June 07, 2017

『ジゼル』をもとにした柳家花緑によるオリジナルの落語と、東京シティ・バレエ団がコラボレートした舞台が上演された。本作の初演は2015年。再演の今回はタイトルに"新"が加わり『新・おさよ』。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の生演奏が付いた。続きを読む

outofnice at 20:00舞台評

June 05, 2017

DSC_0010DSC_0006DSC_0001 谷桃子バレエ団の《コンテンポラリーダンス・トリプルビル》の制作発表と作品の公開リハーサルが行われた。バレエ団代表の赤城圭の短い挨拶があり、ただちに3作品のショーイングとなった。最初の島地保武作品『セクエンツァ』は、イタリアのルチアーノ・ベリオの音楽を使った激しい動きを多用した抽象的なダンス。佐藤麻利香、吉田邑那ら、島地の選んだダンサーたちが、彼の創る動きに体当たりした。バレエ的な動きも多く使われていて、バレエ団になじみやすいコンテンポラリー作品になりそうだ。それに対して柳本雅寛作品『Nontanz』は、松本じろの音楽を使ったコンテンポラリーの動き一色のダンス。これに三木雄馬、安村圭太、牧村直紀ら男性陣と女性の若手が懸命に取り組んだ。そして最後の広崎うらん作品『peches ペシュ』(注:pの後の[e]はaccent circonflexeが付いています)には、バレエ団代表の赤城圭をはじめ、尾本安代、睇尚子、伊藤範子、斎藤拓らの幹部を筆頭に、トップのダンサーたちはもちろん、中堅、若手までが幅広く出演した。ドラマの断片が次々と現れ、ダンスの渦の中で浮き沈みした。どの作品もまだ創作の途中にあり、細部のつめはこれから。ダンサーたちの熱心な取り組みがこのリハーサルではすでに形となって現れていたので、7月2日の本番にはこれまでの谷桃子バレエ団にない何かが出現しそうな成り行きだ。

 制作発表会見となり、振付者の3人の他に、芸術監督の睇尚子をはじめ、島地作品の創作アシスタントの酒井はな、柳本作品の音楽担当の松本じろ、谷桃子バレエ団幹部ら関係者がずらりと並んだ。まず芸術監督の睇瑤ら、これまで古典中心の公演を行ってきた谷桃子バレエ団がどうしてこのようなコンテンポラリーの公演を意図するに至ったかの説明があった。新しいことに挑戦して、特に若いダンサーたちの参加意欲をかきたてることを考えたようだ。意外に新しいことのお好きだった谷桃子先生のご意向にもかなうものではないかと、睇瑤聾譴辰討い拭

 三人の振付者の選定は、酒井はなとの古くからのお付き合いのつながりで島地保武、谷桃子バレエ団出身の黒田育世を通じて親しくなった柳本雅寛、制作担当のアンクリエイティブの紹介で広崎うらんということになったようだ。振付者は三人三様にバレエとの関わりを楽しんでおり、どんな結果が出るのか期待が持てる。芝居の舞踊場面を担当することの多い広崎とは、演技者として独特の味わいを持っていた谷桃子につながる何かが出て来そうな気配もある。

 この公演は、葛飾区のかめありリリオホールで行われる。葛飾区文化施設指定管理者との共催、葛飾区と葛飾区教育委員会の後援だ。寅さんの故郷の柴又に近いところで、谷桃子バレエ団への関心の度合いが高まることも考えられそう。評判が良ければコンテンポラリー作品公演のシリーズ化もあるかもしれないとのことだった。この5月に新たに芸術監督に就任した睇尚子の、かじ取りに注目しよう。(山野博大 2017/5/30 13:30 等々力・高田アートスペース)DSC_0004DSC_0014



inatan77 at 03:37レポート

June 01, 2017

 神奈川県立近代美術館葉山で開催されている砂澤ビッキ展《木魂を彫る》(2017年4月8日〜6月18日)関連の催し物として、能藤玲子ダンスパフォーマンス『風に聴く』が行われた。砂澤ビッキは北海道旭川の生まれ。195060年には、油絵を描きモダンアート協会展等で活躍した。しかし1970年以降の円熟期には木彫に専念し、自然との交感を形に顕したモニュメンタルな作品を次々と発表した。

 札幌で行われた能藤玲子創作舞踊公演『風に聴く』に、巨木を船のように横たえた周囲に人体を思わせる4本の柱を立てた素朴かつ力あふれる砂澤ビッキの木彫が参加したのは1986年のこと。この作品には、広瀬量平作曲の「尺八とオーケストラのための協奏曲」が使われていた。その1時間半の大作を、今回は25分ていどに短縮して上演した。

