April 01, 2019

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、420日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2019年4月公演】


◆mami dance world(北村真実)『未来ノ水』

4月4〜7日(座・高円寺1)

◇1990年代から、激しい動きを重ねて作品を創り続け、そのトップを踊ってきた北村真実が、使い過ぎた脚の故障と折り合いをつけながら、まだ踊る。古くからの常連、新白石、ラビオリ土屋、古賀豊、伊澤百惠らに、新進の大前裕太郎、米沢麻佑子、津田ゆず香らを加えた舞台の行方を見届けたい。(山野博大)


◆NHKバレエの饗宴2019 

4月6日(NHKホール)

◇すっかり春の風物詩となった本公演は、国内有数のカンパニーが一同に会し、それぞれのレパートリーを披露する豪華なプログラムだ。本年は、東京バレエ団による『セレナーデ』、牧 阿佐美バレエ団の『ドン・キホーテ』第3幕、東京シティ・バレエ団の『Octet』と、いずれも定評のあるラインアップに加えて、大植真太郎と辻本知彦によるC/Ompanyが、コンテンポラリー作品『bolero/忘れろ』を上演。また、ヒューストン・バレエ団から、プリンシパルのカリーナ・ゴンザレス&吉山シャール ルイ・アンドレも出演し、同団芸術監督のスタントン・ウェルチ版『ロミオとジュリエット』からバルコニーのパ・ド・ドゥを踊る。平成最後に相応しい充実の舞台となるであろう。(宮本珠希)


◆ホフェッシュ・シェクター・カンパニー『ポリティカル・マザー』

4月6〜11日(オーチャードホール)

◇バットシェバ舞踊団で踊り、2000年代からロンドンで活躍するシェクターは、ダンサーで振付家、さらにミュージシャンでもある。シェクターが振付だけでなく作曲も担当した本作は、エレキギターとドラムの大音響が響き、リズムの変化で鮮やかに場面を展開させる。2010年の日本初演は絶賛された。ダンスそのものも面白いがメッセージ性も強く、観客を飽きさせない。このたびタイトルに“ザ・コレオグラファーズ・ カット”が加わった。KAT-TUNの上田竜也ほか3名の日本人キャストが出演する今回の公演は、新たな驚きがあるだろう。(隅田有)


◆勅使川原三郎/KARAS《アップデイトダンス》No.61『泉』

4月12〜20日(カラス・アパラタス)

◇佐東利穂子が初めて振付、演出、照明を担当し、自身が出演するソロ作品。最近は一人でも海外公演をこなすなど、パフォーマンスにおいては頼もしさが増しているが、振付、演出、照明という創作の能力に関しては、未知数である。これまでも勅使川原をサポートして来ただけに、満を持してという感もあるが、彼女が作品をまるごと独力でと聞いた時には、驚きがあった。しかし、ここ数年、ヨーロッパでは佐東への振付の依頼がすでにあったのだという。そして、今年6月に初振付作品のパリ公演が決まり、その前にホームのアパラタスで発表することになったのがこの『泉』である。しかも9月には、イタリアで、彼女が振付する別の新作の上演が決まっているというのだから、驚きだ。世界中から期待されている佐東が、振付家としての一歩を踏み出す瞬間に立ち会えることがとても嬉しい。(吉田 香)


◆《北海道舞踏フェスティバル》

4月19日〜7月14日(札幌市、余市町、美唄市、函館市、台湾・台北の各会場)

