるだろう。タイトルにあるように「日本舞踊の可能性」がvol.1、2、3…、と続いていくことを願い、また私たちも観客という同伴者になりたいものだ。(稲田奈緒美)


アクラム・カーン カンパニー『チョット・デッシュ』

2018年8月11、12、17、18、22〜25日(ロームシアター京都・ノースホール、金沢21世紀美術館シアター21、横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール)

◇2013年に彩の国さいたま芸術劇場で上演されたアクラム・カーンのソロ公演『DESH-デッシュ』が、子供も鑑賞できるようにリクリエーションされた『チョット・デッシュ(Chotto Desh)』として再び日本に戻ってくる。『DESH』は、カーンがバングラデシュ系イギリス人という自身のルーツや父の人生、子供の頃の思い出を言葉とダンスで紡いでいく構成で、ティム・イップの幻想的な舞台美術と映像の効果もあり、珠玉の作品になっていた。今作の『チョット・デッシュ』は、カーン自身の出演はなく、カンパニーのデニス・アラマノスとニコラス・リッチーニが交代出演し、シーンを再構築して60分程度に短縮している。ダンスに限らず、児童向けの舞台作品は非日常の世界を描いた夢あふれるファンタジーが多いが、カーンは自分の生きているこの世界を、痛みを抱えながら慈しみを持って描いている。この作品に一人でも多くの子供が触れてくれることを願う。(折田 彩)


◆佐々木美智子バレエスタジオ『バフチサライの泉』

8月16日(八尾プリズムホール)

◇創立40周年を記念して5年ぶりに上演される『バフチサライの泉』は、同団の看板演目であり、中でも、佐々木 大のヌラリは当代きっての当たり役だ。そして、今回は、ギレイ汗を演じる山本隆之にも期待が高まる。きっと新境地を見せてくれるに違いない。他にも、瀬島五月、福岡雄大、福田圭吾ら“踊り盛り”の実力派ダンサーや、佐々木夢奈、林高弘など若手の注目株が名を連ねる。豪華キャストによる、暑さを吹き飛ばすような気迫溢れる踊りに酔いしれたい。(宮本珠希)


◆『エコルマ乗っ取り大作戦!』

8月19日(狛江エコルマホール)

◇「エコルマ」とは、東京は狛江市にある狛江エコルマホールのこと。子供たちが、振付家でダンサーの伊藤キムと一緒にダンスをしたり、美術家のTOPPIとオブジェを作ったり、このホールをまるごと使って遊園地のようにしてしまおうという作戦だ。小学2年生〜高校3年生の子供たち30名が10日に渡ってワークショップを行い、最終日には発表を行う。発表公演(ダンス&インスタレーション)の入場は無料で、飛び入り参加も可能とのこと。スキンヘッドに眼帯のおじさん(伊藤キム)との衝撃的な出会いから10日を経て、自分たちの身体、紙、布、そして建物等々を自由に使って、子供たちがどんなパーティーを繰り広げるのか見届けよう!(吉田 香)


◆五耀會《動物で描く日本舞踊》

2018年8月22日(東京芸術劇場・プレイハウス)

◇五耀會は日本舞踊のファンを増やすべく、ビギナー向けの解説付き公演を定期的に行っている。ナビゲーターとして上方落語家の桂吉坊を迎え、時には五耀會のメンバー達もマイクを握り、上演の合間に日本舞踊の決まり事や作品の見どころをわかりやすく教えてくれる。今回は《動物》をテーマに据え、『さるかに合戦』や、蛇と蛙がにらめっこをする『蛙』など、子供も楽しめる作品を揃えている。「日本舞踊に興味はあるけどよくわからなくて…」という人こそぜひ足を運んでほしい。(折田)



◆《花形・名作舞踊鑑賞会》

8月22日(国立劇場小劇場)

◇若手・中堅が歌舞伎舞踊の名作を演じる毎年恒例の国立劇場の夏の公演。今回のメンバーと演目選定もバランスよく、その舞台成果に期待が寄せられる。今年の特徴は、ほとんどの演者がそれぞれもっと若い頃に手がけた経験がある演目だということ。当時は無我夢中で形を追うのに精一杯であったり、歯が立たなかったり、思い入れが強すぎて空回りしてしまったり…という過去から時を重ね、色々なことが見えてきた今、再びその演目にチャレンジするということが意義深く、どれも見逃せないものになるだろう。