 砂澤ビッキ展の会場には、楢の巨木からえぐり出した代表作の『神の舌』をはじめとする、木の質感をそのまま残し、人間の生活感と馴染ませた作品が並んでいた。もっとも奥のスペースの中央に『風に聴く』だけが置かれていた。それがダンスの場だった。大人数の観客が壁に沿って立ち並び、開演を待った。

 能藤玲子舞踊団の稲村泰江、五十嵐里香、東佐由理、伊藤葉子、斉藤千春、伊藤有紀が登場して、ゆるやかにスペースの周囲を回り、木彫の置かれた場所によって、生きものの気配に濃淡の違いがあることを示した。この6人は北海道の大地に吹く風となり、木彫と調和して風景の一部と化した。

 黒衣(衣裳=菅野律子)の能藤が進み入り、床を踏みしめつつ木彫の各所を経めぐった。彼女は大自然の中に立ち、風を聴いた。同時に展示されていた砂澤ビッキの裸婦のデッサンには、人間の体温を感じさせる官能的な線の美しさがあった。その生々しさを能藤は彼の木彫の中から引き出した。広瀬量平作曲の尺八の音色が微妙な風の強弱を感じさせた。木彫とダンスが同化して、美術館の一室に巨大な北海道の空間が現れた。

 能藤玲子は、1931年網走の生れ。51年に邦正美に師事し、59年に札幌で独自の舞踊を創りはじめた。芸術祭優秀賞を受賞した『流氷伝説』(1996年)をはじめ、『鎮める太陽』(99年)、『葦の行方』(2002年)、『藍の河原』(04年)などの佳作を発表し、北海道のはてしない空間とそこを移動する人間を舞台空間に収め、悠久の時の流れを表現した。

 彼女の群舞の作りには師匠の邦正美譲りの感じがある。しかし自身のソロはどこまでも独自に創り上げてきたもの。南の地神奈川県葉山での砂澤の木彫と能藤のダンスの出会いは、しばし時の経過を忘れさせる至福の瞬間だった。(山野博大 2017/5/13 神奈川県立近代美術館葉山DSCN3651

◆写真は、終演後に会場入り口付近で能藤玲子氏、砂澤ビッキ未亡人、出演者らと撮ったもの。



inatan77 at 17:54

May 31, 2017

ダンス・タイムズ編集部が選んだ来月のお勧め公演をご紹介します。あくまでもメンバー個人の予想に基づいていますので、公演の内容を保証するものではありません。ぜひ、観客の皆さまが劇場へ行ってご確認ください。また、520日時点の情報を基にしていますので、日程、出演者、演目等が変更される場合もあります。完売の場合もありますので、事前にご確認ください。

 

【ダンス・タイムズがお勧めする 2017年6月公演】


◆世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演 勅使川原三郎『ABSOLUTE ZERO 絶対零度 2017』

2017年6月1〜4日(世田谷パブリックシアター)

◇創造型公共劇場のフロントランナーとして、伝統芸能、演劇、コンテンポラリー・ダンスの各分野で革新的な作品を生み出し続けてきた世田谷パブリックシアターが、今年開場20周年を迎える。この開場20周年記念公演として、19年前のオープニングシリーズで上演された勅使川原の作品が再演されることとなった。この20年間、日本と世界の舞台シーンで活躍し続けてきた劇場とダンサーが再びタッグを組み、伝説的な作品の再演に挑む。単なる再演ではなく新たな趣向を織り交ぜた改定上演となるとのこと。初演を見た方も見ていない方も、新たな20年の始まりに立ち合おう。(折田 彩)


◆歌舞伎座《六月大歌舞伎》昼の部より『澤瀉十種の内 浮世風呂』

2017年6月2〜26日(歌舞伎座)

◇市川猿之助家の得意とする芸「澤瀉十種」の一つ。風呂屋の男三助となめくじが織りなすユーモラスな踊りだ。三助は湯を沸かしたり、客の背中を流すなどのサービスをする職。本作では、そのキビキビと働く三助に惚れたのがなめくじで、女の姿になって現れて、クドキにかかるが、三助は気味悪がって塩をかけてしまう…。四代目市川猿之助は今回で二度目の三助。かつて三代目猿之助を相手になめくじを勤めたこともあり、それらの経験が活かされ、要所を押さえた舞踊が楽しめることだろう。なめくじの中村種之助は初役。若手の実力派の踊りも大いに期待がもてる。江戸の風呂屋の風俗とユーモアが洒落た一曲。なめくじが踊るという趣向は、古今東西珍しいのではないだろうか。(阿部さとみ)


◆ボリショイ・バレエ『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』

2017年6月2〜18日(東京文化会館・大ホール、広島文化学園HBGホール、びわ湖ホール・大ホール、仙台・イズミティ21大ホール、フェスティバルホール)