◇1950年代末から1960年代の日本で生まれた新しい舞踊ジャンルである舞踏は、今や「butoh」として世界に知られるようになった。様々な国で舞踏家が育ち、観客に支えられて舞踏フェスティバルが多数開催されているが、日本ではほとんどない。そのような状況を「もったいない」と考えて、北海道の若い世代たちが動き出した。舞踏を日本が誇る「文化遺産」ととらえ、2017年に「札幌国際舞踏フェスティバル」をスタートさせたのだ。実はこのようなプロジェクトを成功させた北海道には、舞踏の歴史がある。かつて1960年代末から70年代にかけて舞踏の第一世代、第二世代に舞踏を学んだダンサーたちが東北、北海道に移住して、その地で舞踏を根付かせており、そのレガシーを受け継いでいるのだ。ほとんど手作りで始めた舞踏フェスティバルが、2018年には「北海道舞踏フェスティバル」と名を変えて北海道の各地で開催されるまでに発展し(筆者も、レクチャーで招かれ地元の熱心な人たちと交流した)、今年は北海道内の4市町村と、台湾で開かれている「2019台湾國際暗黒舞踏節」(日本語で表記。Taiwan Darkness Dance Festival 2019)との提携公演も含めて、4か月にわたり舞踏公演、舞踏BAR(トークと実演中心のイベント)、ワークショップ、写真・絵画展が開催される。地域から世界へ向けて発信する舞踏の現在、世界で認知され様々な芸術文化に影響を与え続けている舞踏の現在を、新緑の美しい北海道へ見に行ってはいかがだろうか。(稲田奈緒美)


◆《明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会》

4月20日(国立小劇場)

◇新進の舞踊家、邦楽家による公演。舞踊の演目は、五條詠絹の『神田祭』と西川扇左衛門の『玉屋』。『神田祭』は各流派で様々な趣向を凝らし、主として鳶頭か芸者で踊ることが多いが、今回は町娘での上演。おかめとひょっとこの面を使っての演じ分けが興味深い。『玉屋』は西川扇左衛門が平成三十年に日本舞踊協会各流派合同新春舞踊大会にて大会賞を受賞した演目。ブラッシュアップされた仕上がりに期待が寄せられる。(斎藤真帆)


◆第70回西川会(十世宗家西川扇蔵)

4月21日(国立大劇場)

西川流一門の会。正午、午後四時開演の二部制、全十五番。第一部は格調高い西川扇藏の『松の緑』にはじまり、トリは西川箕乃助、西川尚の父娘による『連獅子』。我が子を深い谷底に蹴落とし、強さを試すという獅子の英才教育の再現シーンが、芸の道における親子の関係と重なり、見ごたえ充分な場面となろう。第二部は西川祐子の端正な『花かたみ』に続き、西川佳の『櫓のお七』。お七の実年齢に近い演者のフレッシュな表現が楽しみである。(斎藤)


◆マドモアゼル・シネマ2019旅するダンス『平成行進曲』

4月27、28日(セッションハウス)

◇1991年6月にオープンした神楽坂のセッションハウスに住み着いているマドモアゼル・シネマが、99年頃から続けてきた“旅するダンス”で、平成の代にしめくくりをつける『平成行進曲』の成果やいかに。(山野)


◆東京バレエ団:ブルメイステル版『白鳥の湖』

4月27〜29日(東京文化会館)

◇2016年にバレエ団として初演、今回三度目の再演にして既にカンパニーの代表作となった感がある。クラシックバレエの様式美をあますところなく見せる二幕や、ロットバルト一味が王子をたぶらかすドラマチックな三幕は圧巻。主役から脇役までキャラクターが丁寧に描かれる一幕や、王子の元を去ろうとする白鳥たちの、歩いているだけで美しい四幕など、見どころに事欠かない。本公演は今年で3回目の開催となる《上野の森バレエホリデイ》の一環として上演される。バレエマルシェやミニコンサートなど、大人も子供も楽しめるイベントに加え、今年はさらに東博とコラボレーションし、野外シネマが上演されるそうだ。ゴールデンウィークの幕開けに是非足を運びたい。(隅田)


◆アート・オブ・サーカス『Scala– 夢幻階段』

4月27〜29日(静岡芸術劇場)