12時30分開演の部:『年増』若柳美香康、『身替座禅』尾上菊之丞、若柳吉蔵、花柳寿々彦、藤間蘭翔、藤間翔央、『供奴』市山松扇、16時開演の部:『鷺娘』市川ぼたん、『将門』花柳せいら、花柳典幸、『山帰り』藤間達也。(阿部さとみ)


◆JAPON dance project 2018 x 新国立劇場バレエ団『Summer/Night/Dream』

8月25、26日(新国立劇場中ホール)

◇国際的に活躍する日本人ダンサー、振付家が新国立劇場に集い、2014年に第一回公演『CLOUD/CROWD』、2016年に第二回公演『Move/Still』と、隔年で行われてきたJAPON dance projectが、今年の夏も上演される。今回は、これまでの抽象的なテーマとは異なり、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を基に創作するという。とはいえ、これまでも高い技術と洗練された構成、振付で毎回観客を魅了してきたメンバーが、単なる物語作品を踊るわけがない。タイトル『Summer/Night/Dream』に込められた「/(スラッシュ)」は、物語をどのように解体、飛躍、発展させるのだろうか。メンバーは遠藤康行、小池ミモザ、柳本雅寛が中心となり、新たに服部有吉(元ハンブルグバレエ団)、津川友利江(元カンパニー・プレルジョカージュ)の海外組を迎え、新国立劇場バレエ団からは米沢唯、渡邊峻郁、池田理沙子ら10名が参戦する。美術の長谷川匠、衣装のミラ・エック、照明の足立恒も加わり、今までにないダンス、見たことのない空間が出現するに違いない。(稲田)




outofnice at 08:17公演情報

July 31, 2018

三年に一度のバレエの祭典『第15回世界バレエフェスティバル』(世界フェス)。AプロとBプロがそれぞれ5公演、そして恒例の特別ガラが今年は『Sasaki Gala』の名称で、東京公演最終日の15日に上演される。Aプロの開幕が間近に迫った7月30日、東京文化会館大ホール舞台上で記者会見が開催された。主催の公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)専務理事の高橋典夫氏と、特別協賛の株式会社コーセー代表取締役社長小林一俊氏の挨拶ののち、すでに来日中の出演者34名が登壇。フランス語、ロシア語、英語の通訳を交えて、一言ずつ意気込みを語ってくれた。

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outofnice at 22:01レポート

July 23, 2018

<竹内晶、市原昭仁、松岡大、石井則仁、百木俊介、岩本大紀>
2018年6月1日、山海塾公演(世田谷パブリックシアター)で、天児牛大演出・振付『卵を立てることから‐卵熱(リ・クリエーション)』を踊る

<浅川紫織>
2018年6月8日、熊川哲也Kバレエカンパニー Spring 2018 公演(東京文化会館・大ホール)で、熊川演出・振付『クレオパトラ』のタイトルロールを踊る

<大植真太郎、森山未來、平原慎太郎>
2018年6月9日、談ス・シリーズ第三弾公演(よみうり大手町ホール)で、共作『凸し凹る』を踊る

<青山季可、清瀧千晴、菊地研>
2018年6月9日、牧阿佐美バレヱ団公演(文京シビックホール・大ホール)で、テリー・ウェストモーランド演出・振付『ライモンダ』を踊る

<新井悠汰>
2018年6月15日、NBAバレエ団《ショート・ストーリーズ・9〜バレエ・インクレディブル》(彩の国さいたま芸術劇場・大ホール)で、ライラ・ヨーク振付『ケルツ』(全幕)のグリーンを踊る

<酒井はな、浅田良和、三木雄馬>
2018年6月16日、2018 O.F.C公演(東京文化会館・大ホール)で、佐多達枝演出・振付の合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』を踊る