◇今年は、1957年のボリショイ・バレエ初来日からちょうど60年という節目にあたる。これぞロシアというクラシック、『ジゼル』と『白鳥の湖』(ともにユーリー・グリゴローヴィチ版)は言わずもがな、観ておきたいのはアレクセイ・ラトマンスキー版の『パリの炎』だ。超絶技巧のパ・ド・ドゥはガラ公演でおなじみだが、全幕を観られるのは貴重である。フランス革命へと進む民衆のエネルギーとそれとは対照的に富を貪る貴族の優雅さという時代背景をダイナミックに魅せるだけでなく、個々の登場人物に寄り添ったドラマをきちんと描くのがラトマンスキーならではで、ボリショイ・バレエのキャラクターにぴったりの作品だ。あのパ・ド・ドゥは全幕で観てこそ、感慨深い。観客全体を巻き込んで高揚感で満たすラトマンスキーの世界を味わいたい。アレクサンドロワ、ルンキナ、オシポア等々、次々と看板ダンサーが去って寂しさが拭えない布陣だが、昨年舞踊監督に就任したマハールベク・ワジーエフの新体制に期待したい。(吉田 香)


◆法村友井バレエ団創立80周年公演 第16回アルカイック定期公演『ジゼル』『グランドホテル』

2017年6月4日(尼崎市総合文化センターあましんアルカイックホール)

◇法村友井バレエ団が『ジゼル』を上演するのは5年ぶり。前回に引き続き、今回も法村珠里がジゼルを踊る。2015年の『アンナ・カレーニナ』で芸術祭優秀賞を受賞した法村珠里の演技に注目。また『グランドホテル』は、1979年にジャン・ブラバンの振付によりベルギーで初演されたもの。1932年封切りのグレタ・ガルボ、クラーク・ゲープル主演の映画『グランド・ホテル』が元になっている。法村友井パレエ団は、2004年の日本初演以来、3 回目の上演だ。 (山野博大)


◆バレエ鑑賞普及啓発公演〜ようこそ素晴らしきバレエの世界へ〜《バレエ・プリンセス〜バレエの世界のお姫様たち〜》

2017年6月4日、7月20日(本多の森ホール、新宿文化センター・大ホール)

◇『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』という3大プリンセス物語をひとつの作品として描いた同作は、昨年に引き続き今回が2度目の上演となる。伊藤範子の巧みな演出・振付や、新国立劇場バレエ団プリンシパルの米沢 唯、同団ソリストの池田理沙子、木村優里を始めとする豪華キャスト陣の共演は大きな見どころだ。バレエ鑑賞初心者からコアなファンまで楽しめる充実の舞台を期待したい。(宮本珠希)


◆《横浜バレエフェスティバル2017》

2017年6月9、10日(神奈川県民ホール・大ホール)

◇このフェスティバルは海外で活躍する日本人ダンサーをメインに据えたガラ公演だが、芸術監督の遠藤康行の卓抜したディレクションにより、他の数多あるガラ公演とは一線を画す内容となっている。今年の目玉は何と言っても、マッツ・エック振付『ジュリエットとロミオ』のバルコニーのパ・ド・ドゥだろう。この日本初演となる作品を、長年ネザーランド・ダンス・シアターで活躍し、エックの舞踊言語を熟知している湯浅永麻が披露する。他にもシディ・ラルビ・シェルカウイ、ジョゼ・マルティネズらの作品が上演される。横浜で世界の今を感じてほしい。(折田)


◆熊川哲也K-BALLET COMPANY Spring 2017『ジゼル』

2017年6月23〜25日(東京文化会館・大ホール)

◇この6 月は『ジゼル』が多い。ポリショイ ・バレエ、新国立劇場バレエ、法村友井パレエ団、そして熊川哲也K バレエカンパニーと続く。熊川哲也K バレエカンパニーは、2013 年 6 月以来の上演。今回は、ジゼルを荒井祐子と中村祥子が踊る。ベテラン荒井の出演は急きょ決まったもの。中村の『ジゼル』全幕はたぶん初めてだと思う。どちらも見たい。(山野)


◆新国立劇場『ジゼル』

2017年6月24日〜7月1日(新国立劇場・オペラパレス)

◇今月は『ジゼル』の当たり月。出演者によって大きく印象の異なる作品だけに、それぞれの公演でダンサーの魅力を見比べたい。演出に目を向けると、新国立劇場版は照明に特色がある。一幕はジゼルの心情と日暮れが重なり、ジゼルが狂気に転じた瞬間、照明もまた変化する。まるでジゼルの見ている世界を体験するような、不思議な照明マジックだ。劇場芸術ならではの面白みに溢れる舞台をご堪能あれ。(隅田有)