◇フランスのダンス界で最も旬な振付家、ヨアン・ブルジョワが自身のカンパニーを率いて待望の初来日を果たす!ヨアンはヌーヴォー・シルク(アート・サーカス)出身のアーティストで、傾斜する床の上でダンサーが踊る『Celui qui tombe』や、回転するトランポリンと階段を用いたサイトスペシフィック作品『La Mecanique de l’histoire』で一躍有名になった。独創的な舞台装置とダンサー達の完璧にコントロールされた動きで、時間が巻き戻ったり空間が歪んだりするかのような不思議な世界を作り出す。今回上演される『Scala』は昨年発表されたばかりの最新作で、ブルジョワワールドを存分に味わうことができる。静岡まで足を運ぶ価値のある注目作だ。(折田 彩)



outofnice at 19:54公演情報

March 31, 2019

<中村祥子>
2019年2月1日、熊川哲也Kバレエカンパニー公演(Bunkamuraオーチャードホール)で、熊川演出・振付の『ベートーヴェン 第九』第4楽章を踊る

<首藤康之、中村恩恵>
2019年2月2日、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース公演(KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ)で、白井晃上演台本・演出『出口なし』を秋山菜津子と演じ、踊る

<木村優里、秋元康臣>
2019年2月10日、日本バレエ協会公演(東京文化会館・大ホール)で、篠原聖一演出・構成・再振付『白鳥の湖』を踊る

<小野寺修二、大庭裕介、崎山莉奈、藤田桃子>
2019年2月12日、カンパニーデラシネラ公演(横浜にぎわい座・のげシャーレ)で、小野寺振付・演出『見立てる』を踊る

<勅使川原三郎、佐東利穂子>
2019年2月14日、KARAS《アップデイトダンスNo.59》公演(カラス・アパラタス)で、勅使川原演出『白痴』を踊る

<飯森沙百合、伊藤知奈美、川合ロン、河内優太郎、木原浩太、小山まさし、酒井直之、城俊彦、西田祥子、西山友貴、長谷川暢、広末知沙、三田瑶子、山口将太朗、山崎眞結、山下彩子>
2019年2月16日、Co.山田うん公演(KAAT神奈川芸術劇場・ホール)で、山田振付・演出『いきのね』を踊る

<井上八千代>
2019年2月16日、第62回日本舞踊協会公演(国立劇場・大劇場)で、義太夫『お七』を舞う

<岩渕貞太、北村思綺、清水駿、鈴木隆司、盖楙拭¬霓疝>
2019年2月20日、関かおりPUNCTUMUN新作公演(ムーブ町屋・ムーブホール)で、関振付・演出『ひうぉむぐ』を踊る

<出演者全員>
2019年2月21日、Noism1《実験舞踊vol.1》公演(吉祥寺シアター)で、金森穣演出振付『R.O.O.M』を踊る

<酒井はな>
2019年2月26日、《伝統と創造シリーズ vol.10》公演(セルリアンタワー能楽堂)で、森山開次演出・振付『HANAGO−花子−』を踊る

《THE DANCE TIMES》選出ダンサー月間ベストテンは、仲間の評論家をはじめとする多くの舞踊界の人たちとの劇場のロビーでの噂話などに含まれた本音のところを参考にして、ダンス・タイムズ編集部で協議し、最終的に決めます。ひとつの公演からはベストの1件だけ、月間でひとりのダンサーをダブって選ぶことはしないというルールでやっています。


ayaorita at 19:08
[Contemporary Dance] “mami dance world  Mirai no Mizu” / Apr. 4 - 7, ZA KOENJI1 

[Ballet/Contemporary Dance] ‟NHK Ballet Festival2019” / Apr. 6 NHK Hall 

[Contemporary Dance]  Hofesh Shechter Company ‟Political Mother: The Choreographer's Cut” / Apr. 6 - 11, Bunkamura Orchard Hall 

[Contemporary Dance] Saburo Teshigawara/KARAS Update Dance No.61. “Izumi” / Apr.12 - 20. KARAS APPARATUS.

[Butoh Festival]HOKKAIDO BUTOH FESTIVAL 2019 / Apr.19 - July 14
SAPPORO, YOICHI, BIBAI, HAKODATE, TAIWAN

[Nichibu] ‟ Traditional Japanese Dance & Music by Young Upcoming Performers" / Apr.20  National Theatre (Small Theatre), Tokyo.

[Nichibu] ‟Nishikawa-kai" / Apr.21  National Theatre (Large Theatre), Tokyo.