<木村優里、渡邊峻郁>
2018年6月17日、新国立劇場バレエ団公演(新国立劇場・オペラパレス)で、ウエイン・イーグリング振付『眠れる森の美女』を踊る

<水木佑歌>
2018年6月22日、第2回 日本舞踊 未来座《裁》公演(国立劇場・小劇場)で、花柳輔太朗演出『カルメン2018』を踊る

<奥山ばらば>
2018年6月24日、奥山ばらばソロ公演(神楽坂セッションハウス)で、自作の『サソハレテ』を踊る

<島添亮子、萱嶋みゆき>
2018年6月30日、小林紀子バレエシアター第114回公演《シアトリカル・ダブルビル》(新国立劇場・中劇場)で、フレデリック・アシュトン振付『二羽の鳩』をアントニーノ・ステラと踊る

《THE DANCE TIMES》選出ダンサー月間ベストテンは、仲間の評論家をはじめとする多くの舞踊界の人たちとの劇場のロビーでの噂話などに含まれた本音のところを参考にして、ダンス・タイムズ編集部で協議し、最終的に決めます。ひとつの公演からはベストの1件だけ、月間でひとりのダンサーをダブって選ぶことはしないというルールでやっています。


ayaorita at 18:58

July 01, 2018

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、620日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2018年7月公演】


◆《印度の魂 日本の心 真夏の宵の競演》

7月3日(国立劇場・小劇場)

◇日本舞踊とインド楽器、インド舞踊のコラボレーション。一昨年、昨年とインド・ニューデリーで好評を得ての凱旋公演。五耀會五人による日本舞踊『新曲浦島』にはじまり、続く『羽衣』はインド楽器(シタール、タブラ)の演奏をベースにした日本舞踊(花柳寿楽)とカタックダンスのコラボ。そして『三番叟』がタブラ演奏での三人(西川箕乃助、花柳基、山村友五郎)の踊り。トリはインドの二大叙事詩の一つ『ラーマヤナ』を題材にした創作舞踊で、日本舞踊、日本の打楽器と笛、インド楽器、カタックダンスがダイナミックに展開するという。古来、繋がりが深いインドと日本。文化的な共通点も多いだけに調和の取れたコラボが期待できそうだ。(阿部さとみ)


◆東京シティバレエ団《ウヴェ・ショルツ・セレクション》

7月7、8日(ティアラこうとう・大ホール)

◇過去の上演で高く評価されている、ウヴェ・ショルツ2作品の再演。『オクテット』はメンデルスゾーンの『弦楽八重奏』に乗って踊る。ダンサーの多様な組み合わせや、弦楽器の掛け合いを視覚化したような、変化に富んだ構成が素晴らしい。作曲家が16歳の時に作られた作品で、曲の持つ瑞々しさを今回も東京シティバレエ団のダンサーたちが余すところなく表現するにちがいない。『ベートーヴェン交響曲第7番』は5年前にバレエ団として初演し、2016年以来2年ぶりの再演。ダンス・タイムズでは「ダンサー月間ベストテン」を毎月発表しており、2016年の上演の際は見事なパフォーマンスに「出演者全員」をベストダンサーとして選出した(「出演者全員」という選出もこの時が初)。見逃せない公演だ。(隅田有)


◆《Triplet in Spiral 「3」を廻る三つの物語》

7月7、8日(スパイラルホール)

◇紫綬褒章を受け、ますます脂が乗っている中村恩恵が、自身の活動やメソッドを共有する人材の育成を目的として立ち上げた企画“Nakamura Megumi Choreographic Center”の第一弾として、新作を発表する。お相手は、中村とは全く個性が異なる近藤良平というから、どんなケミストリーが生まれるか楽しみである。他に首藤康之、加藤美羽、新国立劇場バレエ団の福田紘也と渡邊拓朗も出演する。(吉田 香)

◆花柳茂香舞踊研究会 “えんの会” 花柳茂香先生を偲びて

7月13日(国立劇場小劇場)

◇2016年9月10日に90歳で他界した花柳茂香の追悼公演だ。13年の”えんの会”まで舞台をつとめた。14年は自作の『男舞』を踊ることを予告していたが、当日になって救援が伝えられた。茂香が踊れなかった『男舞』を、今回は西川祐子と花柳あらたが踊る。茂香は若い頃から日本舞踊の動きをとことん抽象化して、作品を仕上げることに専念した。今回はそうして残された『原野』を西川祐子が、『香風』を花柳茂珠が踊る。西川箕乃助の踊る『お多福』は茂香の別の一面を見せる演目であり、これも楽しみのひとつだ。(山野博大)