◆チャイコフスキー記念東京バレエ団『ラ・バヤデール』

2017年6月30日〜7月2日(東京文化会館・大ホール)

◇マカロワ版はテンポが良く、ラストの屋台崩しまでしっかりと描く。クラシック・バレエとしての見せ場に加え、三幕の結婚式がドラマチックで面白い。おもわくの異なる主要キャラクターたちが同時に踊る場面は、さながらオペラの多重唱のように盛り上がる。昨年夏に開催された《バレエの王子さま》で色気たっぷりのソロを踊った、ダニエル・カマルゴがソロル役にゲスト出演。ストーリーに絡む重要な役が多く、演技力の求められる作品ゆえに、東京バレエ団らしい息の合ったステージが見られるだろう。(隅田)


◆映画『ザ・ダンサー』

2017年6月3日より公開

◇アメリカから19世紀末に現れた3人の女性が、モダンダンスの礎となった。3名のうち、イサドラ・ダンカン(1877-1927)はバレエ作品や映画にもなって大きく名を遺し、ルース・セント・デニス(1879-1968)はデニショーン舞踊団として国内外で公演を行っており(1925年には来日公演)、おおよその様子はわかる。一方、ロイ・フラー(1862-1928)は衣装の布を大きく振り回して踊る写真や、フォリー・ベルジュールのポスター、衣装に投影する色彩照明を発明したことなど、断片的に知られるのみ。そのロイ・フラーの伝記を基に映画化したのが本作だ。映画としてのエンターテイメント性を高めるために、フィクションも多く加えられているが、彼女のダンスと人生を美しく、時に苛酷に描きながら、モダンダンスという新しい芸術を切り拓いていった女性の生きざまを描いている。ロイ(ミュージシャン・女優のソーコ)とイサドラ(美貌のリリー=ローズ・デップ)の確執も興味深い。監督・脚本のステファニー・ディ・ジューストが女性ならではの鋭く繊細、かつ大胆で残酷な描き方でロイとイサドラを蘇らせた。(稲田奈緒美)




outofnice at 17:50公演情報

May 14, 2017

<日睛梨・ラグワスレン・オトゴンニャム・石田亮一>
2017年4月1日、30周年記念押領司博子バレエクラス第15回発表会(新宿文化センター・大ホール)で、ピーター・ラング振付『Pas de trois』を踊る

<市川猿之助>
2017年4月2〜26日、《四月大歌舞伎》夜の部(歌舞伎座)で、『三代猿之助四十八撰の内奴道成寺』を踊る

<米沢唯・福岡雄大>
2017年4月8日、NHKバレエの饗宴2017(NHKホール)で、新国立劇場バレエ団としてバランシン振付『テーマとバリエーション』を踊る

<花柳寿美>
2017年4月11日、第89回曙会(国立劇場・小劇場)で、尾上菊之丞振付『阿仏舞ふ〜弘安の役異聞〜』を踊る

<中野綾子>
2017年4月23日、第37回浦安バレエアカデミー発表会(浦安市文化会館・大ホール)で、『カルメン』を踊る

<佐藤麻利香・齊藤拓・井上栞>
2017年4月26日、谷桃子バレエ団特別公演《師の命日に贈る〜過去・現在・未来への歩み〜》(洗足学園音楽大学内前田ホール)で、谷桃子振付『ロマンティック組曲』を踊る

<小西裕紀子>
2017年4月28日、第69回桧垣バレエ団公演《Yukiko Konishi Recital Vol.6》(ロームシアター京都・サウスホール)で、『絵姿女房:TAIKO』『みつこ−MITSUKO』を踊る

<佐東利穂子・勅使川原三郎>
2017年4月29日、KARAS公演(東京・両国シアターΧ)で、勅使川原構成・演出『トリスタンとイゾルデ』を踊る

<川島麻実子・秋元康臣>
2017年4月29日、チャイコフスキー記念東京バレエ団《上野の森バレエホリディ 子どものためのバレエ》公演(東京文化会館・大ホール)で、ウラジーミル・ワシーリエフ演出・振付『ドン・キホーテの夢』を踊る

<辻本知彦・森山未來>
2017年4月29日、きゅうかくうしおVol.0公演(VACANT)で、森山脚本・振付、辻本演出の『素晴らしい偶然をあつめて』を踊る

《THE DANCE TIMES》選出ダンサー月間ベストテンは、仲間の評論家をはじめとする多くの舞踊界の人たちとの劇場のロビーでの噂話などに含まれた本音のところを参考にして、ダンス・タイムズ編集部で協議し、最終的に決めます。
 ひとつの公演からはベストの1件だけ、月間でひとりのダンサーをダブって選ぶことはしないというルールでやっています。



ayaorita at 22:13
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