[Contemporary Dance] Mademoiselle Cinema “Heisei Koshinkyoku” / Apr.27, 28. Kagurazaka Session House.

[Ballet] The Tokyo Ballet ‟Vladimir Burmeister’s Swan Lake” / Apr. 27 - 29 Tokyo Bunka Kaikan

[Dance / Circus] Yoann Bourgeois ‟Scala” / Apr. 27 - 29 Shizuoka Arts Theatre 


outofnice at 07:44English

March 19, 2019

2017年に初演。今回は、昭和の風情が残る横浜の下町にしっくりと溶け込んでいる「若葉町ウォーフ」に場所を移してのリニューアル版である。小さなスタジオの壁には、来島友幸による手のひらサイズの音響装置が無数に張り巡らされており、その壁沿いに観客がポツポツと座る。

「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足、この生き物はなあに?」というスフィンクスの謎かけに着想を得ている。答えは、取りも直さず人間である。ハイハイする赤ちゃんが大人になり、歳を取って、やがて杖を突く。人生を一日に例えているのだ。

構成と演出は吉福敦子、出演と振付は尾形直子、平田友子、吉福の三人。それぞれが「自分史」をスケッチブックに描いて持ち寄り、舞踊譜として作ったという。自分史と言っても、日常の動作やライフイベントを表すような当て振りはない。夜明けから日没、そして…と変わり行く照明と来島の音響装置から発する、気付けば鳴っている程度のスイッチのような弱音が、時を刻む。踊りも音も説明に走らず、今まさに立ち会っている時間、空間に身を委ねて、感じる、考える自由を観客に与えている。実際に、別日の公演後にはファシリテーターが入って、観客が自分の感じたことを自由に話す「対話による鑑賞会」が開催されている。

出演者全員にセラピーやボディワークのバックグラウンドがあるだけに、作品全体が五感に心地良く、癒しの効果があった。ただその分、印象に残り難い側面もある。
甲高い素っ頓狂な声を出しながら、三人が縦一列に進むところは、黒沢美香の作品を彷彿とさせ、くすりと笑いが出てもよいところだが、爽やかにスルーしてしまった。人生は山あり谷あり。もう少しスパイスが効いた場面があっても良いかもしれない。とは言え、全編を通して、興味深いボキャブラリーがいくつもあり、小さなスペースを有効に使って観客の間を絶妙に縫うように動いていたのが面白かった。リニューアル版だけあって、じっくりと練られた作品であった。

(吉田 香 2019/02/09 19:00 若葉町ウォーフ)


jpsplendor at 23:13舞台評短評

February 28, 2019

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演やイベントをご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、220日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2019年3月公演】


◆NBAバレエ団『白鳥の湖』

2019年3月2、3日(東京文化会館・大ホール)

◇次々と新作を送り出し、勢いに乗るNBAバレエ団が、いよいよ『白鳥の湖』(久保紘一版)に臨む。オデット/オディール(一人二役)にアリーナ・コジョカルと平田桃子、コジョカルの相手役の王子にはエルマン・コルネホをゲストに迎える。コジョカルと平田は、テクニック、表現ともに折り紙付き。コルネホは、これぞラテンといったダイナミックなジャンプや回転が持ち味だが、年齢を重ねた今、王子役をどう魅せてくれるのか、非常に楽しみである。編曲はおなじみの新垣隆、そして、改訂振付には宝満直也の心強いサポートがある。役者は揃っている。あとはどこまでプロダクション全体の精度を上げられか、見ものである。(吉田 香)


◆新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』

2019年3月2〜10日(新国立劇場・オペラパレス)

◇牧阿佐美の手がけた数々の全幕バレエの中でも、特に評価が高い本作。各幕ごとのバランスがよく、ラストの神殿崩壊までテンポよく進む。二枚看板の小野と米沢がニキヤとガムザッティを務めるファーストキャストなど、魅力的な3キャスト。幻想的な「影の王国」は、新国立劇場ならではの洗練されたコール・ド・バレエを堪能したい。(隅田有)


◆熊川哲也Kバレエカンパニー『カルメン』

3月6〜21日(Bunkamuraオーチャードホール / 東京エレクトロンホール宮城 / けんしん郡山文化センター)