◆《横浜バレエフェスティバル2018》

7月21日(神奈川県民ホール)

◇2015年からスタートし、今回で4回目。国内外で活躍するダンサーが、持ち味を生かした得意の演目や、彼らの所属カンパニーの名作を披露する。第一回から本公演の芸術監督をつとめる遠藤康行は小池ミモザと組み、再び『半獣』を上演する。将来活躍が期待される若手ダンサーによる“フレッシャーズ・ガラ”も、本フェスティバルの恒例だ。毎年レベルの高さに驚かされるが、今年はどんな新星に会えるだろうか。また例年公演に先立ち出演者のオーディションを開催。今年も2名が選出され、彼らも“フレッシャーズ・ガラ”に出演する。さらに過去のオーディション通過者を中心に結成されたグループ”ジュンヌバレエYOKOHAMA”が、遠藤の新作を踊る。若さ溢れる高い身体性を生かした遠藤の振付が、今年も見られるのが楽しみだ。(隅田)



◆新日本フィルハーモニー交響楽団《すみだサマーコンサート2018–Chance to play-》

7月21日(すみだトリフォニーホール)

◇着実な歩みで、挑戦的な作品を創り続け評価を高めている鈴木ユキオ。その守備範囲は広く、自身のカンパニーへのエッジ―な作品から、障がいの有無を超えたダンスカンパニーやアマチュアの子供たちによる作品など、鋭さと優しさでダンサーを生き生きと踊らせる。今回は、すみだトリフォニーホールという音楽専門ホールと新日本フィルハーモニー交響楽団のフランチャイズ30周年を記念しての企画で、フルオーケストラと共に踊る。一曲は、J.S.バッハ作曲「管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068」をカンパニーダンサーと。もう一曲は、ストラヴィンスキー作曲によるバレエ音楽「火の鳥」を小学生から60歳代までの“すみだ区公募ダンサー”も含めた総勢30名のダンサーたちと。オケが鳴り響く舞台で、それぞれに個性と歴史を背負ったからだがうごめき、跳ね、語り、歌う、壮観な舞台になることだろう。(稲田奈緒美)


◆第15回世界バレエフェスティバル《全幕特別プロ》『ドン・キホーテ』

7月27、28日(東京文化会館・大ホール)

◇3年に1度開催されるバレエの祭典《世界バレエフェスティバル》。メインは世界中のスターダンサーが集まる8月のガラ公演だが、この全幕特別プロを楽しみにしているファンも多い。今年はフェスティバルの鉄板演目『ドン・キホーテ』に、ミリアム・ウルド=ブラーム&マチアス・エイマン、アリーナ・コジョカル&セザール・コラレスという2組の豪華キャストが日替わりで出演する。脇を固める東京バレエ団の群舞にも注目したい。(折田 彩)


◆《バレエ・アステラス2018〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜》

7月28日(新国立劇場・オペラパレス)

◇今年で9回目を迎える本公演は、海外カンパニーに所属し、普段日本ではなかなか観ることができない気鋭のダンサーが一同に会する貴重な舞台である。古典から各バレエ団の特色溢れる演目まで、見どころ満載だ。今回は、公募により選出された7組に加えて、特別ゲストに英国ロイヤルバレエ団プリンシパルの高田 茜&平野亮一を迎え、リアム・スカーレット振付『ジュビリー・パ・ド・ドゥ』を上演。また、新国立劇場バレエ団からは米沢 唯&奥村康祐が出演し、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』を披露する。実力派ダンサーの競演を心待ちにしたい。(宮本珠希)


◆《ダンスがみたい!20 「病める舞姫」を上演する。》

7月24日〜8月5日(d-倉庫)