◇熊川版『カルメン』は2014年の初演。16年に再演し、今回はさらに改訂を加えての上演となる。完成度を上げた舞台には、矢内千夏、中村祥子、荒井祐子、毛利実沙子の4人のカルメンが登場する。誰を見るのか大いに迷うところ…。(山野博大)


◆マニュエル・ルグリ《Stars in Blue BALLET & MUSIC》

2019年3月8〜9、11、14、17日(東京芸術劇場、ザ・シンフォニーホール、メディキット県民文化センター、愛知県芸術劇場)

◇世界の第一線で活躍するバレエダンサーと音楽家との共演が実現。言わずと知れたバレエ界の至宝マニュエル・ルグリの元に集まるのは、ボリショイ・バレエ プリンシパルのオルガ・スミルノワ&セミョーン・チュージン、ハンブルク・バレエ団 プリンシパルのシルヴィア・アッツォーニ、そしてヴァイオリニストの三浦文彰、ピアニストの田村 響。パトリック・ド・バナによる、アレッサンドロ・バリッコ原作の『絹』から想を得た世界初演作品『OCHIBA〜When leaves are falling〜』を始め、ウヴェ・ショルツ、ローラン・プティ、ジョン・ノイマイヤーなど巨匠の作品が名を連ねる。トップアーティスト同士から生み出される唯一無二の化学反応を堪能したい。(宮本珠希)


◆牧阿佐美バレヱ団《プリンシパル・ガラ2019》

2019年3月16、17日(文京シビックホール・大ホール)

◇1月にウラジオストックで『飛鳥』を上演し、好評を博して帰国した牧阿佐美バレヱ団の《プリンシパル・ガラ》だ。このプログラムには、ウラジオストックのガラ・コンサートで大人気だった『グラン・パ・ド・フィアンセ』も入っている。この小品は、『白鳥の湖』のお妃選びの場面をジャック・カーターがテクニカルな見せ場に仕立てた逸品。久しぶりの上演が待たれる。(山野)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団『海賊』

2019年3月15〜17、21、23日(東京文化会館・大ホール、オーバード・ホール、兵庫県立芸術文化センター)

◇マリウス・プティパ生誕200周年を記念する“プティパ・イヤー”のラストを飾るのは、バレエ団初演となるアンナ=マリー・ホームズ版『海賊』だ。男性舞踊手の見せ場がふんだんに盛り込まれた同作は、プリンシパルを始め、今まさに踊り盛りのダンサーが揃い踏み!また、団内オーディションにて選出された若手もソリストデビューを飾るなど、適材適所のキャスティングも大きな魅力である。先日行われた公開リハーサルでも、バレエ団内に漲る熱量、その充実ぶりを存分に伺うことができた。初日の幕開きが待ち遠しい。(宮本)


◆現代舞踊公演《1200seconds 〜踊〜 Triple Bill》

2019年3月19、20日(東京芸術劇場・プレイハウス)

◇現代舞踊協会は、毎年都民芸術フェスティバルに参加し、東京芸術劇場プレイハウスでトリプル・ビルを行っている。プレイハウスの奥行きと舞台機構を活かし、小劇場では難しい、凝った装置や大人数のダンサーを使った作品作りができる貴重な機会だ。今回は《1200seconds》、つまり20分の上演時間での創作に、現代舞踊の木原浩太と飯塚真穂、フラメンコの平富恵が挑む。木原は、Co.山田うんの中心メンバーとして活動し、ソロやデュオでの創作も積極的に行っている現代舞踊界のエースだ。今回は29名の女性ダンサーを率いる。飯塚は昨年の《新進舞踊家海外研修員による現代舞踊公演》での『Winter』の好演が印象に残る。平も昨年秋に自身の舞踊団の10周年記念公演を成功させたばかり。実力者3人が20分のなかで凝縮した表現を見せてくれるだろう。(折田 彩)


◆スターダンサーズ・バレエ団《Dance Speaks》『緑のテーブル』

2019年3月30、31日(東京芸術劇場・プレイハウス)

◇20世紀の傑作『緑のテーブル』(振付クルト・ヨース)が14年ぶりに再演される。 1901年生まれのヨースはラバンに学び、ピナ・バウシュ、ギルビット・クルベリ、ピーター・ライトなど、そうそうたる振付家が彼のもとで踊った。反戦と政治批判という、決してダンスが得意としないテーマを、風刺の効いた手法で描き上げた、奇跡のような作品。まもなく第二次世界大戦になだれ込むという時代に放たれたアイロニーは、各地で紛争が続く現代にも鋭く突き刺さる。同時上演の『ウェスタン・シンフォニー』は、西部劇が好きだったバランシンの手による文句なく楽しいバレエだ。(隅田)


◆《踊狂いの五十年 花柳園喜輔記念舞踊会》

2019年3月30、31日(国立劇場・大劇場)

◇花柳園喜輔はベテランの男性舞踊家。平成二十八年度の芸術祭では一人で様々な役柄を何役も演じる七変化の舞踊で優秀賞を授賞。芸域の広さがうかがい知れた。その園喜輔が初めての舞踊会開催から五十年を迎え、集大成ともいうべき舞踊公演を開く。二日間のうち初日はリサイタル風に全五番。園喜輔は松賀藤雄、松島金昇と共に『式三番叟』、子息・悠との『末広かり』、一世一代の心で『京鹿子娘道成寺』の三番を踊る。二日目は門弟を中心とした公演で、全二十二番。園喜輔は『花と柳』『熊野』『お祭り』に出演。日本舞踊を狂おしいほどに愛した園喜輔の舞踊公演に期待が高まる(阿部さとみ)


◆島根が生んだ石田種生の世界『白鳥の湖』

2019年3月31日(島根県民会館・大ホール)

◇東京シティ・バレエ団創設者の一人で、ダンサー、振付家として国内外で活躍した石田種生(1929-2012)。東京や韓国ではその名が知られているが、彼の郷里、島根県では名前を知る人も少なくなった。石田は西洋の物まねだけではない、日本のオリジナルバレエを数多く振り付けたが、その際に用いたのはステレオタイプな日本イメージではなく、故郷島根で自身が体験してきた郷土芸能、民俗舞踊を含めた幅広い日本の生活に根差した文化であった。東京シティ・バレエ団がレパートリーとし、一昨年も藤田嗣治の舞台美術を用いて話題を集めた《白鳥の湖》では、たとえば白鳥たちの群舞のフォーメーションは西洋的なシンメトリーではなく、日本庭園にみられるようなアシンメトリーに構成され、また、群舞一人ひとりまでが劇的な表現を担う生き生きとした作品になっている。そのような石田を顕彰し、故郷の人々が誇りに思い、自らの生活文化の豊かさを再発見してもらうための試みとして、「島根が生んだ石田種生の世界実行委員会」が結成された。数年かけて準備を重ねてきた成果が、3月31日に松江市にある島根県民会館で上演される《白鳥の湖》である。主役を踊るのは、松江市出身で新国立劇場バレエ団で活躍している北村香菜恵で、その他の役も地元のダンサーたちが務める。東京シティ・バレエ団からは王子役にキム・セジョン、ロットバルト役に李悦を迎えるほか、石田の演出・振付を熟知した指導者が時間をかけて指導に当たってきた。地域に埋もれている文化資源を再発見して活かし、地域から発信する瑞々しい《白鳥の湖》になることだろう。また、28日から31日まで石田の足跡をたどる展示が、島根県民会館展示室で催され、オープニングには石田が松江のヘルン旧居に舞う雪片を見て振付たという〈風花〉のデモンストレーションのほか、筆者がレクチャーを行う。さらに、3月23日には出雲大社東神苑の特設舞台で開催される『出雲フェスティバル2019』でも《白鳥の湖》第2幕と〈風花〉が上演される。桜が咲き誇り、雲がたなびく隙間から陽光が降り注ぐ美しい島根への観光を兼ねて、公演を見てみてはいかがだろうか。(稲田奈緒美)



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