◇毎回斬新なテーマ設定と、ベテランから若手まで目配りがきいたダンサーのラインナップを揃える「ダンスがみたい!」シリーズ。今回は土方巽の著作『病める舞姫』に7組が挑む。注目は、土方と共に活動した舞踏第一世代の笠井叡、そして舞踏をルーツに持ち、その後コンテンポラリーダンスに活動の場を広げた伊藤キムと鈴木ユキオの参戦であろう。笠井は天使館の男性舞踏手達を率いて土方の『あんま―愛慾を支える劇場の話』(1963年初演)から着想を得た『土方巽幻風景』を、伊藤は土方のテキストを語り、弾き(!?)、踊る『病める舞姫の私』を上演する。彼らが自身の師やルーツとどのように向き合い、どのように昇華するのか、ぜひ目撃してほしい。(折田 彩)


◆ナチュラルダンステアトル・ステージアーツ2018『ねむり姫』

7月31日(渋谷区文化総合センター大和田さくらホール)

◇中村しんじ、川野眞子のコンビが楽しい舞台を作り始めたのは1998年から。『ありす』『孤高のパレード』『ピノッキオ』『さーかす』などのヒットがある。昨年の『どぼん』もおもしろかった。こんどの『ねむり姫』には、酒井はなが登場する。どんなことになるのだろうか。(山野)



outofnice at 18:43公演情報

June 28, 2018

629日より、東京バレエ団がウラジーミル・ブルメイステル版『白鳥の湖』を上演する。2016年に初演された同作は、その前年芸術監督に就任した斎藤友佳理の手がけた初の大作であり、公演の成功は大きな話題を呼ぶとともに、彼女の秀抜な手腕を示すところとなった。再演となる今回は、上野水香・柄本 弾(29日)川島麻実子・秋元康臣(30日)、沖 香菜子・宮川新大(71日)の3組が主演。中でも、この4月にプリンシパルへと昇格したばかりの沖と宮川にとっては初役である。開幕を数週間後に控えた某日、このペアによる公開リハーサルが行われ、ブルメイステル版のハイライトと言っても過言ではない第3幕、舞踏会のシーンがお披露目された。

 ロットバルトの手先たちによる各国のキャラクター・ダンスが、不穏と高揚の入り交る圧倒的  な“悪”のパワーを舞台に漲らせてゆく同場面。この日は、一部変則的なキャストであったが、井福俊太郎を始めとする道化たちの快活な掛け合いや、スペインを踊った奈良春夏の力強さ、ナポリの秋山 瑛が醸し出すコケティッシュな雰囲気など、それぞれの踊り手の持ち味が物語の密度を高めてゆく。オディールとジークフリート王子のグラン・パ・ド・ドゥでは、妖艶ながらも高貴な魅力に溢れた沖と、端正かつ柔らかな動きが光る宮川との化学反応が、やがて待ち受ける展開をいっそうドラマティックに昇華させていた。 

写真 2018-06-12 18 07 23その後の記者懇親会には、沖・宮川と斎藤芸術監督が登壇。ふたりは、年明けから入念にリハーサルを重ねてきたというが、目指す理想は限りなく高い。

「『白鳥の湖』は、“古典の中の古典”であり、クラシックの基本。難しいのはもちろんですが、それはクリアしなければいけないことでもある。考えなければいけないこともたくさんですが、だからこそやりがいもありますし、この作品に取り組めることの幸せを感じながら、毎日のリハーサルに取り組んでいきたいと思います」と沖は語る。宮川も「自分の中でまだゴールが見えていないし、そもそもゴールというものはないのではないか」と感じているという。日々葛藤しながら、自分自身で王子像を作りあげてゆくことが、本番までに残された最後の課題のようだ。そして、お互いに関しては、「きちんと話し合ってパ・ド・ドゥを作り上げていけるので、一緒に踊れてよかったなと思います」(沖)、「どんなに疲れていても練習に付き合ってくれて、意見も言いやすいので、僕自身も勉強になる。沖さんが気持ちよく踊れるようにもっと努力していきたいです」(宮川)と、信頼関係の上にこそ成り立つパートナーシップも磐石である。

 また、会見の冒頭では、今回の上演に際し、約200点もの衣装を新製作したことも伝えられた。気鋭のペアを主軸に据えたキャスティングも、細部にまで一流の美意識が宿る真新しいコスチュームも、すべては「将来につながるように」という斎藤監督の切なる想いがあるからこそ。次世代を担う若きスターの誕生と、バレエ団の更なる飛躍を見届けたい。

(取材&文 宮本珠希)



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